重複組合せは「○と仕切りを並べる」と習います。なぜそれで数えられるのかが分からないまま公式だけ覚えると、少し形が変わると手が出ません。
やっていることは1つです。数えたいものを、数えやすいものに翻訳している。翻訳が1対1なら、個数は同じです。
結論:買い方を「○と の並び」に翻訳する
3種類のジュースから5本買う。同じ種類を何本買ってもよく、買わない種類があってもよい。何通りか。
買い方を、次のように記号の列に書き換えます。
| 買い方 | 記号の列 |
|---|---|
| 1種目2本、2種目1本、3種目2本 | |
| 1種目0本、2種目5本、3種目0本 | |
| 1種目5本、2種目0本、3種目0本 |
○が5個、仕切り が2本。合わせて7個の並べ方を数えればよい。
21通りです。
なぜ翻訳してよいのか
この方法が正しいのは、買い方と記号の列が1対1で対応しているからです。2つのことを確かめます。
どの買い方にも、記号の列が1つ決まる
1種目の本数だけ○を書き、、2種目の本数だけ○、、3種目の本数だけ○。書き方は1通りしかありません。
どの記号の列からも、買い方が1つ決まる
仕切りで3つの区間に分け、各区間の○の個数を読むだけ。これも1通りです。
行きも帰りも1通り。だから個数が等しいと言えます。
【検算】小さい例で全部書き出します。3種類から2本買う場合。
| 記号の列 | 買い方 |
|---|---|
| (2, 0, 0) | |
| (1, 1, 0) | |
| (1, 0, 1) | |
| (0, 2, 0) | |
| (0, 1, 1) | |
| (0, 0, 2) |
6通り。公式でも ○ もれも重複もありません。
公式の形
種類から 個選ぶとき、○が 個、仕切りが 本。合計 個の並べ方なので
仕切りは 本ではなく 本です。3つの区間を作るのに必要な仕切りは2本。ここを間違える人が多い。
| 種類 | 個数 | ○ | 式 | 値 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 3 | 5 | 5 | 2 | 21 | |
| 3 | 2 | 2 | 2 | 6 | |
| 4 | 3 | 3 | 3 | 20 |
【検算】 と は同じ値です。
一致 ○ ○の位置を選んでも、仕切りの位置を選んでも同じです。
同じ問題の別の姿:方程式の非負整数解
を満たす0以上の整数 の組は何組か。
まったく同じ問題です。 が1種目の本数、 が2種目、 が3種目。
【検算】まったく別の方法で数えます。 を決めるごとに数えるやり方です。
を決めると 。この解は の 通り。
| 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 合計 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 通り数 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | 21 |
一致 ○ 仕切りを使わなくても同じ答えになりました。
「各種類1本以上」の条件がついたら
3種類のジュースから5本買う。どの種類も1本以上買うとき何通りか。
先に1本ずつ配ってしまいます。3本使うので、残りは 本。
残り2本は条件なしで3種類に配るので
【検算】書き出します。 で全部1以上の組は
(1,1,3)、(1,3,1)、(3,1,1)、(1,2,2)、(2,1,2)、(2,2,1)
6組 ○
この「先に配ってから残りを分ける」は、条件つきの問題すべてに効きます。
重複順列との違い
| 重複順列 | 重複組合せ | |
|---|---|---|
| 数えるもの | 並べ方(順序あり) | 個数の組(順序なし) |
| 式 | ||
| 3種類・5本 | 21 |
「何本ずつ買ったか」だけを聞かれたら重複組合せ、「1本目、2本目…と順に決める」なら重複順列です。
問題文で見分けます。「買う」「配る(同じ品物を)」は組合せ、「並べる」「1個ずつ選ぶ」は順列。
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 「翻訳して数える」という手法が、この単元で初めて出るから
それまでの場合の数は直接数えるか重複した分で割るかでした。
ところがここではまったく別のもの(記号の列)に置き換えて数える。置き換えが1対1であることを確かめるという手順が新しく必要になりますが、これは結果の公式だけを示す構成では省かれやすい部分です。
2. 場合の数の単元の終盤に位置し、時間が残りにくいから
順列・組合せ・同じものを含む順列・円順列・組分けと続いた最後のほうに置かれます。
そのため配当時間が尽きかけたところで扱われやすく、丁寧な導入より公式の提示が優先されやすい位置にあります。
3. 記号 が結論だけ残りやすいから
という記号は結局 に書き換えて計算します。記号そのものに計算方法はありません。
そのため記号を覚えることが目的化しやすく、「なぜ なのか」「なぜ仕切りが 本なのか」が置き去りになりやすい。
○と仕切りを実際に紙に書く。この一手間で、記号を忘れても組み立て直せます。
【検算】3つの方法
1. 小さい場合を全部書き出す
| 問題 | 公式 | 書き出し |
|---|---|---|
| 3種類から2個 | 6通り ○ | |
| 3種類から5個・各1個以上 | 6組 ○ |
2. の値ごとに場合分けして足す
変数が3つなら1つを固定して残り2つを数えると、仕切りを使わずに検算できます。
【検算】 ○
3. 組合せの対称性で確かめる
○の位置を選んでも仕切りの位置を選んでも同じ、という意味です。計算しやすい方で計算できます。
【検算】、 ○
よくあるミス
ミス1:仕切りを 本にしてしまう
本です。3区間なら仕切り2本。
ミス2: と混同する
重複を許すなら。 より が大きくても計算できます。
ミス3:重複順列 を使ってしまう
順序を区別するかどうかで決まります。「何個ずつ」なら組合せです。
ミス4:「1個以上」の条件を後から処理しようとする
先に1個ずつ配ってから残りを自由に配ります。
ミス5:区間に0個が入ることを忘れる
のように仕切りが隣り合ってもよいのが重複組合せです。
練習問題
- 3種類のジュースから5本買う方法は何通りか。
- を満たす0以上の整数の組は何組か。
- 4種類のあめから3個選ぶ方法は何通りか。
- 3種類のジュースから5本買う。どの種類も1本以上のとき何通りか。
- 同じ玉5個を3人に配る方法は何通りか(0個の人がいてもよい)。
- で を満たす整数の組は何組か。
- 3種類のジュースを5本、1本目から順に選ぶ選び方は何通りか。
解答
- ○5個・仕切り2本で 21
- 1と同じ問題なので21。検算: ○
- ○3個・仕切り3本で 20
- 先に1本ずつ配って残り2本。6
- 1と同じ問題(人が3種類の行き先)なので21
- とおくと で全部0以上。15。検算: ○
- 順序があるので重複順列。243
まとめ
- 重複組合せは○と仕切りの並べ方に翻訳して数える
- 正しい理由は買い方と記号の列が1対1だから
- 種類から 個なら○が 個、仕切りが 本
- 方程式の非負整数解の個数と同じ問題
- 「1個以上」は先に配ってから残りを自由に
- 検算は小さい例の書き出し/1変数を固定して足す/組合せの対称性
「数えたいものを、数えられるものに翻訳する」という発想は、数Aの整数の性質や数Bの数列でも繰り返し出てきます。翻訳が1対1かどうかを毎回確かめる——これが身につくと、初めて見る設定でも自分で数え方を作れるようになります。○と は、その最初の練習台です。
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