円と直線の位置関係を調べる方法は2つあります。判別式と中心からの距離。どちらでも答えは同じです。
問題はどちらを使うか。基準は1つ、交点の座標がいるかどうかです。
結論:座標がいるなら判別式、位置だけなら距離
| 判別式 | 中心からの距離 | |
|---|---|---|
| やること | 連立して2次方程式に | と を比べる |
| 速さ | 計算がやや重い | 速い |
| 交点の座標 | そのまま出る | 別に求める必要あり |
| 円が一般形 | そのまま使える | 平方完成が必要 |
判定は次のとおり。向きが逆なので注意してください。
| 位置関係 | 判別式 | 距離 |
|---|---|---|
| 2点で交わる | ||
| 接する | ||
| 交わらない |
2つの方法は同じことを言っている
実際に確かめます。円 と直線 で調べます。
判別式で
代入して を消します。
2次方程式の判別式は( の係数が偶数なので4分の1で)
となるのは 、つまり 。
距離で
直線を に直します。中心は原点、半径は 。
は
まったく同じ条件が出ました ○
【検算】()で確かめます。
交点は の2点。座標は と 。
円上か確かめます。 ○、 ○ 確かに2点で交わっています。
やってみる1:接する場合
円 と直線 の位置関係を調べよ。
判別式で
10で割ると
重解 。つまり接します。接点は より 。
距離で
直線を に直します。中心は原点、半径 。
なので接する ○ 同じ結論です。
【検算】接点 が両方を満たすか。
円上でも直線上でもある ○
やってみる2:交わらない場合
円 と直線 の位置関係を調べよ。
距離で(速い)
半径は1。 なので交わりません。
判別式で
を代入します。
実数解なし ○ 同じ結論です。
【検算】 ○
円が一般形のとき
円 と直線 の位置関係を調べよ。
距離を使うには、中心と半径が必要です。平方完成します。
中心 、半径3。距離は
なので接します。
【検算】接点を求めます。中心から の向きに3進むと
直線上か: ○
円上か: ○
確かに接点です。
一般形のままなら判別式のほうが速い場合もあります。平方完成の手間を天秤にかけてください。
おまけ:弦の長さは三平方で
2点で交わるとき、弦の長さは距離 から一発で出ます。
弦の長さ
中心から弦におろした垂線は弦を2等分するので、半径・・弦の半分で直角三角形ができるからです。
円 と直線 が交わってできる弦の長さを求めよ。
【検算】交点を実際に求めます。 を代入すると
のとき 、 のとき 。
2点間の距離は
一致 ○
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 2通りあることは示されても、選ぶ基準が示されにくいから
教科書には両方の方法が並べて書かれます。どちらも正しいので、どちらで解いてもよい。
ところが実際には問題によって手間が大きく違います。この「選び方」は解法の知識ではなく経験に属するため、明示的な項目として置かれにくい。結果として、いつも同じ方法で押し通して時間を失うことになります。
2. 「2つが同値である」ことを確かめる場面がないから
判別式の条件と距離の条件は式の形がまったく違います。それでも同じ結論になる。
この一致を実際に計算で確かめると理解が深まりますが、どちらか一方で答えが出れば問題としては終わり。両方やる動機が生まれにくい構成です。検算として2通りやる価値は大きい。
3. 弦の長さが別の項目に分かれやすいから
は位置関係の判定と同じ を使い回すだけです。
しかし位置関係と弦の長さは別の設問として扱われることが多く、「 さえ出せば両方いける」という見通しが立ちにくい。1回の計算で2つ答えられると知っていれば、試験で有利になります。
【検算】3つの方法
1. もう一方の方法でも判定する
判別式と距離は独立した2つの道筋です。両方で同じ結論なら確実。
【検算】 と :重解 ○、 ○
2. 交点・接点を求めて両方の式に代入する
円の式と直線の式の両方を満たすはずです。
【検算】: ○、 ○
3. 弦の長さを2通りで求める
【検算】、交点間の距離も8 ○
よくあるミス
ミス1:不等号の向きを取り違える
と が同じです。向きが逆になります。
ミス2:直線を の形に直さずに距離を計算する
にしてから代入します。
ミス3:一般形の円で中心を読み違える
平方完成が必要です。 なら中心の 座標は2(符号に注意)。
ミス4:判別式で を消し忘れる
1文字にしてから判別式を使います。
ミス5:重解を「解が1個」と数えて交点1個と結論する
結論は正しい(接する)のですが、接点は1点という言い方が正確です。
ミス6:弦の長さで のまま答える
2倍を忘れないこと。半分の長さです。
練習問題
- 円 と直線 が2点で交わる の範囲を、判別式で求めなさい。
- 同じ問題を、中心からの距離で求めなさい。
- 円 と直線 の位置関係と、接するなら接点を求めなさい。
- 円 と直線 の位置関係を調べなさい。
- の中心と半径を求めなさい。
- 5の円と直線 の位置関係を調べなさい。
- 円 と直線 が交わってできる弦の長さを求めなさい。
解答
- 、 より
- より 。同じ範囲 ○
- で重解。接する。接点。検算: ○
- より交わらない。検算: ○
- より中心、半径3
- より接する。接点は
- 、8。検算:交点 と の距離も8 ○
まとめ
- 判定は2通り:判別式 と 中心からの距離
- (不等号の向きが逆)
- 交点の座標が必要なら判別式、位置関係だけなら距離
- 円が一般形なら平方完成してから距離を使う
- 弦の長さは( を使い回せる)
- 検算はもう一方の方法/交点を両方の式に代入/弦を2通りで
「2通りの解法があるとき、片方をもう片方の検算に使う」——これは図形と方程式の全体を通じて有効な戦略です。座標を使う方法と、図形の性質を使う方法。どちらも使えるようにしておくと、時間と正確さの両方が手に入ります。
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