「中心角は円周角の2倍」。中3で習うこの関係、なぜ2倍なのかを説明された記憶はあるでしょうか。
証明は驚くほど簡単です。使うのは二等辺三角形の性質と、外角の定理だけ。一度追っておくと、円の単元全体が見通しやすくなります。
結論:半径が2本あるから二等辺三角形ができる
証明の核心は1行です。
円の半径はすべて等しい。だから中心と円周上の2点を結ぶと、必ず二等辺三角形になる。
二等辺三角形の底角は等しく、外角はその2つの底角の和——つまり底角の2倍。これが「2倍」の正体です。
証明:中心が角の内部にある場合
円の中心を 、円周上に3点 、、 をとります。弧 に対する円周角 と中心角 を比べます。
補助線を1本引きます: と を結び、その延長が円と交わる点を とします。
三角形 OPA に注目
(どちらも半径)なので、二等辺三角形です。よって底角が等しく
この角を とおきます。
三角形の外角は、隣り合わない2つの内角の和に等しいので
三角形 OPB も同様
なので二等辺三角形。底角を とおくと
足し合わせる
円周角は 。中心角は
したがって
使ったのは「半径が等しい」「二等辺三角形の底角は等しい」「外角=内角の和」の3つだけです。
【検算】座標で実際に角度を測って確かめる
単位円上に点をとって、角度を数値で確認します。
中心 、半径1の円周上に
- :角度 の位置
- :角度 の位置
- :角度 の位置(弧ABの反対側)
中心角 。円周角 を計算すると 。
確かにちょうど半分です。
Pの位置を変えても同じになります。
| Pの角度 | 円周角 | 中心角の半分 |
|---|---|---|
| 150° | 40° | 40° |
| 200° | 40° | 40° |
| 270° | 40° | 40° |
| 330° | 40° | 40° |
Pをどこに動かしても円周角は変わりません。これが「同じ弧に対する円周角は等しい」(円周角の定理)の内容です。
なぜPを動かしても変わらないのか
上の証明を見返してください。中心角 は、Pの位置とは無関係に決まっています。弧ABだけで決まる量です。
そして円周角は常にその半分。だからPがどこにあっても同じ値になる——これが定理の本質です。
「同じ弧なら円周角は等しい」を暗記するのではなく、「中心角という不動の基準の半分だから」と理解しておけば、忘れることがありません。
系:直径に対する円周角は90°
弧ABが半円のとき、中心角は 。よって円周角は
直径を見たら直角。これは「タレスの定理」として知られていますが、円周角の定理の特別な場合にすぎません。
【検算】単位円で 、(直径)、 を角度 の位置にとって を計算すると 90.000°。Pを や に動かしても、すべて90°でした。
中心が角の外にある場合
上の証明は「中心Oが の内部にある」場合でした。中心が外にある配置では、足し算ではなく引き算になります。
考え方は同じで、、 を作ってから
結論は変わりません。どの配置でも「中心角=円周角の2倍」が成り立ちます。
よくあるミス
ミス1:どちらの弧の中心角か取り違える
弧ABには短いほう(劣弧)と長いほう(優弧)があります。円周角がどちらの弧に対するものかで、対応する中心角が変わります。
点Pが優弧上にあるなら、対応するのは劣弧の中心角です。上の例で中心角80°に対して円周角40°でしたが、Pが劣弧側(角度 の位置など)にあれば、対応する中心角は となり、円周角は です。
【検算】。円に内接する四角形の対角の和が180°になるのは、この関係から出てきます。
ミス2:円周角の定理の逆を使うときに条件を落とす
「 ならP, Qは同一円周上」——これが逆の定理ですが、PとQが直線ABの同じ側にあることが条件です。反対側にあると成り立ちません。
ミス3:接弦定理と混同する
接線が絡む場合は接弦定理(接線と弦のなす角=その弦に対する円周角)を使います。円周角の定理とは別物なので、図に接線があるかどうかを確認してください。
練習問題
- 弧ABに対する中心角が のとき、円周角を求めなさい。
- 弧ABに対する円周角が のとき、中心角を求めなさい。
- ABが直径で、円周上の点Pをとる。 のとき を求めなさい。
- 円に内接する四角形ABCDで のとき を求めなさい。理由も述べなさい。
解答
- 直径に対する円周角なので 。内角の和より
- 。 と はそれぞれ弧BCD、弧BADに対する円周角で、対応する中心角の和は 。よって円周角の和は となり、
まとめ
- 「2倍」の理由は半径が等しいので二等辺三角形ができるから
- 使う道具は二等辺三角形の底角・外角の定理の2つだけ
- 中心角はPの位置に依存しない。だから円周角も一定になる
- 直径に対する円周角90°は、中心角180°の半分という当たり前の帰結
- 内接四角形の対角の和180°も、中心角の和360°の半分から出る
- どちらの弧に対する角かを必ず確認する
円周角の定理は、中3の円の単元だけでなく、高校の図形の性質(方べきの定理、内接四角形)、数IIの図形と方程式まで使い続けます。証明を1回追っておけば、「なぜ2倍か」で迷うことはもうありません。
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