場合の数で最初に決めるのは、解き方ではなく「どちらの道具を使うか」です。
書き出すか、計算するか
この判断を間違えると、時間が足りなくなったり、数え漏らしたりします。
3つの判断基準
| 状況 | 選ぶ道具 |
|---|---|
| 20通りくらいまで | 書き出し |
| 条件が複雑(〜は除く、〜のとき) | 書き出し(または併用) |
| 数が大きく、規則がはっきりしている | 計算 |
迷ったら、まず少しだけ書き出してみる——それで規則が見えたら計算に切りかえます。
やってみる1:小さいので書き出す
1・2・3の3枚のカードを並べて3けたの整数を作ります。全部で何通りですか。
小さい数から順に書き出します。
6通りです。
【検算1】計算でも確かめます。百の位は3通り、十の位は残り2通り、一の位は1通り。
一致 ○
【検算2】百の位ごとに数えます。1で始まるもの2個、2で始まるもの2個、3で始まるもの2個。
どの位で分けても6 ○
やってみる2:大きいので計算する
1・2・3・4・5の5枚から3枚を選んで並べ、3けたの整数を作ります。何通りですか。
60通り以上になりそうです。書き出すのは現実的ではありません。
60通りです。
【検算1】百の位ごとに分けます。百の位が1のものは、残り4枚から2枚を並べるので
百の位は5通りあるので
一致 ○
【検算2】百の位が1のものだけ、少し書き出してみます。
十の位が2のとき3個、3のとき3個、4のとき3個、5のとき3個で12個 ○ 部分を確かめれば全体も信用できます。
やってみる3:条件つきは併用する
1・2・3・4の4枚から3枚を選んで並べ、3けたの偶数を作ります。何通りですか。
計算で解く
偶数なので一の位は2か4——2通り。残り3枚から2枚を並べるので
12通りです。
書き出しで確かめる
一の位が2のもの(十の位を小さい順に)
一の位が4のもの
6+6=12通り ○ 計算と一致しました。
【検算】全体との関係でも確かめます。4枚から3枚を並べるのは
一の位は1・2・3・4が同じ回数ずつ来るので、偶数はちょうど半分。
一致 ○ 3つの方法で同じ答えになりました。
書き出すときのルール
書き出しで失敗するのは、順番を決めずに思いついた順で書くときです。
小さい順・辞書の順など、必ず順序を決める
そうすれば漏れも重複も起きません。樹形図を使うのも同じ理由です。
選ぶだけの問題では2で割る
A・B・C・D・Eの5人から2人を選びます。何通りですか。
並べるなら 通り。しかし「AとB」と「BとA」は同じなので
10通りです。
【検算】順序を決めて書き出します。
10通り ○ Aから始まるもの4個、Bから3個、Cから2個、Dから1個。
足し算でも10 ○
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 「どちらを選ぶか」は解法ではないから
授業では樹形図の書き方やかけ算での求め方を、それぞれ学びます。
ところが本番で必要なのはどちらを使うかの判断です。これは解法そのものではないため、扱われる場面が作られにくいのです。
2. 「順序を決めて書く」が当たり前とされやすいから
樹形図は自然に順序が決まる書き方です。だから「順序を決める」という原則が言葉にされにくい。
樹形図を使わずに書き出すと、とたんに漏れが出ます。原則を意識しているかどうかで差がつきます。
3. 「同じものを2回数えていないか」の確認が難しいから
並べるのか選ぶのか——2で割るかどうかは問題文の読み取りで決まります。
この判断は組み合わせの考え方にあたり、小学校の配当では踏み込みにくい部分です。小さい例で書き出して確かめるのが確実な方法になります。
【検算】3つの方法
1. 書き出しと計算の両方でやる
小さい問題なら必ず両方——これが最強の検算です。
【検算】3枚のカード:書き出し6通り、計算も6通り ○
2. 一部だけ書き出して規則を確認する
全部でなくてよいのがポイントです。
【検算】百の位が1のものだけ数えて12個 ○
3. 全体との関係を見る
【検算】偶数12通りは、全24通りのちょうど半分 ○
よくあるミス
ミス1:順序を決めずに書き出す
小さい順など、規則を決めます。
ミス2:書き出せる量なのに計算で迷う
20通りまでなら書いたほうが速いことも多いです。
ミス3:書き出せない量を書き出そうとする
時間切れになります。見当をつけてから始めます。
ミス4:並べると選ぶを混同する
順番が関係するかを確認します。
ミス5:条件を最後に確認しない
偶数・0を使わないなどの条件を見落とさないように。
ミス6:数え終わったあと検算しない
別の分け方でもう一度数えます。
練習問題
- 1・2・3の3枚で作れる3けたの整数を、すべて書き出しなさい。
- 1の個数を計算でも求めなさい。
- 1〜5の5枚から3枚を選んで並べる場合の数を求めなさい。
- 3で百の位が1のものが何通りか求めなさい。
- 1〜4の4枚から3枚を並べてできる3けたの偶数の個数を求めなさい。
- 5を「全体の半分」として検算しなさい。
- 5人から2人を選ぶ場合の数を、計算と書き出しの両方で求めなさい。
解答
- 123・132・213・231・312・321の6通り
- 6通り
- 60通り
- 12通り
- 12通り
- ○
- 、書き出しでも10通り ○
まとめ
- 20通りくらいまでは書き出す
- 条件が複雑なら書き出し(または計算と併用)
- 大きくて規則的なら計算
- 書き出すときは必ず順序を決める
- 選ぶだけなら2で割る(並べる場合との違い)
- 検算は両方の方法/一部を書き出す/全体との関係
場合の数は「数え方を工夫する」分野です。計算で一気に出すのがかっこよく見えますが、入試では確実さのほうが大切。書き出せる量なら書き出して、計算の答えと合っているか確かめる——この習慣が、いちばん点数を守ってくれます。
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