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分散と標準偏差の違いと使い分け|数Iデータの分析

2026 8/03
数学のなぜ
2026-08-03
数学・算数の記事|ジュクウェブ!のキャラクター はむち

「分散と標準偏差、どっちを使えばいいのか分からない」——数Iのデータの分析で最も多い質問です。

答えは単純です。標準偏差だけが、元のデータと同じ単位を持っています。分散は途中の計算結果、標準偏差が最終的に使える値です。

目次

結論:分散は途中、標準偏差が答え

分散 標準偏差
定義 偏差の2乗の平均 分散の正の平方根
単位 点²(元の単位の2乗) 点(元と同じ)
使い道 計算の途中 散らばりの大きさそのもの

単位がすべてです。テストの点数(点)の分散は「点²」という意味の分からない単位になる。だから最後に を取って「点」に戻す——それが標準偏差です。

なぜ2乗するのか

散らばりを測りたいなら、まず偏差(各データ 平均)を考えます。

偏差

ところが偏差をそのまま平均すると、必ず0になります。プラスとマイナスが打ち消し合うからです。

偏差の和が0になる理由

(平均の定義そのもの)だからです。データが何であっても例外なく0になります。

だから符号を消す必要がある。方法は2つ。

  • 絶対値をとる(平均偏差)
  • 2乗する(分散)

2乗が選ばれた理由は式として扱いやすいからです。絶対値は場合分けが必要で、展開もできません。2乗なら展開でき、次の別公式が出てきます。

分散の別公式:2乗の平均 平均の2乗

導き方



これが2乗を選んだ最大の見返りです。絶対値ではこの変形ができません。

具体例:10点満点の小テスト(8人)

Aクラス:2, 4, 4, 4, 5, 5, 7, 9

平均

偏差と2乗

得点 2 4 4 4 5 5 7 9 計
偏差 0 0 2 4 0
偏差² 9 1 1 1 0 0 4 16 32

偏差の合計が0になっています。ここが最初の検算ポイントです。

分散4(点²)、標準偏差2(点)です。

【検算】別公式でも計算します。2乗の合計は


一致 ○

平均が同じでも散らばりは違う

Bクラス:4, 4, 4, 4, 6, 6, 6, 6

平均は同じ5点です。偏差はすべて なので

平均 分散 標準偏差
Aクラス 5点 4 2点
Bクラス 5点 1 1点

平均だけでは区別できない差が、標準偏差で見えます。Aは上下に広く、Bは真ん中に固まっている。

【検算】Bも別公式で。2乗の合計は 。

一致 ○

標準偏差が実際に使われる場面:偏差値

偏差値は標準偏差を単位にして測り直した点数です。

偏差値

Aクラス(平均5、標準偏差2)で計算すると

得点 偏差 偏差 偏差値
9 4 2 70
7 2 1 60
5 0 0 50
2 35

分散では割れません。単位が「点²」なので、点数を割ると意味が壊れる。同じ単位の標準偏差だから割れる——これが「使い分け」の答えです。

【検算】同じ人をBクラス基準(平均5、標準偏差1)で測ると

得点7なら 。Aでは60、Bでは70。散らばりが小さい集団ほど、同じ点差が大きな偏差値差になります。

データを動かすとどうなるか

全員に同じ点を足す → 分散は変わらない

Aクラス全員に3点足すと 5, 7, 7, 7, 8, 8, 10, 12。

平均は に動きますが、偏差はまったく同じ()。

【検算】2乗の合計は 。

分散4のまま ○。標準偏差も2のままです。

全員を2倍する → 分散は4倍、標準偏差は2倍

Aクラス全員を2倍すると 4, 8, 8, 8, 10, 10, 14, 18。平均は10。

偏差が2倍になるので偏差²は4倍。

【検算】2乗の合計は 。

分散は ○、標準偏差は ○

一般に、 と変換すると

、

は消えます。平行移動しても散らばりは変わらないからです。

学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか

1. データの分析が数Iの最後に配置されているから

教科書の並びではデータの分析は数Iの最終単元です。学年末に近い時期に扱われるため、配当時間の圧迫を受けやすい位置にあります。

結果として定義と計算手順の練習が優先され、「なぜ2乗するのか」「なぜ で戻すのか」という意味の説明が後回しになりやすい構成です。

2. 中学の「散らばり」と発想が変わるから

中学では四分位範囲や箱ひげ図で散らばりを扱います。これは順位で区切る方法です。

ところが分散は平均からの距離を2乗して平均するという、まったく別の発想です。接続の説明が入らないと、新しい公式が1つ増えただけに見えます。

3. 計算量が多く、そこで時間が尽きるから

分散の計算は平均→偏差→2乗→合計→割ると5工程あります。授業でも演習でも手を動かす時間が長い。

そのため「分散と標準偏差の使い分け」まで到達しないまま単元が終わることが起こりやすい構成になっています。

【検算】3つの方法

1. 偏差の合計が0か

必ず0です。0にならなければ、平均か偏差の計算が間違っています。

【検算】Aクラス: ○

2. 別公式と一致するか

定義通りの計算と別公式は、必ず同じ値になります。

定義から 別公式から
Aクラス ○
Bクラス ○

3. 分散が負になっていないか

分散は2乗の平均なので、絶対に0以上です。負になったら計算ミス。

また が常に成り立ちます(別公式が0以上だから)。

【検算】A: ○、B: ○

分散が0になるのは、全員が同じ値のときだけです。

よくあるミス

ミス1:分散を「散らばりの大きさ」として答える

単位が違います。点数の散らばりを点で言いたいなら標準偏差です。

ミス2: を取り忘れる/余分に取る

分散 → 標準偏差 。文字の形が答えを教えています。

ミス3:偏差を足して割ってしまう

必ず0になります。2乗してから平均します。

ミス4:全員に定数を足すと分散が変わると思う

変わりません。平行移動では散らばりは変化しないからです。

ミス5:2倍したとき標準偏差も4倍だと思う

分散が4倍、標準偏差は2倍です。。

ミス6:別公式を と逆に覚える

負になったら逆です。分散は0以上なので必ず気づけます。

練習問題

データ 1, 3, 5, 7, 9 について答えなさい。

  1. 平均を求めなさい。
  2. 偏差をすべて書き、合計が0になることを確かめなさい。
  3. 分散を定義から求めなさい。
  4. 2乗の平均を求め、別公式で分散を確かめなさい。
  5. 標準偏差を求めなさい。
  6. 全員に10を足したときの分散と標準偏差を求めなさい。
  7. 全員を3倍したときの分散と標準偏差を求めなさい。
  8. 得点9の人の偏差値を求めなさい。

解答

  1. 5
  2. 。合計 ○
  3. 偏差²は 、合計40。8
  4. 2乗の合計は 、。8 ○
  5. (約2.83)
  6. 分散8、標準偏差(変わらない)。検算:11,13,15,17,19 の平均15、偏差は同じ ○
  7. 分散 72、標準偏差 。検算: ○
  8. 64.1

まとめ

  • 偏差の合計は必ず0。だから2乗する
  • 分散=偏差²の平均(単位は元の2乗)
  • 標準偏差=分散(単位は元と同じ)——これが実際に使う値
  • 別公式 は展開から出る。検算にも使える
  • では変わらず、 で分散は 倍・標準偏差は 倍
  • 偏差値は標準偏差で割る。単位が同じだから割れる
  • 検算は偏差の和0/別公式と一致/分散は0以上

「散らばりを2乗の平均で測る」という考え方は、数Bの共分散・回帰直線、そして統計的な推測へそのまま続きます。2乗して平均し、最後に で単位を戻す——この一連の動きを、Aクラスの8個の数字で一度手計算しておけば、以降の単元で迷わなくなります。

この単元でつまずいたままなら

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この記事を監修した人

藤原 進之介のアバター 藤原 進之介

藤原進之介は、日本の作家・予備校講師。東進ハイスクール・東進衛星予備校・代々木ゼミナールなど出講実績あり。日本初の「情報」科目専門講師。武田塾教務部情報課課長。河野玄斗の河野塾ISM講師。著書4万部突破。株式会社数強塾代表取締役。
著書『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA)はベストセラー。Amazonランキング1位。​
神奈川県横須賀市出身。20歳で起業し学習塾を計7校舎立ち上げる。数学専門塾「数強塾」代表。英検対策の「英論会」・国語専門塾「論塾」・総合型選抜専門塾「AOG」など含む数強塾グループでは、累計3,500名以上の中高一貫校生を指導。​数検1級。情報I専門塾「情報ラボ」代表。

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株式会社数強塾 代表取締役の藤原進之介です。マンツーマン指導の数学のレッスンを専門にしています。このサイトでは、おすすめの数学専門塾・英語専門塾・オンライン塾や個人塾の長所を紹介します。

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