を因数分解しなさい——この形を見て、まず展開してしまう人が多い。展開すると計算が増え、しかも元の構造が消えます。
正解は展開しないこと。 を1文字とみなせば、見慣れた形になります。置き換えは「難しい問題を、知っている問題に変える」技術です。
結論:同じかたまりが2回以上出てきたら置き換える
置き換えを使うサインは1つだけです。
同じかたまりが繰り返し出てきている
では、 が2回出ています。これが合図です。
と置くと
ただの二次式になりました。かけて3、たして の2数は と 。
最後に を戻します。
【検算】展開して元に戻すか確かめます。
元の式も展開します。。一致しました。
置き換えの3ステップ
- 繰り返し出てくるかたまりを見つけ、1文字で置く
- その文字で因数分解する
- 元に戻して、さらに整理する
ステップ3が最重要です。戻したあとかっこの中を計算し、さらに因数分解できないか確認します。
先の例では を まで整理しました。ここで止めると減点されます。
よく出る型1:かたまりが見える形
を因数分解しなさい。
が1回しか出ていませんが、平方の差の形になっています。 と置くと
戻して
【検算】展開します。。一方 も平方の差の公式で 。一致 ○
数値でも確かめます。 なら、元の式は 。答えは ○
よく出る型2:4項を組み合わせる
を因数分解しなさい。
4つの項があり、そのままでは公式が使えません。後ろの3つに注目します。
マイナスでくくるのがポイントです。すると
平方の差になりました。 と見れば なので
【検算】展開します。
元の式に戻りました ○
数値でも確認します。 なら元の式は 。答えは ○
「3項+1項」に分けるのがコツ
4項の式で公式が見えないときは、3つで平方の形を作れないかを探します。
- の形が3項で作れるか
- 作れたら、残り1項との平方の差を狙う
マイナスが前についている3項は、まず でくくってから中を見てください。
よく出る型3: を含む式
を因数分解しなさい。
が繰り返し出ていると見ます( だから)。 と置くと
戻して
ここで止めてはいけません。どちらも平方の差です。
【検算】 を入れます。元の式は 。答えは ○
置き換えの問題は、戻したあとにもう一段分解できることが非常に多い——これを覚えておいてください。
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 「展開しない」という判断が、それまでの習慣に反するから
中1から中2にかけて、かっこは外すものとして練習してきました。 を見たら展開する——これが身についています。
ところが置き換えではかっこを外さないほうがよい。これまでの習慣と逆の判断を求められます。
判断基準を持っていないと、反射的に展開してしまう。「同じかたまりが2回出たら展開しない」——このルールを明示的に持つ必要があります。
2. 置き換えは「技術」であって単元ではないから
置き換えは因数分解の単元の中の一手法として登場します。共通因数・公式・たすきがけといった主要な手法が並ぶ中で、扱われる分量は限られます。
ところが高校では、置き換えは標準的な道具になります(二次方程式に帰着する高次方程式、三角関数の合成、積分の置換など)。習う分量と、後で使う頻度が釣り合っていない技術です。
3. 「戻したあとにもう一段」が見落とされやすいから
置き換えて分解し、戻した時点で作業が終わったように感じます。実際にはそこからもう一段分解できることが多い。
この「もう一段」は答案の上では単なる書き足しに見えるため、なぜ必要かが伝わりにくい。因数分解は完全に分解するまでが答えという原則に戻る必要があります。
戻したら、必ず各かっこを見る。これを手順に組み込んでください。
【検算】2つの方法
1. 展開して元に戻す
因数分解の検算はこれが基本です。ただし置き換えの問題は展開が大変なことも多い。
2. 数値を代入する
こちらが実用的です。元の式と答えに同じ数を入れて、値が一致するか見ます。
| 問題 | 答え | 代入 | 元の式 | 答えの式 |
|---|---|---|---|---|
| ○ | ||||
| ○ | ||||
| ○ |
2つの値で試すと、ほぼ確実です。 と の組み合わせが計算しやすくおすすめです。
完全性のチェックも忘れずに。各かっこが
- 共通因数を持っていないか
- 平方の差になっていないか
よくあるミス
ミス1:反射的に展開する
同じかたまりが2回出ていたら展開しない。まず置き換えを試します。
ミス2:戻し忘れる
で答えてしまうミス。必ず を元に戻します。
答えに が残っていたら未完成です。
ミス3:戻したあと整理しない
は まで整理します。かっこの中の計算を必ず実行してください。
ミス4:戻したあとの再分解を忘れる
で止めるミス。どちらも平方の差なので、まだ分解できます。
ミス5:マイナスでくくるのを忘れる
は 。先頭がマイナスなら、まずマイナスでくくると形が見えます。
練習問題
- を因数分解しなさい。
- を因数分解しなさい。
- を因数分解しなさい。
- を因数分解しなさい。
- を因数分解しなさい。
- 3の答えに を代入し、元の式と一致するか確かめなさい。
解答
- とすると 。戻して 。検算: で元の式 、答え ○
- とすると 。戻して
- とすると 。戻して 。さらに分解して
- 後ろ3つを とまとめて 。。検算: で元の式 、答え ○
- まず共通因数2をくくって 。 として 。戻して。共通因数が先です
- 元の式は 。答えは 。一致しました ○
まとめ
- 置き換えのサインは同じかたまりが繰り返し出ていること
- 手順は①置く ②分解する ③戻して整理する
- 展開しない。それまでの習慣と逆の判断が必要
- 4項の式は3項で平方を作り、残り1項との平方の差を狙う
- 先頭がマイナスの3項はマイナスでくくってから見る
- 戻したあと、もう一段分解できることが非常に多い
- 検算は数値代入が実用的。2つの値で試す
置き換えは、高校で標準的な道具になります。四次方程式を二次方程式に直す、三角関数を と置く、積分で を置く——どれも「知っている形に変える」という同じ発想です。中3のここで「かたまりを1文字とみなす」という見方を手に入れておくと、その先がずっと楽になります。
この単元でつまずいたままなら
「なぜそうなるのか」が抜けたまま先へ進むと、後の単元で必ず戻ってくることになります。オンライン数学専門塾「数強塾」は、公式の暗記ではなく理由から説明する完全1対1の個別指導です。プロ講師のみ(学生アルバイトはいません)、中高一貫校の進度にも対応しています。
ご相談は無料です。入会の強制はありません。

