「 は に比例する」「反比例する」——言葉は覚えたのに、表を見せられると、どちらか判断できない。中1の関数の入り口でとても多いつまずきです。
実は判定方法は決まっています。2つの数を計算するだけで、確実に見分けられます。しかもそのどちらでもないという第3の答えがあることを知っておくのが決定的に重要です。
結論:一定になるのは「商」か「積」か
| 式 | 一定になるもの | が2倍になると | |
|---|---|---|---|
| 比例 | 商 | も2倍 | |
| 反比例 | 積 | は半分 |
判定は割ってみる、かけてみる——それだけです。
- がいつも同じ値 → 比例。その値が比例定数
- がいつも同じ値 → 反比例。その値が比例定数
- どちらも一定でない → 比例でも反比例でもない
3つ目を知らない人が非常に多い。世の中の関係の大半は、比例でも反比例でもありません。
実際に判定する
表1
| 1 | 2 | 3 | 4 | |
|---|---|---|---|---|
| 3 | 6 | 9 | 12 | |
| 3 | 3 | 3 | 3 | |
| 3 | 12 | 27 | 48 |
商がすべて3で一定。積はバラバラ。よって比例で、式は です。
表2
| 1 | 2 | 3 | 4 | |
|---|---|---|---|---|
| 12 | 6 | 4 | 3 | |
| 12 | 3 | |||
| 12 | 12 | 12 | 12 |
積がすべて12で一定。よって反比例で、式は です。
表3
| 1 | 2 | 3 | 4 | |
|---|---|---|---|---|
| 5 | 7 | 9 | 11 | |
| 5 | 3 | |||
| 5 | 14 | 27 | 44 |
どちらも一定ではありません。これは比例でも反比例でもない——正しい答えは「どちらでもない」です。
(この表は 。中2で習う一次関数です。増え方は一定ですが、比例ではありません。)
なぜ商と積なのか
定義を式変形すれば、そのまま出てきます。
比例: の両辺を で割ると
商が定数 。これが「商が一定」の意味です。
反比例: の両辺に をかけると
積が定数 。
つまり比例と反比例は、比例定数の取り出し方が「割る」か「かける」かの違いだけです。判定法は暗記事項ではなく、定義そのものです。
「 が2倍なら も2倍」だけでは足りない
比例の説明としてよく使われる言い方ですが、これだけでは判定に使えません。表3を見てください。
で は 。2倍にはなっていないので、確かに比例ではないと分かります。
しかし「2倍になったか」を毎回確認するのは面倒で、しかも2倍の組がない表では使えません。 が 1, 3, 7, 8 のような表もあります。
商と積を計算する方法なら、どんな表でも必ず使えます。だからこちらを標準にしてください。
原点を通るかどうか
もう1つ、決定的な違いがあります。
- 比例 … のとき 。必ず原点を通る
- 反比例 … は考えられない(0で割ることになる)
表に の欄があって が0でないなら、比例ではありません。一瞬で判定できます。
グラフの形も、ここから決まります。
- 比例 … 原点を通る直線
- 反比例 … 原点を通らない曲線(双曲線。 軸にも 軸にも触れない)
反比例のグラフが軸に触れないのは、 も も0になれないからです。 で なら、どちらかが0になった瞬間に積は0になってしまいます。
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 比例が小学校の内容として既習扱いになるから
比例と反比例は小学校で導入されます。中1ではこれを、負の数まで広げた形で扱い直す構成です。
そのため「比例とは何か」という定義に立ち返る時間が確保されにくい。ところが「 が2倍なら も2倍」という小学校由来の言い方だけを持っていると、中1の表(負の数や分数が入る)で使えなくなります。
2. 「どちらでもない」を判定する練習が構成上少ないから
ここが最も大きい点だと考えています。
単元名が「比例と反比例」である以上、そこで出題される表や式は、比例か反比例のどちらかであることがほとんどです。二択なら、片方を消去すればもう片方が当たります。
「どちらでもない」という選択肢が実質的に存在しない環境で練習することになる——これは出題側の都合ではなく、単元区切りという構造から自然に生じることです。
結果として、中2で一次関数 が出てきたときに「これも比例では?」という混乱が起きます。対策は、自分で「どちらでもない表」を作ってみることです。 の表を書いて、商も積も一定でないことを確認する。1回で十分です。
3. 反比例が使われる場面が、後の学年に集中しているから
反比例の関係()が実際に効いてくるのは、中3の相似や理科の圧力・てこ、高校の物理といった場面です。中1では表と式とグラフの読み書きが中心になります。
使う場面が後ろに寄っているため、「積が一定」という感覚が定着しにくいという順序になっています。
【検算】必ず全部の組で試す
判定するときは、1組だけで決めないこと。表のすべての組で計算します。
| 表 | 商 | 積 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 表1 | 3, 3, 3, 3 | 3, 12, 27, 48 | 比例 |
| 表2 | 12, 3, , | 12, 12, 12, 12 | 反比例 |
| 表3 | 5, , 3, | 5, 14, 27, 44 | どちらでもない |
式が求まったら、すべての組を代入して確かめます。表1で なら、 のとき 。表と一致。
1組でも合わなければ、その式は間違いです。
よくあるミス
ミス1:1組だけ見て決める
を見て「 だ」と決めてしまうミス。1組では何も決まりません。 でも でも成り立ちます。
最低でも2組、できれば全部で確認してください。
ミス2:減っていれば反比例だと思う
が減っていく表を見て、反射的に反比例とするミス。 も減りますが比例です(比例定数が負)。
増減ではなく、商か積かで判定します。
ミス3:比例定数を求める向きを間違える
- 比例 … (割る)
- 反比例 … (かける)
逆にすると別の値になります。迷ったら1組代入して確かめる。表2で とし、 を に入れると 。表と一致します。
ミス4:反比例で を考える
に は入れられません。0で割ることになるからです。
反比例では 。グラフが 軸に触れないのも同じ理由です。
練習問題
- のとき 、 のとき 。比例か反比例か、式も答えなさい。
- のとき 、 のとき 。比例か反比例か、式も答えなさい。
- のとき 、 のとき 。比例か反比例か。
- は に反比例し、 のとき である。 のときの を求めなさい。
- は に比例し、 のとき である。式を求めなさい。
- 面積が の長方形で、縦を cm、横を cmとする。 と の関係を式で表しなさい。
解答
- 商は 、 で一定。比例で 。検算: ○
- 積は 、 で一定。反比例で 。検算: ○
- 商は と 、積は と 。どちらも一定でないので、どちらでもない(実は )
- 反比例なので積が一定。。よって で、 のとき。検算: ○
- 比例なので商が一定。。よって。検算: ○
- 縦×横=面積なので 、つまり。積が一定なので反比例です
まとめ
- 商 が一定 → 比例()
- 積 が一定 → 反比例()
- どちらも一定でない → どちらでもない。この選択肢を必ず持っておく
- 判定はすべての組で。1組では何も決まらない
- 比例は必ず原点を通る直線。反比例は軸に触れない曲線()
- 増減で判断しない。 は減るが比例
「何が一定になっているかを探す」という見方は、中2の一次関数(変化の割合が一定)、中3の (変化の割合が一定でない)へそのまま続きます。関数を式の形で覚えるのではなく、何が保存されているかで捉える——中1のここで身につけておくと、以降の関数の単元が一本の線でつながります。
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