中1で比例、中2で一次関数。グラフはどちらも直線で、式も似ています。「何が違うの?」と聞かれて説明できない生徒は非常に多いです。
違いはたった1つです。そしてその1つが、後の単元でずっと効いてきます。
結論:切片があるかないか、それだけ
| 比例 | 一次関数 | |
|---|---|---|
| 式 | ||
| グラフ | 直線 | 直線 |
| 原点を通るか | 必ず通る | 通るとは限らない |
| のとき |
つまり比例は一次関数の特別な場合( のとき)です。
逆に言えば、一次関数は比例のグラフを上下にずらしたもの。 はそのずらし幅です。
なぜ を「切片」と呼ぶのか
軸を切る点だからです。 を代入すると
グラフは必ず点 を通ります。これが 切片です。
比例 では なので 、つまり原点を通ります。
具体例で見る
| (比例) | (一次関数) | 差 | |
|---|---|---|---|
| 3 | |||
| 3 | |||
| 3 | |||
| 3 | |||
| 3 |
差はどこでも3で一定。グラフ全体が3だけ上にずれているだけで、傾きは同じです。
比例だけが持つ性質:「何倍かすると何倍になる」
比例には、一次関数にはない大事な性質があります。
を2倍すると も2倍になる。
で確かめます。 のとき 。 を2倍して にすると 。確かに2倍です。
一次関数ではこれが成り立ちません。 で のとき 。 にすると 。5の2倍は10なのに、7にしかなりません。
だから「比例する」という言葉を一次関数に使ってはいけません。理科の実験レポートなどでよく混同されます。
比例の判定法
が常に同じ値になるかを見ます。
| 1 | 2 | 2 | 5 | 5 |
| 2 | 4 | 2 | 7 | 3.5 |
| 3 | 6 | 2 | 9 | 3 |
| 4 | 8 | 2 | 11 | 2.75 |
比例は が一定、一次関数はバラバラ。これが判定の決め手です。
両方に共通するもの:変化の割合
どちらも「 が1増えると がいくつ増えるか」は一定です。この値が (傾き)です。
( の増加量)÷( の増加量)
【検算】 で が1から3に増えると(増加量2)、 は5から9へ(増加量4)。
確かに傾きの2と一致します。切片がいくつであっても、この値は変わりません。
比例 でも同じ区間で は2から6(増加量4)、。同じです。
【検算】区別が実際に効く場面
「針金1mの重さが4gのとき、 mの重さ g」——これは比例です。。0mなら0gだからです。
「バネに gのおもりを吊るしたときの全長 cm。自然長は10cmで、1gにつき0.5cm伸びる」——これは一次関数です。。おもりが0gでも長さは10cmあるからです。
| おもり (g) | 全長 (cm) | |
|---|---|---|
| 0 | 10 | — |
| 10 | 15 | 1.5 |
| 20 | 20 | 1.0 |
| 40 | 30 | 0.75 |
が一定でないので、比例ではありません。ここを「比例」と書くと、理科でも数学でも誤りになります。
よくあるミス
ミス1:直線ならすべて比例だと思う
グラフが直線でも、原点を通らなければ比例ではありません。「直線=比例」ではなく「原点を通る直線=比例」です。
ミス2:「増える」だけで比例と判断する
が増えれば も増える関係はたくさんありますが、比例は「同じ倍率で増える」という強い条件です。上のバネの例が反例になります。
ミス3:切片を傾きと取り違える
の傾きは3、切片は2です。 にかかっているほうが傾きと覚えます。
確認法: を入れて出てくる値が切片。 ○。
練習問題
- と の傾きと切片をそれぞれ答えなさい。
- 次のうち比例はどれか。(ア) (イ) (ウ) (エ)
- 「1個80円のりんごを 個買ったときの代金 円」は比例か一次関数か。
- 「1個80円のりんごを 個買い、200円の箱に入れたときの合計 円」は比例か一次関数か。式も書きなさい。
- で が2から5に増えるとき、 の増加量を求めなさい。
解答
- :傾き5、切片0/:傾き5、切片
- (ア) と (ウ)。(イ) は切片1があるので一次関数、(エ) は直線ですらない
- 比例。。0個なら0円
- 一次関数。。0個でも箱代200円がかかる
- の増加量3、傾き4なので の増加量は 。検算: で 、 で 、差は12 ○
まとめ
- 違いは切片 があるかないかだけ。比例は の一次関数
- 比例は必ず原点を通る。一次関数は を通る
- 比例だけが「 を2倍すると も2倍」を満たす
- 判定は が一定かどうか
- 傾き(変化の割合)は両方に共通で、切片の値には影響されない
- 「直線=比例」ではない。原点を通る直線だけが比例
この区別は、中3の 、高校の一次関数と定数関数、数IIの微分(変化の割合の極限が微分係数)へつながります。「切片があるかないか」という一点を押さえておけば、後で式の形が複雑になっても構造が見えます。
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