は「不定形」と呼ばれます。なぜ不定なのか——ここが分かると、処理の方法も自然に見えてきます。
結論:最も強い項で割る
分母の最高次で、分子・分母の両方を割る
すると各項が の形になり、0に飛んで値が確定します。
なぜ「不定」なのか
同じ でも、答えが違うからです。
| 式 | 形 | 極限 |
|---|---|---|
| 2 | ||
| 0 |
3つとも「大きい ÷ 大きい」ですが、答えは2、、0とバラバラ。
だから「 だから〇〇」とは言えない——これが不定形の意味です。どちらがどれくらい速く大きくなるかで決まります。
【検算】 で確かめます。
確かに2に近い・大きくなる・0に近い ○
やってみる1:多項式の分数式
を求めよ。
分母の最高次は 。分子・分母を で割ります。
で 、 なので
【検算1】大きい を代入します。
| 分子 | 分母 | 比 | |
|---|---|---|---|
| 10 | 319 | 65 | 約4.91 |
| 1000 | 3001999 | 996005 | 約3.014 |
| 100000 | — | — | 約3.0001 |
3に近づいています ○
【検算2】最高次の係数の比を見ます。分子が 、分母が なので ○
次数で見当がつく
| 次数の関係 | 極限 |
|---|---|
| 分子 > 分母 | (発散) |
| 分子 = 分母 | 最高次の係数の比 |
| 分子 < 分母 | 0 |
答えの見当をつけるのに使えます。計算結果がこれと食い違ったら、どこかで間違えています。
【検算】3つ確かめます。
- :分子2次、分母1次 → 。実際 ○
- :分子1次、分母2次 → 0。実際 ○
- :同次 → ○
やってみる2:ルートを含む形
を求めよ。
ルートの中も で割ります。 なので と考えると
で
【検算】 で計算します。
1に近い ○
【検算2】 は より少しだけ大きい。だから比は1より少し大きい値から1に近づくはず ○
やってみる3: も同じ手法に持ち込む
を求めよ。
そのままでは で不定形。有理化します。
分子は和と差の積なので
の形になりました。あとはいつもどおり で割ります。
【検算1】 で計算します。
に近い ○
【検算2】 では 、差は約 ○ が大きいほど0.5に近づく
有理化して に持ち込む——これが の定石です。
なぜ「最高次で割る」とうまくいくのか
割ったあとの各項は の形になります。
、、
これらは「不定形ではない」ので、そのまま0にできます。
つまり不定形を、確定した極限の組み合わせに書き換えている——これが処理の本質です。
【検算】 で 、。どちらもほぼ0 ○
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 「不定形」という言葉の意味が説明されにくいから
が不定形なのは答えが場合によって変わるからです。
ところが「不定形なので変形する」という手順として提示されると、なぜ変形が必要なのかが伝わりません。3つの例で答えがバラバラになるのを見れば、一瞬で納得できます。
2. 「最高次で割る」の理由が省かれやすいから
この操作は「不定形を、確定した極限に書き換える」ためのものです。
ところが手順として速く、確実に答えが出るので、理由を考えなくても解けてしまう。するとルートや など形が変わった途端に手が止まります。
3. 次数による速算が「検算の道具」として示されにくいから
次数を比べれば答えの見当がつきます。同次なら係数の比、分母が高次なら0。
これは計算の代わりではなく検算として使うものですが、解法とは別の位置づけなので、扱われる場面が限られます。知っていれば、答えの妥当性が一瞬で判断できます。
【検算】3つの方法
1. 大きい を代入する
最も直感的です。 くらいで近づいているか見ます。
【検算】。3に近い ○
2. 次数で見当をつける
同次なら係数の比、分母が高次なら0、分子が高次なら発散。
【検算】 の係数比は3 ○
3. 割ったあとの各項が0に行くか確認する
の形になっていれば0です。なっていなければ割り方が足りません。
【検算】:すべて0へ ○
よくあるミス
ミス1: とする
決まりません。だから不定形です。
ミス2:分子の最高次で割る
分母の最高次で割ります。分母が1に近づく形にするためです。
ミス3:ルートの中を割り忘れる
ルートの中は で割ります(外は )。次数が違います。
ミス4: をそのまま0とする
不定形です。有理化して に直します。
ミス5: の場合に とする
です。 では符号に注意。
ミス6:発散するのに有限の値を答える
次数で見当をつけると防げます。
練習問題
- を求めなさい。
- を求めなさい。
- を求めなさい。
- を求めなさい。
- を求めなさい。
- 1と5を で数値的に確かめなさい。
- 次数による判定法をまとめなさい。
解答
- で割って 3
- で割って 0(分母のほうが高次)
- (分子のほうが高次)
- 1
- 有理化して
- 1は約3.014、5は約0.4999。それぞれ3と0.5に近い ○
- 分子>分母で発散、同次で係数比、分子<分母で0
まとめ
- 不定形とはそのままでは値が決まらない形(答えが場合による)
- は分母の最高次で割る
- 割ると各項が になり値が確定する
- ルートは中を で割る
- は有理化して に持ち込む
- 次数で答えの見当がつく
- 検算は大きい を代入/次数の判定/各項が0に行くか
極限の計算は「不定形を、確定形に書き換える作業」です。割る・有理化する・置き換える——手段は違っても、目的はいつも同じ。どこが不定形なのかを見つけたら、そこを崩す。この視点があれば、初めて見る形でも方針が立ちます。
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