平行線と線分の比の問題で、どことどこが対応するのか分からなくなる。式を立てても比の順番が合わず、答えが合わない——中3の相似で頻出のつまずきです。
原因は図の中に似た長さが多すぎること。対策は決まっています。三角形を2つ取り出して、対応を目で見る。
結論:相似な三角形を切り出して並べる
平行線があると、必ず相似な三角形ができます。
△ABCで、辺AB上に点D、辺AC上に点Eがあり、DE BC。
このとき△ADEと△ABCは相似です。理由は角。
- は共通
- (平行線の同位角)
2組の角が等しいので相似です。したがって
ここが最重要です。比を取るのは「小さい三角形の辺」と「大きい三角形の対応する辺」。
最大の落とし穴:AD:DB か AD:AB か
この2つを混同するのが、最も多いミスです。
| 比 | 意味 | 使える式 |
|---|---|---|
| 部分:全体 | と等しい | |
| 部分:残り | と等しい |
DE と BC を比べるときは、必ず「全体」との比を使います。
【検算】具体的な数で確かめます。、、 とします。
- したがって 、つまり
を使って とするのは誤りです。
座標で確かめます。、、 とすると 。
ABを に内分する点Dは 、ACを同じ比で内分するEは 。
○。計算と一致しました。
対応を見失わない書き方
比の式を書くとき、左辺と右辺で同じ順序にそろえます。
(小さい三角形の辺):(大きい三角形の辺)
は、両辺とも「小:大」。
これを と書くと順序が逆になり、答えが合いません。
迷ったら「小さいほうを先」と決めておく——これで統一できます。
三角形の外に点がある場合
DEがBCの延長側にある場合も、同じ相似が使えます。
2直線が点Pで交わり、PA上に点B、PC上に点DがあってAC BD。
△PABと△PCD……ではなく、△PBDと△PACが相似です(Pが共通の頂点)。
頂点Pから測った長さで比を取る——これが共通のルールです。
【検算】座標で確認します。、、 とします。 の長さは 。
、 とすると 、 ○
。 ○
3つの比がすべて 。BDとACも平行です(傾きがどちらも )。
平行線が3本以上ある場合
3本の平行線が2直線を切るとき、切り取られる線分の比は等しくなります。
これも相似から出ます。ただし対応を間違えやすいので、必ず同じ直線上の線分どうしで比を作ってください。
【検算】座標で確かめます。 軸に平行な3直線 が、2本の直線を切るとします。
直線1を ( 軸)、直線2を とします。
- 直線1との交点 … 。切り取られる長さは と
- 直線2との交点 … 。長さは と
比は と 。一致しました ○
中点連結定理はその特別な場合
(Dが中点)のとき、Eも中点になり
つまり、そしてDE BC。これが中点連結定理です。
覚える定理ではなく、相似の特別な場合だと理解してください。
【検算】、、 で確かめます。中点は 、。
、。 ○。どちらも 軸に平行なので平行 ○
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 図が複雑で、対応を確認する手順が示されにくいから
平行線と線分の比の図には、線分が5本以上登場します。どれとどれが対応するかは図を見て判断することになります。
ところが解答例には完成した比の式だけが書かれ、対応をどう確認したかは書かれません。
対策は相似な三角形を2つ、図の外に描き出すことです。手間はかかりますが、対応を間違えなくなります。
2. と の使い分けが問題ごとに変わるから
問題文が と与えてくることが多い一方、DEとBCの比を出すには が必要です。
与えられる形と、使う形が違う——この変換( から へ)が1ステップ入ることを意識しておく必要があります。
3. 中点連結定理が独立した定理として教えられるから
中点連結定理は名前のついた定理として登場します。すると独立した知識として覚えることになりやすい。
実際には相似比 の場合にすぎません。相似から毎回導けると理解しておけば、覚える必要すらありません。
【検算】3つの方法
1. 座標で確かめる
最も確実です。図形の問題を数値に落とせば、対応の間違いが必ず見つかります。
| 状況 | 相似比 | 確認 |
|---|---|---|
| なら ○ | ||
| 中点() | なら ○ | |
| なら ○ |
2. 大小関係を確認する
DEは必ずBCより短い(Dが辺AB上にあるかぎり)。DEのほうが長くなったら間違いです。
3. 3つの比がすべて等しいか
、、 の3つが同じ値になるはずです。1つでも違えば、どこかで対応を間違えています。
よくあるミス
ミス1: をそのまま に使う
全体との比に直します。 なら 。
ミス2:比の順序を逆にする
両辺とも「小:大」にそろえます。片方だけ逆にすると答えが逆数になります。
ミス3:対応する辺を取り違える
△ADE △ABCならADとAB、AEとAC、DEとBCが対応します。
ミス4:平行でないのに使う
平行が前提です。平行でなければ相似になりません。問題文で平行の条件を確認してください。
ミス5:中点連結定理を だと思う
倍です。相似比が だからです。
練習問題
- △ABCでDE BC、、 のとき、DEの長さを求めなさい。
- 1で を求めなさい。
- △ABCでDE BC、、、 のとき、BCの長さを求めなさい。
- 3で の長さを求めなさい。
- DとEがそれぞれAB、ACの中点で のとき、DEの長さを求めなさい。
- △ABCでDE BC、 のとき、△ADEと△ABCの面積比を求めなさい。
解答
- なので 。3。検算:DEはBCより短い ○
- 。残りどうしの比は等しい
- なので 。 より 15。検算: ○
- 6
- 中点連結定理より 7
- なので相似比 。面積比は2乗で
まとめ
- 平行線があれば必ず相似な三角形ができる(共通角+同位角)
- 比を取るのは「小さい三角形の辺:大きい三角形の対応する辺」
- に使うのは (全体との比)
- が使えるのは との比較
- 比の式は両辺とも「小:大」にそろえる
- 中点連結定理は相似比 の特別な場合
- 検算は座標で確かめる/DEがBCより短いか/3つの比が一致するか
平行線から相似を作るという発想は、中3の相似の応用問題のほぼすべてで使われます。さらに高校では、ベクトルの内分点、座標平面上の分点公式として同じ構造が現れます。「平行線を見たら相似な三角形を切り出す」——この反射ができれば、この分野の問題は手順の問題になります。
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