解と係数の関係は覚えやすい。問題は「どこで使うのか」です。解の公式で解けるのだから、わざわざ使わなくてもよさそうに見える。
使いどころは3つあります。①解が汚いとき ②方程式を作るとき ③3次以上のとき。とくに③は、解と係数の関係なしでは手が出ません。
結論:解を求めずに済ませる道具
2次方程式 の2解を とすると
3次方程式 の3解を とすると
符号が と交代するのがポイント。覚えるより、次の導出を1回やるほうが確実です。
なぜ成り立つのか:展開して比べるだけ
が解なら、因数分解できます。
右辺を展開すると
係数を比べて
両辺を で割れば、そのまま公式になります。
3次も同じ
右辺のかっこを展開すると
符号が交代する理由が見えます。 だから、最後にマイナスがつく。
【検算】 で確かめます。
公式では 、、。係数と一致 ○
使いどころ1:解が汚いとき
の2解を とするとき と を求めよ。
解の公式で求めると 。これを2乗して足すのは現実的ではありません。
解と係数の関係を使います。
【検算】実際の解で確かめます。。
一致 ○ も計算すると になります。
使いどころ2:方程式を作る
3 と を解とする2次方程式を1つ作れ。
和と積を出すだけです。
2解の和が 、積が なので
【検算】因数分解します。
解は 3 と ○
応用:解を変換した方程式を作る
の2解を とするとき、 を解とする2次方程式を作れ。
、 なので
したがって求める方程式は
【検算】もとの解は より 2 と 3。2乗すると 4 と 9。
○ また で確かに解は 4 と 9 ○
解を求めずに、変換後の方程式が作れる——これが2つ目の使いどころです。
使いどころ3:3次方程式
の3解を とするとき を求めよ。
2乗の和は展開の公式から出ます。
【検算】この方程式の解は 1、2、3 です(因数分解できます)。
一致 ○
3次方程式は解の公式が実用的ではありません。因数分解できない場合、解と係数の関係が唯一の手がかりになります。
虚数解でも成り立つ
の2解を とするとき を求めよ。
判別式は なので解は虚数です。それでも関係は成り立ちます。
【検算】解は 。2乗して足すと
一致 ○ 2乗の和が負になるのは、実数では起こらないことです。
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 解を求めてから代入しても、多くの例題は解けてしまうから
導入の例題では解がきれいな整数であることが多く、普通に解いて代入したほうが速い場合すらあります。
そのため「なぜこの道具が必要なのか」が伝わりにくい。本当に効くのは解が無理数や虚数のときですが、そういう問題は後の演習に置かれやすい構成です。
2. 3次の符号が交代する理由が、導出を省くと見えないから
3次の関係は符号が と入れ替わります。結果だけ示されると、覚えにくく間違えやすい。
ところが を展開すれば理由は一目瞭然です。この展開は手間がかかるため結果の提示で済まされやすいですが、1回やるだけで以後迷わなくなります。
3. 複素数の範囲で成り立つことが、実数解の例題では見えないから
解と係数の関係は解が虚数でも成り立ちます。むしろ数IIの「複素数と方程式」で扱われるのは、その拡張が主題だからです。
しかし導入は実数解の例から始まるため、「虚数でも同じ」という要点が印象に残りにくい。判別式が負でも計算を進めてよい、という判断ができるかどうかで差がつきます。
【検算】3つの方法
1. 実際に解を求めて代入する
解がきれいならこれが最も確実です。
【検算】 の解は 2、3。 ○
2. 作った方程式を因数分解して戻す
方程式を作る問題では、因数分解して解が一致するかを見ます。
【検算】 ○、 ○
3. 係数と和・積の対応を1つずつ確認する
符号を落としていないかを確かめます。とくに3次。
【検算】:和 ○、2つずつの積の和 ○、3つの積 ○
よくあるミス
ミス1: と符号を落とす
マイナスがつきます。。
ミス2: でない場合に割り忘れる
なら和は です。3ではありません。
ミス3:3次で符号の交代を間違える
の順です。展開を思い出せば確実。
ミス4:判別式が負だからと計算をやめる
虚数解でも成り立ちます。そのまま進めてよい。
ミス5:方程式を作るとき符号を逆にする
和が 、積が なら です。
ミス6:解が2つあることを前提にしすぎる
重解のときは同じ解を2個と数えます。関係はそのまま成り立ちます。
練習問題
- の2解を とするとき を求めなさい。
- の2解について を求めなさい。
- 3 と を解とする2次方程式を1つ作りなさい。
- の2解の2乗を解とする2次方程式を作りなさい。
- の3解の和と積を求めなさい。
- 5の方程式について を求めなさい。
- の2解について を求めなさい。
解答
- 。13。検算:解は2と3で ○
- 。
- 和 、積 より。検算: ○
- 和 、積 より。検算: ○
- 和 6、積 6。検算:解は1,2,3で 、 ○
- 14。検算: ○
- 。検算:虚数解を直接2乗して足しても ○
まとめ
- 根拠は を展開して係数を比べるだけ
- 2次:
- 3次:符号が と交代する
- 使いどころは①解が汚いとき ②方程式を作るとき ③3次以上
- 虚数解でも成り立つ(判別式が負でも進めてよい)
- 和 、積 の方程式は
- 検算は解を求めて代入/因数分解して戻す/符号の対応確認
「解そのものを求めずに、解についての情報を得る」——この発想は数学の中で何度も現れます。数IIIの方程式の解の個数、大学の行列の固有値(和がトレース、積が行列式)まで、同じ構造がそのまま続いていく。解と係数の関係は、その最初の入口です。
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