比の問題で線分図を描くのは、絵にすると分かりやすいからではありません。
「①が何個ぶんか」を目で数えるためです。
この一点さえ押さえれば、線分図は強力な計算装置になります。
書き方は4ステップ
- 比の数だけ、同じ長さのマスに区切る(3:2なら3マスと2マス)
- 実際の数は線の外に書く(矢印をつけて、和・差・一部の金額など)
- その実際の数が何マス分にあたるかを読む
- 1マス分(①)を求めて、必要な数をかける
同じ長さのマスは、必ず同じ量を表す
これが線分図の唯一のルールです。長さをそろえずに描くと、意味がなくなります。
やってみる1:和が分かっている
AとBの所持金の比は3:2で、2人の合計は1500円です。それぞれいくら持っていますか。
Aは3マス、Bは2マス。合計は5マスです。
1マスが300円なので
Aは900円、Bは600円です。
【検算1】比を作り直します。 ○
【検算2】和を確認します。 ○
やってみる2:差が分かっている
AとBの所持金の比は3:2で、AはBより300円多いです。それぞれいくらですか。
今度は差が1マス分です(3マス-2マス=1マス)。
1マスが300円なのでA900円、B600円。
【検算1】 ○
【検算2】 ○
和でも差でも、手順はまったく同じです。違うのは「実際の数が何マス分か」だけ。
| 与えられた数 | 何マス分か |
|---|---|
| 和1500円 | マス |
| 差300円 | マス |
| Aの900円 | 3マス |
やってみる3:比が変わるとき
AとBの所持金の比は5:3でした。Aが200円使うと、比は3:2になりました。はじめAはいくら持っていましたか。
ここが線分図の本領です。
変わらないものを探す
Bは使っていません。だからBの線分は、前も後も同じ長さで描かなければなりません。
Bの数をそろえる
前の比は5:3、後の比は3:2。Bの数は3と2——このままでは長さが違ってしまいます。
3と2の最小公倍数6にそろえます。
| A | B | |
|---|---|---|
| はじめ | 6 | |
| あと | 6 |
Aは10マスから9マスに減りました。減った1マスが、使った200円です。
はじめAは2000円です。
【検算1】Bは 円。はじめの比は
一致 ○
【検算2】200円使うと 円。
一致 ○
【検算3】Bの金額は前後で1200円のまま。変わっていません ○
そろえずに計算するとどうなるか
前の「1マス」と後の「1マス」は別の大きさです。そろえないまま引き算すると、違う単位どうしを引くことになります。
「変わらないほうの数をそろえる」——これが比の問題の最重要ポイントです。
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 線分図が「補助の図」として扱われやすいから
線分図は説明のための絵として登場することが多く、それ自体が計算の道具だとは示されにくい。
「マスの数を数える」という使い方が伝わらないと、描いても答えにつながりません。図を描いたのに解けない、という状態が起こります。
2. 「変わらない量をそろえる」は比の後半の内容だから
比の学習は「比の値」「等しい比」「比例配分」という順で進みます。比が変化する問題は、その後の応用にあたります。
配当時間の関係で最後に置かれやすいため、練習量が確保しにくい部分です。
3. 「そろえる」が最小公倍数の話になるから
3と2をそろえて6にする——これは通分と同じ操作です。
ところが分数の通分は数と計算の単元、比は変化と関係の単元に属します。単元が離れている構成上、同じ操作だと示される場面が少ないのです。
【検算】3つの方法
1. 求めた数で比を作り直す
最も確実です。約分して問題の比になるか確かめます。
【検算】 ○
2. 和・差を確認する
与えられた実際の数に戻ります。
【検算】 ○、 ○
3. 変わらないはずの量を確認する
比が変わる問題では必須です。
【検算】Bは前後とも1200円 ○ ここがずれていたら、そろえ方を間違えています
よくあるミス
ミス1:マスの長さをそろえずに描く
同じ長さ=同じ量。目分量で描くと使えません。
ミス2:和を1マス分と勘違いする
3:2なら和は5マスです。
ミス3:比が変わるのにそろえない
変わらない量の数をそろえます。
ミス4:そろえる相手を間違える
使ったほう・増えたほうではなく、動いていないほうです。
ミス5:1マス分を求めて満足する
聞かれているのは金額のことが多い。かけ算を忘れずに。
ミス6:比をそのまま金額として扱う
3:2は割合。3円と2円ではありません。
練習問題
- 比3:2で合計1500円のとき、それぞれの金額を求めなさい。
- 比3:2で差が300円のとき、それぞれの金額を求めなさい。
- 1と2の答えが同じになる理由を答えなさい。
- 比5:3のAが200円使うと3:2になるとき、Bの数をそろえるといくつになるか答えなさい。
- 4のときのAのはじめの金額を求めなさい。
- 5の答えを、はじめとあとの両方の比で検算しなさい。
- 比が変わる問題で、何をそろえるべきか答えなさい。
解答
- 、A900円・B600円
- 、A900円・B600円
- 1マスがどちらも300円だから。和が5マス、差が1マスというだけの違い
- 3と2の最小公倍数6(Aは10と9になる)
- 減った1マスが200円なので 2000円
- ○、 ○
- 変わらない量(動いていないほう)の比の数
まとめ
- 線分図は①が何個かを数える道具
- 同じ長さのマス=同じ量(唯一のルール)
- 実際の数が何マス分かを読む
- 和なら足したマス数、差なら引いたマス数
- 比が変わるときは変わらない量の数をそろえる
- 検算は比を作り直す/和・差の確認/変わらない量の確認
線分図がうまく描けないときは、たいてい「何マスか」を決めずに線を引いています。先にマス数を決めてから、定規で等分するつもりで描いてください。図が正確になった瞬間、答えは図の中に見えています。
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