平均値・中央値・最頻値——3つとも「データを代表する値」です。
どれが正しいかではなく、何を知りたいかで選ぶ
選び方の決め手は1つ。極端な値があるかどうかです。
3つの求め方
| 代表値 | 求め方 |
|---|---|
| 平均値 | 合計 ÷ 個数 |
| 中央値 | 小さい順に並べてまん中の値 |
| 最頻値 | いちばん多く出てくる値 |
やってみる:9人の読書冊数
9人が1か月に読んだ本の冊数は次のとおりです。平均値・中央値・最頻値を求めなさい。
0、1、1、2、2、2、3、4、21
平均値
平均は4冊です。
中央値
9個なので、まん中は5番目。
小さい順に並べると 0、1、1、2、2、2、3、4、21。5番目は2冊です。
最頻値
2が3回で最多なので2冊です。
ここで問題が起きる
平均は4冊。でも4冊以上読んだ人は何人でしょうか。
4冊の人と21冊の人——たった2人です。9人中7人が平均未満。
「平均以下の人が大多数」ということが起こる
原因は21冊という極端な値です。1人だけ飛び抜けていると、平均はその方向へ大きく引っぱられます。
【検算1】平均×個数が合計に戻るか確かめます。
一致 ○ 計算は正しい。おかしいのは平均を代表値として使うことのほうです。
【検算2】21冊の人を除いた8人で計算し直します。
平均は4冊から1.875冊へ——大きく動きました ○
【検算3】同じ8人の中央値を求めます。偶数個なので4番目と5番目の平均。
中央値は2冊のまま——1人抜けても変わりません ○
これが使い分けの理由
| 9人 | 21冊の人を除く8人 | |
|---|---|---|
| 平均値 | 4 | 1.875 |
| 中央値 | 2 | 2 |
| 最頻値 | 2 | 2 |
平均値だけが大きく動きます。極端な値があるときは、中央値のほうが「ふつうの人」の実感に近くなります。
偶数個のときの中央値
1、2、3、4、5、6 の中央値を求めなさい。
6個なのでまん中の1つがありません。3番目と4番目の平均をとります。
3.5です。データの中にない値になることもあります。
【検算】3.5より小さいのは1・2・3の3個、大きいのは4・5・6の3個。ちょうど半分ずつ ○
最頻値が役に立つ場面
ある店で1日に売れた靴のサイズは、23.5・24.0・24.0・24.5・25.0・24.0・26.0(cm)でした。次に何cmを多く仕入れるべきですか。
平均は
しかし24.4cmの靴は売っていません。仕入れの判断に使うなら最頻値の24.0cmです。
【検算】24.0が3回でいちばん多い ○ 「実際にある値」でなければ困る場面では最頻値を使います。
使い分けのまとめ
| 知りたいこと | 使う代表値 |
|---|---|
| 全体を等分したらいくつか | 平均値 |
| まん中の人はどのくらいか | 中央値 |
| いちばん多いのはどれか | 最頻値 |
| 極端な値がある | 中央値 |
| 個数や在庫を決めたい | 最頻値 |
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 3つの「求め方」が中心になるから
平均・中央値・最頻値は、それぞれ計算の手順を学びます。手順は短く、練習もしやすい。
ところが本当に難しいのはどれを選ぶかです。これは場面ごとの判断で、計算練習では鍛えられません。
2. 「平均が不適切な場合がある」は統計の考え方だから
平均が実感とずれるのは、分布が偏っているからです。分布の形を扱うのは高校のデータの分析にあたります。
中学1年の配当では代表値の計算までで手一杯になりやすく、その先の判断まで進みにくいのです。
3. 偶数個の中央値が例外的な手順だから
奇数個なら「まん中の1つ」。偶数個なら「まん中2つの平均」——手順が2通りあります。
しかも偶数個のときはデータにない値が中央値になります。この違和感を確認する場面が作られにくいのです。
【検算】3つの方法
1. 平均×個数=合計 に戻す
最も確実です。
【検算】 ○
2. 中央値の位置を数える
番目です。偶数個ならその前後2つの平均。
【検算】 番目 ○ より小さいのが4個、大きいのが4個
3. 極端な値を除いて計算し直す
平均だけ大きく動けば、そのデータには極端な値があります。
【検算】平均 、中央値 ○
よくあるミス
ミス1:並べかえずに中央値を取る
小さい順に並べてからです。
ミス2:偶数個で1つだけ選ぶ
2つの平均です。
ミス3:最頻値を「いちばん大きい値」とする
いちばん多く出てくる値です。
ミス4:最頻値が2つ以上ある場合を見落とす
同数なら複数あります。
ミス5:平均だけで判断する
極端な値がないか確認します。
ミス6:個数を数え間違える
データの個数を先に確定します。
練習問題
- 0、1、1、2、2、2、3、4、21 の平均値を求めなさい。
- 同じデータの中央値を求めなさい。
- 同じデータの最頻値を求めなさい。
- 平均未満の人が何人いるか答えなさい。
- 21を除いた8人の平均値と中央値を求めなさい。
- 1、2、3、4、5、6 の中央値を求めなさい。
- 靴の仕入れで使うべき代表値を答えなさい。
解答
- 4冊
- 5番目なので2冊
- 3回出てくる2冊
- 0・1・1・2・2・2・3 の7人
- 平均1.875冊、中央値2冊
- 3.5
- 最頻値(実際にあるサイズでなければ困るから)
まとめ
- 平均値=合計÷個数、中央値=まん中、最頻値=いちばん多い値
- 平均は極端な値に引っぱられる
- 中央値は引っぱられない
- 偶数個の中央値はまん中2つの平均
- 在庫やサイズの判断には最頻値
- 検算は平均×個数/中央値の位置/極端な値を除く
ニュースで「平均年収」「平均貯蓄額」という数字を見たとき、「中央値はいくつだろう」と考えられる人は強い。平均だけを見ていると、実態とずれた判断をしてしまいます。3つの代表値を並べて見る——それが、データを正しく読む第一歩です。
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