円順列の公式は 。なぜ1つ減るのかが分からないまま暗記すると、少し形を変えられただけで手が止まります。
理由は単純です。円は回しても同じ。だから同じ並びを 回ずつ数えてしまっている。 で割ると になります。
結論:回転の 通りで割る
一列に並べるなら 通りです。ところが円では、全員が1つずつ席をずれても「同じ並び」とみなします。
席をずらす方法は0個ずらす、1個ずらす、…、 個ずらすの 通り。つまり1つの円の並びが 回数えられています。
これが公式の正体です。新しい公式ではなく、数えすぎた分で割り戻しただけです。
やってみる:4人を円形に
A、B、C、Dの4人を円卓に座らせます。公式では
【検算】実際に確かめます。席に1〜4の番号をつけて一列とみなすと 通り。
そのうちABCDと同じ円の並びになるものは、回して重なるもの全部です。
ABCD、BCDA、CDAB、DABC
4通り。同じように、どの並びも4通りずつ重なります。だから
6通り ○ 公式と一致しました。
6通りを全部書くと
ABCD、ABDC、ACBD、ACDB、ADBC、ADCB
Aを先頭に固定して書き出したものです。これがもう1つの考え方につながります。
もう1つの見方:1人を固定する
円には先頭がありません。そこでAの席を1か所に決めてしまうと、回転の自由度が消えます。
あとは残り 人を、Aから見て時計回りに並べるだけ。
割り算をしないで、最初から重複が起きない数え方をしたわけです。
| 考え方 | 式 | 4人のとき |
|---|---|---|
| 数えて割る | ||
| 1人を固定する |
どちらでも同じです。試験では固定する方が速いので、こちらを使ってください。
割り算が使える条件
「 で割る」が正しいのは、どの並びも例外なく 通りずつ重なっているときだけです。
全員が違う人なら、これは必ず成り立ちます。ずらす個数が違えば、必ず別の並びになるからです。
同じものが混じると成り立たない
ここが重要です。同じものを含むとき、 は使えません。
赤玉2個、青玉2個を円形に並べる方法は何通りか。
公式をあてはめると を4で割って 。整数になりません。
【検算】書き出して確かめます。一列での並べ方は6通りでした。
赤赤青青、赤青青赤、青青赤赤、青赤赤青 ← 回すと全部同じ
赤青赤青、青赤青赤 ← 回すと同じ
1つ目のまとまりは4通り、2つ目は2通り。重なる回数がそろっていません。
だから割り算は使えず、答えは2通り(赤赤青青の形と、赤青赤青の形)。
赤青赤青は、2つ回すと自分に戻ってしまう——これが例外の正体です。
隣り合う条件がついたら
6人が円卓に座る。特定の2人が隣り合う座り方は何通りか。
2人を1組にまとめます。すると「5個のもの」の円順列。
組の中で2人の左右が入れ替わるので 。
【検算】全体は 通り。隣り合わない場合は
別の数え方でも確かめます。1人を固定すると、その人の両隣は2席。特定の相方がそこに入るのは
(相方が両隣のどちらかに座り、残り4人が4席に並ぶ)。一致 ○
じゅず順列:さらに2で割る
ネックレスのように裏返しても同じとみなすときは、円順列をさらに2で割ります。
6個なら 通り。
【検算】4個で確かめます。円順列は6通りでした。裏返しで重なるペアを探すと
| 円順列 | 裏返すと |
|---|---|
| ABCD | ADCB |
| ABDC | ACDB |
| ACBD | ADBC |
ちょうど3組のペアになりました。 通り ○
全員が異なるとき、裏返して自分自身に戻る並びはないので、きれいに2で割れます。
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 「1人を固定する」という結論だけが残りやすいから
解法としては固定する方が速いため、授業でも問題集でもこちらが前面に出ます。
ところがなぜ固定してよいのか——「回転で重なるものを1つに代表させている」という説明は、図1枚で済まされやすい位置にあります。手順が短いぶん、根拠に時間が割かれにくい構成です。
2. 直前の単元と「割る意味」が同じなのに、別公式として並ぶから
同じものを含む順列で で割ったのも、円順列で で割るのも、「重複して数えた分で割り戻す」というまったく同じ操作です。
しかし教科書では別々の項目として順に並ぶため、共通の原理としてまとめて扱われにくい。結果として公式が2つ増えたように見える構成になっています。
3. 「同じものを含むと使えない」という制限の扱いが小さいから
赤2個青2個のような場合に が使えないことは、発展的な内容として扱われることが多く、標準の演習では出てきにくい。
そのため直前に習った「同じものを含む順列」と機械的につなげて誤用することが起こりやすくなっています。答えが整数にならなければ誤用のサイン——これを知っておくだけで防げます。
【検算】3つの方法
1. 小さい で全部書き出す
| 書き出し | ||
|---|---|---|
| 3 | ABC、ACB ○ | |
| 4 | 6通り ○ |
2. 「固定する」と「割る」で一致するか
【検算】:、 ○
3. 整数になるか
並べ方の個数なので必ず整数です。分数が出たら、同じものが混じっているのに公式を使った可能性が高い。
【検算】赤2青2で ○(=この式は使えないという合図)
よくあるミス
ミス1: のまま答える
回転で重なる分を割っていません。円に先頭はありません。
ミス2: で割ってしまう
割るのは回転の個数 です。結果が になるだけで、 で割るのではありません。
ミス3:同じものを含むのに を使う
使えません。重なる回数がそろわないからです。
ミス4:じゅず順列で2で割り忘れる/円順列で2で割ってしまう
裏返しを同じとみなすかどうかで決まります。問題文の「ネックレス」「じゅず」を見落とさないこと。
ミス5:隣り合う条件で を忘れる
組の中の左右の入れ替えがあります。
練習問題
- 5人が円卓に座る方法は何通りか。
- 6人が円卓に座る方法は何通りか。
- 3人の円順列をすべて書き出しなさい。
- 6人のうち特定の2人が隣り合う座り方は何通りか。
- 6人のうち特定の2人が隣り合わない座り方は何通りか。
- 異なる6個の玉でつくるじゅず順列は何通りか。
- 7人が円卓に座り、特定の3人が続いて並ぶ方法は何通りか。
解答
- 24。検算: ○
- 120。検算: ○
- Aを固定してABC、ACB の2通り。 ○
- 2人を1組とみなして 48
- 72。検算: ○
- 60
- 3人を1組とみなすと5個の円順列。144。検算:全体は なので、割合は 。7席のうち3人が続く並びの割合として妥当 ○
まとめ
- 円順列は回転で重なるものを同じとみなす
- 1つの並びが 回数えられるので、
- 実戦では1人を固定して残り 人を並べるのが速い
- 割り算が使えるのはどの並びも 回ずつ重なるときだけ
- 同じものを含むと使えない(答えが整数にならないのが合図)
- じゅず順列は裏返しも同じなので
- 隣り合う条件は1組にまとめて、中の並べ方をかける
円順列・じゅず順列・同じものを含む順列——見た目は3つの公式ですが、やっていることは全部同じです。「区別しすぎて数えた分を、重複の回数で割り戻す」。その回数がすべての場合で等しいときにだけ、割り算が使える。この1文を持っておけば、公式を忘れても現場で組み立て直せます。
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