の整数解を求める問題は、手順が決まっています。ところが「特殊解を1つ見つける」ところで止まる人が多い。
そしてなぜ引き算をするのか、なぜ最後に「互いに素だから」と言うのか——ここが分からないと、答えの形を丸暗記することになります。
結論:4ステップ
- 解があるか確かめる( が の最大公約数の倍数か)
- 特殊解を1つ見つける(代入で探す、または互除法を逆にたどる)
- もとの式から特殊解の式を引く
- 互いに素を使って一般解を書く
ステップ3の引き算が要です。定数 を消すために引きます。
ステップ1:解があるかどうか
整数解をもつ ⇔ が と の最大公約数の倍数
理由は簡単です。 と の最大公約数を とすると、 はいつも の倍数だから。
解がない例
最大公約数は2。左辺は必ず偶数ですが、右辺は5で奇数。解はありません。
約分できる例
先に約分すると、以降の計算が楽になります。約分後は と が必ず互いに素になり、ステップ4がそのまま使えます。
ステップ2:特殊解を1つ見つける
の整数解をすべて求めよ。
7と5は互いに素なので、解はあります。 に小さい整数を入れて、 が整数になるものを探します。
| 0 | 3 | × |
| 1 | × | |
| 10 | 2 ○ |
が見つかりました。
【検算】代入します。
○ 数が大きくて見つからないときは互除法を逆にたどります(後で扱います)。
ステップ3:引く
2つの式を並べます。
辺々引くと、右辺の3が消えます。
これが引き算をする理由です。定数項が消えて、倍数の関係だけの式になります。
ステップ4:互いに素を使う
いまの式を見ます。
右辺は7の倍数です(左辺がそうだから)。ところが7と5は互いに素なので、7は5を割り切れない。
したがって7は のほうを割り切るしかありません。
( は整数)
これを代入すると
まとめると
( は整数)
この一段が省かれやすい
「互いに素な2数のうち、一方が積を割り切るなら、もう一方の因数を割り切る」——これは整数論の基本的な性質です。
ここを使わないと「 が5の倍数」と言い切れません。公式の暗記ではなく、この一段が本体です。
検算する
【検算1】一般解をもとの式に代入します。
が消えて3になりました ○ どんな でも成り立ちます。
【検算2】いくつか具体的に入れてみます。
| 9 | ○ | ||
| 0 | 2 | ○ | |
| 1 | 4 | ○ | |
| 2 | 9 | ○ |
は5おき、 は7おきに並んでいます。これが解の構造です。
数が大きいとき:互除法を逆にたどる
の整数解をすべて求めよ。
ステップ1:約分
1071と1029の最大公約数は21(互除法で求まります)。21は21の倍数なので解はあります。両辺を21で割ると
51と49は互いに素です。
ステップ2:特殊解
互除法の式を逆にたどると(あるいは代入で探すと)
。
ステップ3・4
51と49は互いに素なので 、。
【検算】代入します。
が消えて1 ○
もとの式でも確かめます。 のとき
○
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 特殊解の見つけ方が「探す」作業で、手順に書き下せないから
ステップ1、3、4は機械的な操作です。ところがステップ2だけは試行錯誤か互除法の逆算。
教科書では特殊解が例示として与えられる形になりやすく、自分で探す練習の場面が確保されにくい。ここで詰まる人が多いのに、そこが最も練習量を要する部分です。
2. 「互いに素だから割り切れる」の根拠が別の話題だから
ステップ4で使う性質は素因数分解の一意性や互除法に支えられています。
しかしそれ自体は約数と倍数の項目で扱われる内容で、不定方程式の解法の中では「互いに素だから」の一言で通過されやすい。結論だけを覚えると、 と が互いに素でない場合に誤って同じ形を書いてしまいます。
3. 整数の性質が数Aの最後に置かれているから
場合の数・確率・図形の性質のあと、単元としては最後に来ます。しかも不定方程式はその中でもさらに後半。
学年末に近い時期に、手順の多い内容が来るという構成上、解の形を覚えて当てはめる対応になりやすい位置にあります。
【検算】3つの方法
1. 一般解を代入して が消えるか
最も確実です。 が残ったら符号か係数が違います。
【検算】 ○
2. に3つくらい値を入れる
で確かめれば、符号のミスはほぼ発見できます。
【検算】、、 すべて成立 ○
3. 解の間隔を確認する
は おき、 は おき(約分後の )
【検算】: が と5おき、 が と7おき ○
間隔が合わなければ、 と を取り違えています。
よくあるミス
ミス1:解の存在を確かめずに始める
が最大公約数の倍数かを先に見ます。 は解なし。
ミス2:約分せずに進める
互いに素にしてからステップ4を使います。約分を飛ばすと解の間隔を間違えます。
ミス3: と の係数を入れ替える
の変化幅は 、 の変化幅は 。逆です。
ミス4:符号を落とす
のマイナスを忘れると、 の符号が逆になります。
ミス5:特殊解を探すとき だけ大きく動かす
個も試せば必ず見つかります(互いに素なら)。それ以上動かす必要はありません。
ミス6:一般解を1つの解だけで答える
「すべて求めよ」なら を含む形で答えます。
練習問題
- の整数解をすべて求めなさい。
- 1の答えで と のときを確かめなさい。
- の整数解をすべて求めなさい。
- に整数解があるか判定しなさい。
- の整数解をすべて求めなさい。
- の整数解をすべて求めなさい。
- の整数解をすべて求めなさい。
解答
- 特殊解 。。検算: ○
- で : ○ で : ○
- 特殊解 ()。。検算: ○
- 最大公約数は2、5は2の倍数でないので解なし(左辺は必ず偶数)
- 約分して 。特殊解 。。検算: ○
- 約分して 、特殊解 。。検算: で ○
- 特殊解 ()。。検算: ○
まとめ
- ①存在確認 ②特殊解 ③引く ④互いに素——この4ステップ
- 解をもつのは が最大公約数の倍数のときだけ
- 先に約分して を互いに素にする
- 引くのは定数項を消すため:
- 最後の一段は「互いに素な数は相手の因数を割り切る」
- 一般解は の形(約分後の )
- 検算は代入して が消えるか/ を3つ入れる/間隔が と か
不定方程式は「1つ見つけて、そこからずらす」という形をしています。この構造は、数Bの漸化式の一般解や、数IIの三角方程式の一般解とまったく同じです。特殊解+周期的なずれ——この形を一度理解しておけば、別の単元で同じ形に出会ったときに迷いません。
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