と 。公式は書けるのに、問題文を読んでどちらを使うか判断できない——場合の数でいちばん多いつまずきです。
判断基準はたった一つの問いで決まります。それを覚えてしまえば、問題文を読んだ瞬間に選べます。
結論:「順番を入れ替えたら別物になるか」だけを問う
| 問い | 答え | 使う道具 |
|---|---|---|
| 選んだものの順番を入れ替えたら、別の場合になるか? | なる(区別する) | 順列 |
| ならない(同じ扱い) | 組合せ |
具体的には次のように現れます。
- 順列になる例:並べる/席に着く/役職を割り当てる/1位2位を決める/番号を作る
- 組合せになる例:選ぶだけ/チームを作る/代表を選ぶ/委員を決める/線分や三角形を作る
「A→B」と「B→A」を別々に数えるなら順列、同じとみなすなら組合せです。
なぜ組合せは順列を割るのか
公式の関係を見てください。
この が「並べ替えの重複を打ち消す」ぶんです。
A・B・Cの3人から2人を選ぶ場合で確かめます。
順列(並べる): 通り。
AB、BA、AC、CA、BC、CB の6つです。
組合せ(選ぶだけ): 通り。
{A,B}、{A,C}、{B,C} の3つ。順列の6通りを見ると、ABとBA、ACとCA、BCとCBが2つずつペアになっています。この で割ったわけです。
【検算】実際に書き出すと、順列6・組合せ3。 で一致します。
3つ選ぶなら、ABC・ACB・BAC・BCA・CAB・CBA の 通りが1つの組にまとまるので、 で割ります。「選んだ 個の並べ替えが 通りあるから で割る」——これが公式の意味です。
判断できる問題文の例
順列になる問題
「5人から3人を選んで、部長・副部長・書記にする」
同じ3人でも、誰が部長かで別の場合です。役職=順番の区別があります。
「1〜5の数字から3個選んで3桁の整数を作る(同じ数字は使わない)」
123と321は別の数です。位=順番があります。
組合せになる問題
「5人から3人の代表を選ぶ」
誰と誰と誰か、だけが問題です。選ばれた3人に区別はありません。
「円周上の5点から3点を選んで三角形を作る」
三角形は3頂点の集合で決まります。頂点を選ぶ順番は関係ありません。
【検算】小さい数で全部書き出して確かめる
公式が正しいかは、数が小さいうちに全列挙して確かめるのがいちばん確実です。
4人(A,B,C,D)から2人を選ぶ場合を数えます。
| 公式 | 全列挙 | 中身 | |
|---|---|---|---|
| 順列 | 12個 | AB,BA,AC,CA,AD,DA,BC,CB,BD,DB,CD,DC | |
| 組合せ | 6個 | AB,AC,AD,BC,BD,CD |
一致しました。試験中に不安になったら、要素を3〜4個に減らして書き出してみると、どちらを使うべきかが確実に判定できます。
組合せの便利な性質
性質1:
「10人から7人選ぶ」は「10人から選ばない3人を決める」のと同じです。
計算が軽いほうを選べます。 をそのまま計算するより圧倒的に速いです。
【検算】。一致しました。
性質2:
「1つも選ばない」も「全部選ぶ」も1通りです。0を含む計算で混乱しないよう覚えておきます。
よくあるミス
ミス1:「選ぶ」という言葉だけで組合せと決めつける
「5人から3人を選んで1列に並べる」は、選んだあとに並べるので順列です。文末まで読んでから判断してください。
この場合は と、どちらの道筋でも同じ答えになります。
【検算】。確かに一致します。
ミス2:区別のない同じものを区別して数える
「赤玉3個、白玉2個を並べる」のように同じものが含まれる場合は、単純な順列ではありません。
同じ色どうしの並べ替え( と )は区別できないので割ります。組合せの発想と同じ「重複を割る」処理です。
【検算】これは「5か所のうち赤を置く3か所を選ぶ」と同じなので 。一致します。
ミス3:階乗の計算を最後までやってしまう
を と書いて を計算し始めると手が止まります。約分してから計算します。
分子は上から 個だけ、分母は 。これで十分です。
練習問題
- 8人から3人の委員を選ぶ方法は何通りか。
- 8人から3人を選んで、委員長・副委員長・書記にする方法は何通りか。
- 正八角形の頂点から3点を選んで三角形を作る方法は何通りか。
- 1,2,3,4,5から異なる4個を選んで並べ、4桁の整数を作る方法は何通りか。
- a,a,a,b,b の5文字を1列に並べる方法は何通りか。
解答
- 選ぶだけなので組合せ。 通り
- 役職の区別があるので順列。 通り。検算:
- 三角形は頂点の集合で決まるので組合せ。 通り
- 位の区別があるので順列。 通り
- 同じものを含む順列。 通り。検算: と一致
まとめ
- 判断基準はひとつ。順番を入れ替えたら別物か
- 並べる・役職・位・順位 → 順列。選ぶだけ・チーム・三角形 → 組合せ
- の は並べ替えの重複を打ち消す量
- 迷ったら要素を3〜4個に減らして全部書き出す。必ず判定できる
- で計算を軽くする
- 階乗を展開せず、分子は上から 個だけで計算する
場合の数は確率の土台です。ここで「区別するかどうか」の判断が曖昧なままだと、確率の分母と分子で扱いがずれて答えが合わなくなります。逆にこの1つの基準が入っていれば、反復試行も条件付き確率も同じ発想で処理できるようになります。
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