藤原進之介 | 2026年6月6日
神奈川県の私立学校選び、とくに横浜・川崎エリアの小学校受験、中学受験、高校受験を考えているご家庭にとって、非常に大きなニュースが出ました。
横浜市鶴見区にある聖ヨゼフ学園小学校・聖ヨゼフ学園中学校・聖ヨゼフ学園高等学校について、現在の設置法人である学校法人アトンメント会から、学校法人開智学園へ設置法人を変更する方向で合意した、という発表がありました。
聖ヨゼフ学園中学・高等学校の公式サイトでは、2026年6月1日付で、学校法人アトンメント会が学校法人開智学園との間で設置法人を変更することで合意し、2027年4月1日付で聖ヨゼフ学園小学校・中学校・高等学校の設置法人を学校法人開智学園へ変更する方向で、関係各所との協議を進めていると発表しています。詳細は今後正式に確定次第、改めて報告するとされています。
また、開智学園側も2026年6月2日付で、学校法人アトンメント会との間で、聖ヨゼフ学園小学校・中学校・高等学校の設置法人を変更することについて基本合意したと発表しています。2027年4月1日付での設置者変更に向け、関係各所との協議および認可申請等の手続きを進めているとされています。
現時点で断定できる中心事実は、設置法人変更に関する基本合意がなされ、2027年4月1日付での変更に向けて協議・手続きが進んでいるという点です。校名、入試制度、宗教教育、在校生の扱いなどについては、今後の正式発表を待つ必要があります。
※この記事は2026年6月6日時点で確認できる公式情報をもとに整理しています。聖ヨゼフ学園公式サイト・開智学園公式サイトの発表を参照しています。校名・入試制度等の細部は今後の正式発表をご確認ください。
1. 何が発表されたのか
聖ヨゼフ学園中学・高等学校の公式発表によれば、学校法人アトンメント会は、学校法人開智学園との間で、設置法人を変更することで合意しました。対象は、聖ヨゼフ学園小学校、聖ヨゼフ学園中学校、聖ヨゼフ学園高等学校です。予定されている時期は、2027年4月1日付です。
開智学園側の公式発表でも、対象校は聖ヨゼフ学園小学校、聖ヨゼフ学園中学校、聖ヨゼフ学園高等学校とされており、2027年4月1日付での設置者変更に向けて、関係各所との協議および認可申請等の手続きを進めているとされています。
つまり、これは単なる「噂」ではなく、両法人が公式に発表した合意事項です。ただし、聖ヨゼフ学園側は「詳細については今後正式に確定次第改めてご報告申し上げます」と記しています。校名や入試制度の細部は、現時点では確定していない事項があります。
現時点での最も正確な表現は次のようになります。
「聖ヨゼフ学園小学校・中学校・高等学校は、2027年4月1日付で、設置法人を学校法人アトンメント会から学校法人開智学園へ変更する方向で、両法人が基本合意し、協議・認可申請等の手続きを進めている。」
2. 「設置法人変更」とは何か
保護者の方にとって、「設置法人変更」という言葉はわかりにくいかもしれません。
学校には、その学校を設置・運営する法人があります。私立学校の場合、その多くは学校法人です。今回の件でいえば、これまで聖ヨゼフ学園を設置してきたのは学校法人アトンメント会です。そして今後は、学校法人開智学園が設置法人になる方向で協議が進んでいます。
これは、「教育提携」や「合同イベント」よりもはるかに大きな動きです。設置法人が変わることで、今後の経営方針、教育方針、人事、広報、入試戦略、進学指導体制などに、大きな影響を与える可能性があります。
重要なのは、「変わる可能性がある」と「すでに変わった」を区別することです。学校の本当の変化は、校名の変更だけで判断できません。授業がどう変わるのか、先生方がどう変わるのか、生徒の雰囲気がどう変わるのか。こうした具体的な事実を積み重ねて、初めて評価できるものです。
3. 聖ヨゼフ学園とはどのような学校か
聖ヨゼフ学園は、横浜市鶴見区東寺尾北台にある私立学校です。アクセス面では、JR「鶴見」駅西口から徒歩15分、または臨港バス5分、JR・東急「菊名」駅から臨港バス15分などとされています。横浜北部・川崎方面から通いやすい立地です。
聖ヨゼフ学園中学・高等学校は、カトリックのミッションスクールとして長い歴史を持つ学校です。校訓として「信・望・愛」を掲げ、カトリックの教えに基づき愛の心を涵養すること、知性・徳性を高め心身を鍛え社会に貢献する人を育てること、神にいただいた個々の賜物に気づき生かそうとする姿勢を育てることを教育方針としています。
学校紹介の挨拶では、「本当に勉強する人は優しくなります」という言葉が紹介されています。勉強とは、目に見えることの向こう側にあることを思いやる力をつけることだ、という教育観が示されています。
4. 聖ヨゼフ学園はすでに大きな変化を経験してきた
今回の設置法人変更は大きなニュースですが、聖ヨゼフ学園はこれまでにも大きな変化を経験してきました。代表的なのが男女共学化です。
聖ヨゼフ学園中学・高等学校は、2018年7月13日付の公式発表で、2020年度より男女共学校になることを発表しています。神奈川県内のカトリック校として初めての男女共学校になる、という説明がありました。英語教育をはじめとする言語教育、グローバル教育、未来型の探究学習、国際バカロレアMYP認定校を目指す取り組みも示されていました。
つまり、聖ヨゼフ学園は、伝統を持ちながらも、時代の変化に合わせて学校のあり方を変えてきた学校です。
5. 開智学園とはどのような学校法人か
設置法人となる方向で協議が進んでいる開智学園の教育理念は、「世界の人々や文化を理解・尊敬し、平和で豊かな社会を創るために貢献できる人材を育成します」とされています。
教育方針では、探究型授業やフィールドワークを通して、学習者が主体的に学び、創造力・思考力・発信力を育成すること、ICTを活用した新しい学びの開発、日本語力と英語力を身につけたグローバルな社会貢献人材の育成が掲げられています。
開智学園グループ校としては、開智小学校、開智望小学校、開智所沢小学校、開智望中等教育学校、開智所沢中等教育学校、開智中学・高等学校、開智未来中学・高等学校、開智日本橋学園中学・高等学校、開智高等学校などが含まれます。
6. 両者の教育理念の共通点
聖ヨゼフ学園は「信・望・愛」を校訓に社会に貢献する人を育てることを重視し、開智学園は「世界の人々や文化を理解・尊敬し、平和で豊かな社会を創るために貢献できる人材の育成」を理念としています。表現は異なりますが、どちらも「社会に貢献する人を育てる」方向性に共通点があります。
また、聖ヨゼフ学園はすでにグローバル教育や探究学習、国際バカロレアMYP認定校を目指す動きを示してきました。開智学園も探究型授業、ICT活用、グローバル教育を重視しています。
開智学園側の公式発表では、「聖ヨゼフ学園が築いてきた伝統とカトリック精神に基づく教育の精神を深く尊重しつつ、開智学園が培ってきた探究を軸とする教育ノウハウや教育環境を融合させる」としています。この表現は重要です。伝統を消すのではなく、融合させる方向が示されています。
7. 「開智横浜国際」という名称について
今回の件では、「開智横浜国際」という名称も話題になっています。一部の受験情報メディアやSNSでは、この名称が取り上げられています。
ただし、2026年6月6日時点で私が確認できた聖ヨゼフ学園公式サイトと開智学園公式サイトの中心情報は、設置法人変更に関する合意です。聖ヨゼフ学園側は、詳細については今後正式に確定次第報告するとしています。
そのため、この記事では「開智横浜国際という名称が話題になっている」と表現するにとどめ、「正式に校名が決定した」とは書きません。
8. 神奈川の中学受験に与える影響
今回の動きは、神奈川の中学受験に少なからず影響を与える可能性があります。特に注目されるのは、横浜・川崎エリアにおける共学校の選択肢です。
保護者が注目する点は主に次のとおりです。
入試難度の変化
学校改革や法人変更のニュースは、志願者数に影響することがあります。ただし「必ず難化する」と断定するのは危険です。入試難度は、募集人数、入試日程、試験科目、合格者数、説明会での印象など複数の要素によって変わります。2027年度入試の募集要項を確認することが必要です。
入試日程と科目
中学受験では入試日程は極めて重要です。2月1日・2日・3日のどこに置くのか、午前・午後入試か、複数回実施かなどは、受験戦略に直結します。これらは今後の発表を確認する必要があります。
教育内容の変化
開智学園側は探究型教育ノウハウとの融合を発表しています。授業時間割、探究プログラム、英語教育、ICT環境、進路指導がどう変わるかは重要な注目点です。
学校文化の継続
聖ヨゼフ学園には、カトリック教育を基盤とした宗教行事、修養会、奉仕の精神などがあります。この伝統がどのように引き継がれるのかは、保護者にとって非常に重要です。
9. 小学校受験・高校受験にも関係する
今回の対象には、聖ヨゼフ学園小学校・高等学校も含まれています。
小学校受験では、どのような家庭が集まるか、英語教育・探究学習の内容、内部進学の基準、12年間の教育方針の一貫性などが重要になります。聖ヨゼフ学園が大切にしてきたカトリック教育がどのように扱われるかは、小学校受験層にとっても関心事です。
高校受験においては、コース設置や大学進学指導の方針変更の可能性があります。英語教育・探究・ICT・大学受験指導がどのように再設計されるかに注目が必要です。
10. 保護者が冷静に確認すべき10項目
- 校名:正式にどうなるのか。聖ヨゼフの名称は残るのか
- 宗教教育:ミサ、修養会、宗教行事はどう継続されるのか
- 在校生への影響:カリキュラム、内部進学、進路指導の扱い
- 教職員体制:先生方はどのように継続されるのか
- 入試日程:2027年度入試でいつ実施されるのか
- 入試科目:2科目・4科目・英語型・適性検査型のどれになるのか
- 特待制度:学校改革期の特待制度の有無
- 大学進学指導:指定校推薦・総合型・一般の方針
- 小中高一貫の設計:内部進学の仕組みと外部入学生との接続
- 学校の雰囲気:説明会での先生の言葉、在校生の様子
11. 「偏差値が上がるか」だけで見てはいけない理由
今回のニュースを受けて「偏差値が上がるのではないか」「今が狙い目」という声も出るかもしれません。
しかし、私は教育者として、偏差値だけで学校を見るべきではないと考えています。偏差値は入試難度の指標として役立ちますが、学校の一部しか表しません。
子どもが6年間でどのような友人と出会うのか。どのような先生に導かれるのか。失敗したときに支えてもらえるのか。得意なことを伸ばしてもらえるのか。保護者と学校が信頼関係を築けるのか。そうした点は、偏差値だけでは測れません。
聖ヨゼフ学園の「本当に勉強する人は優しくなります」という教育観と、開智学園の「探究を軸とする教育」が融合するなら、偏差値上昇以上の意味を持つ可能性があります。
12. 保護者に伝えたいこと
今回のニュースを、焦って判断しないでほしいと思います。注目すべき動きであることは確かです。しかし、現時点では未確定の情報も多くあります。
今すべきことは次の三つです。
- 公式情報を追う:学校公式サイト、開智学園公式サイトの発表を確認する
- 説明会に参加する:先生方の言葉、質問への応答、校内の雰囲気を確認する
- わが子に合うかどうかを考える:偏差値だけでなく、子どもの性格・通学時間・家庭の教育方針と合うかを見る
学校選びの主役は、学校名ではなく、子どもです。
まとめ
聖ヨゼフ学園小学校・中学校・高等学校について、学校法人アトンメント会から学校法人開智学園へ設置法人を変更する方向で合意がなされ、2027年4月1日付での変更に向けて協議・手続きが進められています。2026年6月1日に聖ヨゼフ学園側、2026年6月2日に開智学園側から公式に発表された情報です。
現時点で断定できるのは、設置法人変更に関する基本合意と、協議・認可申請等の手続きが進んでいるという点です。校名・入試制度・宗教教育の細部については、今後の正式発表を待つ必要があります。
教育情報は、不安を煽るためではなく、保護者が冷静に判断するための材料です。公式情報を丁寧に確認し、学校説明会で具体的な質問をし、わが子に合う学校かどうかを冷静に見極めていくことが大切です。
聖ヨゼフ学園が大切にしてきた人間教育を土台にしながら、開智学園の探究型教育とどのように融合していくのか。今後も誠実に見ていきたいと思います。
著者:藤原進之介(株式会社数強塾 代表)
東進ハイスクール情報科専任講師。累計指導生徒数2,000名超。数強塾グループ代表。横浜市石川町。
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