三角形の合同条件は3つ。「3組の辺」「2組の辺とその間の角」「1組の辺とその両端の角」。覚えてはいるのに、証明問題で「どれを使えばいいか」が出てこない——中2でいちばん多い状態です。
暗記の問題ではありません。「なぜ3つで足りるのか」と「図のどこを見るか」が分かれば、使い分けは自動的に決まります。
結論:分かっている辺と角を数えて、当てはまる型を選ぶ
| 分かっているもの | 合同条件 | 記号 |
|---|---|---|
| 辺3つ | 3組の辺がそれぞれ等しい | SSS |
| 辺2つ+その間の角 | 2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい | SAS |
| 辺1つ+その両端の角 | 1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい | ASA |
証明を書くときの手順はこうです。
- 与えられた条件から等しいと言える辺・角を全部書き出す
- 共通の辺・対頂角・平行線の錯角など、図から自動的に言えるものを足す
- そろった3つが上のどの型かを判定する
「どれを使うか」を最初に決めるのではなく、集めた結果として決まります。ここが逆になっていると手が止まります。
なぜ3つの情報で形が決まるのか
三角形には辺3つ・角3つの計6つの要素があります。ところが3つ決めれば残りも決まってしまう——だから合同条件は「3つ」なのです。
SSS:3辺が決まれば形は1つ
長さ3・4・5の棒を3本用意して三角形を作ってみてください。作り方は1通りしかありません(裏返しを除く)。辺の長さだけで角度まで決まってしまいます。
SAS:「間の角」でなければならない理由
2辺とその間の角が決まれば、残りの1辺は自動的に決まります。実際、余弦定理(数Iで習います)が
と、2辺と間の角から残りの辺を計算できることを示しています。
ところが「間ではない角」だと決まりません。これがSSAが合同条件にならない理由です。後で反例を見ます。
ASA:1辺と両端の角で決まる理由
1辺を引いて、その両端から決まった角度で線を伸ばすと、交点は1つしかありません。だから三角形が1つに決まります。
なお「1組の辺とその他の2角」でも、三角形の内角の和が180°なので残りの角が計算でき、結局ASAに帰着します。
【検算】SSAが合同条件にならないことの確認
「2辺とその間でない角」では三角形が決まらない——これを具体的な数値で確かめます。
、、 という条件を考えます。角Aは辺ABと辺BCの間の角ではありません。
点Bから距離4の点Cを、角Aの反対側の辺上に取ると——候補が2つ現れます。
正弦定理から 。
を満たす角は と の2つあります。
| 場合 | (余弦定理) | ||
|---|---|---|---|
| 1 | 約48.59° | 約101.41° | 約7.84 |
| 2 | 約131.41° | 約18.59° | 約2.55 |
同じ「2辺と1角」なのに、まったく違う三角形が2つできました。だからSSAは合同条件になりません。
「間の角」という言葉は飾りではなく、これがないと形が定まらないという意味です。
図から自動的に言える3つ
証明で条件が足りないと感じたら、次の3つを疑ってください。問題文に書かれていなくても使えます。
1. 共通な辺・共通な角
2つの三角形が1辺を共有しているとき、その辺は当然等しいです。
例: と に共通な は 。
2. 対頂角
2直線が交わってできる向かい合った角は等しくなります。線分が交差する図では必ず確認します。
3. 平行線の錯角・同位角
「」と書かれていたら、錯角と同位角が使えます。平行の条件が与えられているのに使っていないなら、まだ見落としがあります。
証明の書き方(型)
次の形で書けば、どの問題でも通用します。
- △○○○ と △△△△ において(比べる2つの三角形を宣言)
- 等しい辺・角を3つ並べ、それぞれ理由を書く
- 「〜がそれぞれ等しいので」と合同条件を明記
- △○○○ ≡ △△△△
- (必要なら)合同な図形の対応する辺・角は等しいので、結論を書く
例で書いてみます。
問題:線分 と が点 で互いの中点で交わるとき、 を証明せよ。
証明
と において、
- は の中点なので …①
- は の中点なので …②
- 対頂角は等しいので …③
①②③より、2組の辺とその間の角がそれぞれ等しいので
合同な図形の対応する辺は等しいので 。(証明終)
③の対頂角が「間の角」になっていることを確認してください。 と の間の角が です。ここがずれていると条件を満たしません。
よくあるミス
ミス1:「間の角」でないのにSASと書く
いちばん多いミスです。2辺と1角がそろっても、その角が2辺の間にあるかを必ず確認します。上で見たとおり、間でなければ三角形は決まりません。
確認方法:角の頂点が、2つの辺の共有点になっているか。 と なら共有点は なので、間の角は です。
ミス2:対応する順番を間違えて書く
と書いたら、、、 が対応します。順番が違うと、そこから導く辺や角も違うものになります。
ミス3:理由を書かずに等式だけ並べる
と書くだけでは不十分で、「 は の中点なので」という根拠が必要です。証明は「なぜそう言えるか」の連なりです。
練習問題
- 3つの合同条件を、記号(SSS・SAS・ASA)とともに書きなさい。
- 「2組の辺と1組の角がそれぞれ等しい」は合同条件になるか。理由も述べなさい。
- の二等辺三角形 で、 の二等分線と の交点を とする。 を証明しなさい。
- 問題3の結果から、 と が言える理由を述べなさい。
解答
- SSS:3組の辺がそれぞれ等しい/SAS:2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい/ASA:1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい
- ならない。角が2辺の間にない場合(SSA)、条件を満たす三角形が2つ存在しうる。本文の が反例
- と において、(仮定)…①、( は の二等分線)…②、(共通)…③。①②③より2組の辺とその間の角がそれぞれ等しいので
- 合同な図形の対応する辺は等しいので 。また対応する角が等しいので 。この2つの和が180°( が一直線上)だから、それぞれ90°。よって
まとめ
- 合同条件は暗記より「集めた結果で決まる」もの。先に選ぼうとしない
- 三角形の6要素のうち3つ決まれば残りも決まるから、条件は3つで足りる
- SSAは合同条件にならない。三角形が2つできる場合がある
- 条件が足りないときは共通の辺・対頂角・平行線の錯角を疑う
- 証明は等式+根拠のセットで書く。合同条件名を必ず明記する
- の左右は対応する順番で書く
合同は中3の相似、円周角、三平方の定理へそのままつながります。さらに高校では「証明の書き方」そのものが問われ続けます。ここで「根拠を並べて結論に至る」型を身につけておくと、後の単元で書き方に悩まなくなります。
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