部分積分で迷うのは1点だけ。どちらを微分する側にするか。
基準は単純です。
微分すると簡単になるほうを、微分する
結論:公式と選び方
が微分される側、 が積分される側です。
優先順位
| 順位 | 関数 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | そのままでは積分できない | |
| 2 | 多項式() | 微分すると次数が下がる |
| 3 | 三角関数・指数関数 | 微分しても複雑にならない |
上にあるものを微分する側にします。 が入っていたら迷わずそれ。
なぜこの公式なのか
積の微分を積分しただけです。
両辺を積分すると
移項して
新しい公式ではありません。積の微分の逆です。
やってみる1:
は微分すると1——ぐっと簡単になります。 は積分しても のまま。
だから 、。
【検算】微分して戻します。
一致 ○
逆に選ぶとどうなるか
もし 、 とすると 。
次数が上がって、もっと難しくなりました。選び方が逆だと分かります。
【検算】元は (1次)、変形後は (2次)。複雑化 ○
やってみる2:
、 なので 。
【検算】微分します。
一致 ○ が打ち消し合いました。
やってみる3:
は、そのままでは積分できません。だから微分する側にするしかない。
相方がないので と考えます()。
【検算】微分します。
一致 ○
と置く——この発想は を積分するときの定石です。
やってみる4:2回使う
を求めよ。
、。
残った積分は、やってみる1の2倍です。
したがって
【検算】微分します。
一致 ○
【検算2】次数が下がっているか。 定数。2回で終わるのは正しい ○
やってみる5:循環して戻る型
を求めよ。
どちらを選んでも簡単になりません。それでも2回使うと、もとの形が現れます。
求める積分を とおきます。
右の積分にもう一度使うと
代入して
方程式として解く——これが循環型の処理です。
【検算】微分します。
一致 ○ が打ち消し合いました。
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 選び方の基準が言語化されにくいから
公式そのものは1行です。ところがどちらを にするかは問題ごとの判断。
「微分すると簡単になるほう」という基準は言えますが、公式の内容ではないので、明示されにくい。優先順位の表を1つ持っておくだけで、迷いが消えます。
2. の扱いが特殊に見えるから
では相方がないのに と置く——これは初見では思いつきません。
しかし理由は明快で、 をそのまま積分する方法がないから微分する側に回すしかない。この必然性が示されると、暗記でなくなります。
3. 循環型が発展扱いになりやすいから
は「同じ形が戻ってきたら方程式として解く」という別の発想が要ります。
この型は応用問題として後ろに置かれやすいため、2回使っても終わらないときに手が止まりがちです。戻ってきたら勝ち——そう知っていれば慌てません。
【検算】3つの方法
1. 微分して戻す
絶対的な検算です。積の微分を使います。
【検算】 を微分して ○
2. 選択を逆にして複雑になるか確かめる
正しい選び方なら、逆は必ず複雑になります。
【検算】 だと が出て次数が上がる ○
3. 定積分は数値積分と比べる
【検算】。数値積分でも1 ○
よくあるミス
ミス1:微分する側を逆にする
複雑になったら選び直します。
ミス2: を求めるとき積分定数をつける
途中の には不要です(最後に をつけます)。
ミス3:マイナスを落とす
のマイナスを忘れがちです。
ミス4: を積分しようとする
微分する側にします。 と置きます。
ミス5:循環型で を移項し忘れる
方程式として解きます。。
ミス6:定積分で の部分に区間を入れ忘れる
です。
練習問題
- を求めなさい。
- を求めなさい。
- を求めなさい。
- を求めなさい。
- 4の答えを微分して検算しなさい。
- を求めなさい。
- どちらを微分する側にするかの基準を答えなさい。
解答
- 。検算:微分して ○
- ( と置く)
- ○
- より
- 微分すると簡単になるほう( → 多項式 → 三角・指数の順)
まとめ
- (積の微分の逆)
- 選び方は微分すると簡単になるほうを
- 優先順は → 多項式 → 三角・指数
- は と置く
- 多項式は次数の数だけ繰り返す
- 同じ形が戻ったら方程式として解く
- 検算は微分して戻す/逆の選択と比べる/数値積分
部分積分は「積分できない形を、積分できる形に取り替える」操作です。難しさをそっくり移すのではなく、少しずつ簡単な方へ移していく。だから「微分すると簡単になるほう」を選ぶ。方針が分かれば、迷う場面は消えます。
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