反比例のグラフは、なぜ2本に分かれた曲線になるのでしょうか。なぜ軸に触れないのでしょうか。
理由はすべて「積が一定」から出てきます
反比例 は、変形すると
x と y をかけると、いつも同じ数。ここからグラフの形がすべて決まります。
表で確かめる
の表を作り、 を計算しなさい。
| x | 1 | 2 | 3 | 4 | 6 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| y | 12 | 6 | 4 | 3 | 2 | 1 |
| xy | 12 | 12 | 12 | 12 | 12 | 12 |
すべて12——これが反比例の正体です。
【検算】、 ○ xが2倍になればyは半分になっています。
なぜ軸に触れないのか
もしグラフがx軸に触れたら、その点で です。すると
12にはなりません。だからx軸上の点は、けっしてグラフに乗りません。
y軸についても同じです。 なら積は0になってしまいます。
積が0でない限り、どちらの座標も0にはなれない
【検算1】x を小さくしていきます。
| x | 1 | 0.5 | 0.1 | 0.01 |
|---|---|---|---|---|
| y | 12 | 24 | 120 | 1200 |
y はいくらでも大きくなりますが、x が0になることはありません ○
【検算2】逆に x を大きくすると
| x | 12 | 24 | 120 | 1200 |
|---|---|---|---|---|
| y | 1 | 0.5 | 0.1 | 0.01 |
y は0に近づきますが、0にはなりません ○ これが「軸に近づくが触れない」という形です。
なぜ2本に分かれるのか
では y の値が決まらないからです。12を0で割ることはできません。
グラフは のところで途切れます。だから
- の部分(第1象限)
- の部分(第3象限)
の2本になります。
【検算】 なら 。 ○ 負どうしでも積は正なので、第3象限に現れます。
a が負のときは第2象限と第4象限になります。積が負になるからです。
2つの対称性
原点について対称
がグラフ上にあれば、 もあります。
符号を両方変えても積は変わらないからです。
直線 について対称
があれば もあります。x と y を入れかえても積は同じだからです。
【検算】表を見ると、 と 、 と 、 と がすべてペアで現れています ○
長方形の面積が一定
グラフ上の点から両方の軸に垂線を下ろすと、長方形ができます。
たてが y、よこが x なので、面積は
点をどこに取っても、面積は12です。
【検算】 なら 、 なら 、 なら ○
これが「比例定数 a」の意味
比例定数は長方形の面積として見ることができます。
比例との違い
| 比例 | 反比例 | |
|---|---|---|
| 式 | ||
| 一定なもの | 商 | 積 |
| グラフ | 直線(1本) | 曲線(2本) |
| 原点 | 通る | 通らない |
【検算】比例 では のとき 。原点を通ります ○ 反比例は が定義できないので通りません ○
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. グラフをかく練習が中心になるから
表を作って点を打ち、なめらかに結ぶ——作業として完結します。
ところがなぜその形になるのかは、 という見方をしないと出てきません。式を変形する一手が、授業では省かれやすいのです。
2. 「0で割れない」ことの重みが伝わりにくいから
が使えない——これはグラフが2本に分かれる直接の原因です。
ところが「0で割ってはいけない」は計算のルールとして教わります。グラフの形と結びつける場面が作られにくいのです。
3. 「限りなく近づく」という考え方が先の内容だから
軸に近づくが触れない——これは極限の考え方です。数IIIで正式に学びます。
中学1年では言葉で説明するしかないため、表で値を追いかけて実感するのがいちばん確実です。
【検算】3つの方法
1. すべての点で積を計算する
最も確実です。全部同じ数になります。
【検算】 ○
2. 対称な点もグラフ上にあるか
符号を反転、x と y を入れかえ——どちらも上にあるはずです。
【検算】、、 すべて ○
3. x を0に近づけて値を追う
【検算】 で 。いくらでも大きくなる ○
よくあるミス
ミス1:グラフを軸につけてかく
触れません。近づくだけです。
ミス2:2本を1本につなげてかく
で途切れます。
ミス3:原点を通ると思う
通りません(比例と混同)。
ミス4:負の範囲をかき忘れる
第3象限(a が正のとき)にもあります。
ミス5:比例定数を「傾き」と思う
反比例には傾きがありません。積の値です。
ミス6:a が負のときの象限を間違える
第2・第4象限になります。
練習問題
- で のときの y を求めなさい。
- それぞれの を計算しなさい。
- グラフがx軸に触れない理由を答えなさい。
- のときの y を求め、どの象限にあるか答えなさい。
- と対称な点を2つ答えなさい。
- から両軸に垂線を下ろしてできる長方形の面積を求めなさい。
- 比例と反比例で「一定なもの」の違いを答えなさい。
解答
- 12、6、4、3、2、1
- すべて12
- y が0だと積が0になり、12にならないから
- 。第3象限
- と
- 12
- 比例は商、反比例は積が一定
まとめ
- 反比例は(積が一定)
- 軸に触れないのは積が0になってしまうから
- 2本に分かれるのは が使えないから
- 原点対称かつ について対称
- 長方形の面積はいつも a
- 検算は積を計算/対称な点/0に近づける
反比例のグラフは、「積が一定」という1つの条件から形が決まっています。式を見て形が想像できるようになると、グラフは覚えるものではなく導けるものになります。この双曲線は、高校の二次曲線や分数関数でまた出会います。
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