大学入学共通テストは、国公立大学を受験する生徒全員が対象となる試験です。科目数が多く、しかも近年の試験形式の変化(情報Iの追加・英語の均等配点・国語の実用的文章追加など)への対応が必要なため、「いつ・何を・どのように勉強するか」のロードマップを持つことが重要です。
この記事では、共通テストの全科目について、傾向・優先度・勉強法・スケジュールを体系的に整理します。特に高3の受験生と、その保護者の方を想定して書いています。
この記事で整理すること
- 共通テスト全科目の概要と変化点(2026年度版)
- 科目別の特徴と高得点を取るためのアプローチ
- 高3の夏〜本番までのスケジュール
- よくある失敗パターンと対策
- 理系・文系別の科目選択の考え方
共通テスト 科目構成の概要(2026年度入試時点)
共通テストは以下の科目で構成されています。国公立大学受験者は原則として複数科目の受験が必要です。各大学の受験科目・配点は公式の入試要項でご確認ください。
| 教科 | 科目 | 試験時間 | 配点 |
|---|---|---|---|
| 国語 | 現代文・古文・漢文 | 90分 | 200点 |
| 数学I | 数学I・A | 70分 | 100点 |
| 数学II | 数学II・B・C | 70分 | 100点 |
| 英語 | リーディング・リスニング | 80分・30分 | 各100点(計200点) |
| 情報 | 情報I | 60分 | 100点 |
| 理科 | 物理・化学・生物・地学(選択) | 各60分 | 各100点 |
| 地歴・公民 | 世界史・日本史・地理・公民(選択) | 各60分 | 各100点 |
科目別の特徴と対策のポイント
国語(現代文・古文・漢文)
現代文の特徴:2025年度から「実用的文章」の大問が加わり、複数の文書を読み比べる問題が出題されます。評論文・小説・実用文書(会議資料・グラフなど)を組み合わせた読解が求められます。
現代文の対策
- 評論文:段落ごとに「筆者の主張」と「根拠・具体例」を区別しながら読む習慣をつける
- 小説:登場人物の「心情変化」を追いながら読む。セリフ・行動・情景描写に注目する
- 実用的文章:問いに関係する情報だけを素早く取り出す「情報処理」のスピードを上げる練習
- 時間配分:90分で3〜4大問を解くため、各大問20〜25分の配分を意識する
古文・漢文の対策
- 古文:助動詞(推量・否定・過去・完了)と敬語(尊敬・謙譲・丁寧)の確実な理解が最優先。これが曖昧だと全て失点につながる
- 漢文:返り点・書き下し文・漢詩の形式(起承転結)は基本。慣用的な漢字(為・使・令・被)の意味を押さえる
- どちらも「単語の暗記」だけでなく「文脈を読む力」が必要。演習量を増やすことが最終的な得点力につながる
数学I・A
70分・100点の試験で、大問5問(第1問必答、第2〜5問から2問選択が一般的)の構成です。
主な出題単元と特徴
- 数と式・二次関数:毎回ほぼ確実に出題。計算力と関数の理解が問われる
- データの分析:箱ひげ図・相関係数・仮説検定的な問題が増加傾向
- 図形と計量:三角比を使った応用問題
- 確率:場合の数・確率の基礎から条件付き確率まで
- 図形の性質・整数の性質:選択問題として出題
対策ポイント:誘導に乗って解き進める練習が重要。問いの意図を読み違えないよう、問題文の最後の「何を求めるか」を常に確認しながら解く習慣をつける。
数学II・B・C
70分・100点の試験で、大問6問(第1問〜4問必答、第5・6問選択が一般的)の構成です。
頻出単元:微分・積分(II)・三角関数・指数・対数・数列(B)・ベクトル(C)・複素数平面(C)
対策ポイント:数列・ベクトルは配点が高く、対策しやすい単元です。まずこの2つを確実に取ることが戦略的です。微分積分は計算量が多いため、スピードの訓練が必要です。
英語(リーディング・リスニング)
リーディング100点・リスニング100点の均等配点になっており、「読めるけど聞けない」という生徒は大幅に不利です。
リーディングの特徴:文章量が多く、日本語に訳して読む「和訳読み」では時間内に終わりません。英語の語順のまま意味をとる「直読直解」の練習が必須です。
リスニングの特徴:長い会話・図表と組み合わせた問題・複数回放送される問題など形式が多様です。継続的な練習なしには点数が上がりにくい科目です。
対策スケジュール
- 高3夏まで:英語基礎力(語彙・文法)の仕上げ、リスニング毎日15分継続
- 9〜10月:共通テスト形式の演習(過去問・予想問題集)で形式に慣れる
- 11月〜本番:目標点数に届いているかを模試で確認し、弱い領域に集中補強
情報I
2025年度から新設された必須科目(100点・60分)。国公立大学受験者は原則全員が対象です。
出題4領域:情報社会の問題解決・コミュニケーションとメディア・コンピュータとプログラミング・情報通信ネットワークとデータ活用
最大の差がつく領域:プログラミング(DNCL擬似言語を使ったアルゴリズムの理解)
対策ポイント:プログラミングの変数・条件分岐・繰り返し・配列の動作を追いかける「トレース」練習が最重要。学校の授業だけでは不十分なケースも多いため、早めの確認と補強が必要です。
理科・地歴・公民
これらの科目は志望大学・学部によって必要科目が異なります。自分の受験科目を確認し、優先度を設定してください。
| 科目 | 特徴 | 対策の核心 |
|---|---|---|
| 物理 | 計算・グラフが多い。理系では最高得点科目になりやすい | 法則の意味理解と計算練習のバランス |
| 化学 | 知識と計算が混在。有機化学の暗記量が多い | 理解→暗記の順序。反応式の意味を理解して暗記 |
| 生物 | 知識量が多い。実験・グラフ考察が増加 | 用語だけでなく「なぜそうなるか」の理解 |
| 世界史・日本史 | 知識量が膨大。資料読解問題が増加 | 「流れ(因果関係)」で覚える。資料を読む練習 |
| 地理 | 地理的思考力・統計が重要 | 地図・統計の読み取り。「なぜ」を重視 |
共通テスト対策のスケジュール(高3版)
4〜6月:土台の確認と補強
主要科目(数学・英語・国語)の高1・高2内容の確認と補強を行います。共通テストは難問より「全範囲の確実な基礎理解」が問われるため、抜け漏れを確認することが重要です。この時期は模試の結果よりも「何が弱いか」の把握に集中します。
7〜8月(夏休み):本格的な共通テスト形式の演習
共通テストの過去問を各科目1〜2年分解き始めます。「形式に慣れること」と「時間配分を把握すること」が夏休みの目標です。また、苦手科目の集中補強もこの時期が最後のチャンスです。
9〜11月:弱点補強と演習の反復
模試・予想問題集で演習を続けながら、弱点科目・弱点単元を繰り返し補強します。過去問2〜3年分を通し演習で目標点数に届いているかを確認します。
12月〜本番直前:仕上げと体調管理
この時期は新しい問題集を始めるより「これまでの弱点の確認」に集中します。体調管理・睡眠・食事も受験の一部です。試験当日の流れのシミュレーションも行っておきましょう。
共通テストで失敗しないための注意点
「苦手科目の放置」が最大のリスク
共通テストは多科目にわたるため、特定の科目を放置したまま本番を迎えると、得点の底上げが難しくなります。特に「情報I」は新設科目のため軽視されがちですが、100点満点の科目です。直前に詰め込んでも、プログラミングの思考力は短期では身につきにくいため、早めの対処が重要です。
過去問は「演習」だけでなく「分析」が本質
過去問を解いて丸つけだけで終わらせる生徒が多いですが、それでは演習の価値が半減します。「なぜ間違えたか」の分類(知識不足・読み違い・計算ミス・時間不足)が最重要です。分類できれば対策が明確になります。
まとめ:共通テストは「全体の戦略」で戦う試験
共通テストは多科目試験であり、「得意科目で稼いで苦手科目を補う」戦略が基本です。しかし、それは苦手科目を放置してよいという意味ではありません。極端な低得点科目があると、合計点での戦略が機能しなくなります。
全科目でバランスよく基礎力を固め、本番前の模試で目標点数に安定的に届くようにすることが、共通テスト対策の核心です。
また、共通テスト対策だけに集中すると二次試験対策が後回しになるリスクがあります。共通テストと二次試験の学習配分は、志望大学の配点比率を見ながら計画的に行ってください。
※この記事は2026年6月時点の情報をもとに整理しています。最新情報は各公式サイトでご確認ください。
著者:藤原進之介(株式会社数強塾 代表)
東進ハイスクール・東進衛星予備校・代々木ゼミナールなど出講実績あり。株式会社数強塾代表。累計3,500名以上の中高一貫校生を指導。横浜市石川町。
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