中3で暗記させられるこの式。歌にして覚えた人も多いはずです。しかしこの形がどこから来たのかを説明された記憶はあるでしょうか。
解の公式は天から降ってきたものではありません。平方完成を文字のままやっただけです。導出を一度自分の手で追っておくと、覚え間違いが起きてもその場で作り直せるようになります。
結論:一般の二次方程式を平方完成すると、あの形になる
やることは、具体的な数でやる平方完成とまったく同じ手順です。数字が という文字に変わるだけです。
- の係数で全体を割る
- の係数の半分を2乗して、足して引く
- 2乗の形にまとめる
- 平方根をとる
この4ステップを順に見ていきます。
導出:4ステップで追う
出発点は一般の二次方程式です()。
ステップ1:両辺を で割る
の係数を1にします。 なので割れます。
ステップ2:定数項を右辺へ移す
ステップ3:平方完成する
の係数は 。その半分は 、2乗すると 。これを両辺に足します。
左辺が2乗の形になりました。
右辺を通分します。分母を にそろえると
ここで が現れました。これが判別式の正体です。「暗記する式」ではなく、通分した結果として自然に出てくる量なのです。
ステップ4:平方根をとる
2乗して になる数は の2つあります。だから が付きます。
分母の ですが、 が両方の符号を拾うので と書いて差し支えありません。
最後に を移項します。
解の公式が出ました。新しい発想は一つも使っていません。平方完成をそのまま文字でやっただけです。
【検算】具体的な方程式で公式と手計算を突き合わせる
を、公式と因数分解の両方で解いて比べます。
公式で解く:。
よって または 。
因数分解で解く: なので 。
一致しました。さらに代入して確かめます。 のとき 。 のとき 。どちらも0になります。
判別式が「何個解があるか」を決める理由
導出のステップ4を見返してください。 の中身の符号ですべてが決まります。
| の中 | 実数解の個数 | 理由 | |
|---|---|---|---|
| 正 | 2個 | で異なる2つの値になる | |
| 0 | 1個(重解) | なので両方同じ値 | |
| 負 | 0個 | 実数の範囲に平方根がない |
判別式は覚えるものではなく、解の公式の中身そのものです。導出を追っていれば、この対応も暗記する必要がありません。
【検算】3つの場合を実際に確かめます。
- : → の2個。実際
- : → のみ。実際
- : → 実数解なし。実際どんな実数 でも
公式を使わないほうがよい場面
解の公式はどんな二次方程式でも解ける強力な道具ですが、いつでも最速とは限りません。
| 式の形 | 選ぶ方法 | 例 |
|---|---|---|
| 因数分解できる | 因数分解 | |
| の形 | 平方根をとる | |
| が偶数 | 公式( 版) | |
| 上のどれでもない | 解の公式 |
が偶数のときの簡略版も、導出は同じです。 とおいて代入すると
数が小さくなるぶん計算ミスが減ります。
【検算】 で確かめます。 なので 。
通常の公式でも 。一致しました。
よくあるミス
ミス1: の符号を落とす
がもともと負のとき、 は正になります。 なら なので 。
よって 。【検算】、。合っています。
ミス2:分母の を にしてしまう
のときに起きます。分母は必ず です。 なら で割ります。
ミス3: の符号ミス
が負のとき は正になります。上の で となったのがその例です。ここを引き算のまま処理すると判別式が負になり、「解なし」と誤答します。
練習問題
- を解きなさい。
- を解きなさい。
- を解き、解の個数を答えなさい。
- の実数解の個数を判別式で答えなさい。
解答
- (判別式 )
- を使って 。検算:通常の公式でも
- 判別式 なので重解1個、
- 判別式 なので実数解は0個
まとめ
- 解の公式は一般の二次方程式を平方完成しただけ。新しい発想は使っていない
- は通分の途中で自然に現れる量。判別式は解の公式の中身そのもの
- は「2乗して になる数が2つある」ことから来ている
- 因数分解できる式に無理に公式を使わない。使い分けが計算ミスを減らす
- 公式を忘れても、平方完成の手順を4ステップ辿れば自力で作り直せる
導出を一度でも自分の手で追っておくと、公式は「覚えるもの」から「作れるもの」に変わります。高校の解と係数の関係、二次不等式、複素数の範囲での解——どれも同じ導出の延長線上にあります。
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