袋の中に赤玉が3個、白玉が2個。確率の問題では、この赤玉3個に赤1・赤2・赤3と番号をつけて区別します。
「同じ色なのになぜ区別するのか」——見た目が同じものを別扱いするのは不自然に感じます。しかし区別しないと確率が計算できません。理由をはっきりさせます。
結論:玉は物理的に別のものだから
赤玉が3個あるということは、物理的に3つの玉が袋の中にあるということです。手を入れて1個つかむとき、どの玉をつかむかは5通りあります。
そしてどの玉も同じ確率でつかまれます。だから
赤が出る確率 =
ここで「赤か白かの2通りだから 」は誤りです。赤は3個、白は2個で個数が違うのだから、出やすさも違います。
区別するのは「同様に確からしい」を保つため。色でまとめると、まとまりの大きさが違うので使えなくなります。
色でまとめると何が起きるか
| 数え方 | 全体 | 赤が出る | 確率 |
|---|---|---|---|
| 玉を区別する | 5通り | 3通り | |
| 色でまとめる | 2通り | 1通り |
答えが変わります。正しいのは です。
【検算】白が出る確率も計算します。区別すれば 。足すと ○。
色でまとめる方法だと で一見合っていますが、赤と白の個数の違いが消えてしまっています。玉を1個増やして赤4個・白1個にしても、この方法では のまま。明らかにおかしいと分かります。
2個取り出す場合
赤玉3個、白玉2個が入った袋から、同時に2個取り出す。2個とも赤である確率を求めなさい。
玉に赤1・赤2・赤3・白1・白2と番号をつけます。
5個から2個選ぶ組み合わせは
そのうち2個とも赤なのは、赤1・赤2・赤3から2個選ぶので
したがって確率は。
【検算】実際に10通りを書き出します。
赤1赤2・赤1赤3・赤2赤3・赤1白1・赤1白2・赤2白1・赤2白2・赤3白1・赤3白2・白1白2
10通りで、赤が2個なのは最初の3通り ○。
「同時」と「順に」で答えは変わるか
変わりません。これは知っておく価値のある事実です。
順に2個取り出す場合(1個目を戻さない)、順番も区別するので
2個とも赤なのは 通り。確率は
同時のときと同じ です。
理由は単純です。順番を区別すると、分子も分母も2倍になるから。約分すると消えます。
だから「同時に取り出す」問題は、順に取り出すと考えて解いてもよいのです。計算しやすいほうを選んでください。
戻すか戻さないかは、答えが変わる
一方、取り出した玉を戻すかどうかは決定的です。
| 1個目が赤 | 2個目も赤 | 両方赤の確率 | |
|---|---|---|---|
| 戻さない | |||
| 戻す |
と 。戻すほうが大きくなります。
理由も納得できます。戻さない場合、1個目で赤が減るので2個目に赤が出にくくなるからです。
問題文に「戻して」「戻さずに」「同時に」のどれが書かれているか、必ず確認してください。「同時に」は「戻さない」と同じ扱いです。
くじ引きの順番は公平か
区別して数える考え方が効く、有名な問題です。
5本のくじのうち1本が当たり。5人が順に1本ずつ引くとき、1番目に引く人と3番目に引く人では、どちらが有利か。
直感的には「先のほうが有利」「後のほうが残り物で不利」と感じますが——どちらも同じです。
1番目が当たる確率:5本のうち当たりは1本なので 。
3番目が当たる確率:1番目がはずれ()、2番目もはずれ()、3番目が当たり()。
同じ 。
【検算】別の見方で確かめます。くじに番号をつけて5本を1列に並べると、並べ方は全部で 通り。当たりが3番目に来るのは 通り。
一致しました。そして当たりが何番目に来るかは対称なので、どの順番でも です。
くじ引きの順番は公平。区別して数えると、この結論がはっきり出ます。
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 「区別する」が見た目に反するから
同じ色の玉を別扱いするのは、現実の見え方に反します。「見分けがつかないのに区別する」という指示は、直感的には受け入れにくい。
しかし見分けがつくかどうかと、独立に起こるかどうかは別の話です。玉は物理的に別のものなので、どれが選ばれるかは5通りある。
この区別は理屈で理解するしかないため、一度きちんと確認する必要があります。
2. 「同時に取り出す」の扱いが説明されにくいから
「同時に2個」と言われると、順番がない状況に見えます。ところが計算では順番を区別してもよい(答えが同じ)。
なぜ同じになるのかは、約分で2が消えるからという計算上の事実です。この確認をする場面は、単元の構成上あまり作られません。
結果として「同時のときはどう数えるのか」で迷い続けることになります。「順に取り出すと考えてよい」と知っておけば、迷いは消えます。
3. くじ引きの公平性が発展扱いになりやすいから
くじ引きの順番が公平であることは、直感に反する有名な結果です。しかし計算にはかけ算の連鎖が必要で、中2の標準的な内容より一歩踏み込みます。
そのため発展的な話題として扱われることが多く、触れずに終わる場合もあります。
ですが、この問題は「区別して数えると直感の誤りが正せる」ことを最も鮮やかに示す例です。並べ方で考える方法()なら、計算も簡単に済みます。
【検算】3つの確認法
1. すべての場合の確率を足して1になるか
| 取り出し方 | 確率 |
|---|---|
| 2個とも赤 | |
| 赤1個・白1個 | |
| 2個とも白 |
合計 ○。場合を全部並べて足すのが最も確実な検算です。
2. 2つの数え方で一致するか
- 組み合わせで数える …
- 順に取り出すかけ算 … ○
3. 大小関係が常識と合っているか
- 赤のほうが多いので、赤が出る確率 白が出る確率
- 戻すほうが赤が減らないので、戻すほうが両方赤になりやすい
この向きが逆になったら、計算ミスです。
よくあるミス
ミス1:色でまとめて数える
「赤か白の2通り」は誤りです。個数が違えば出やすさも違います。玉ごとに区別してください。
ミス2:戻す・戻さないを読み落とす
答えが変わります。問題文の該当箇所に印をつける習慣をつけてください。
ミス3:「同時に」で順番を考えてはいけないと思う
順に取り出すと考えても答えは同じです。分子も分母も同じ倍率になるので約分で消えます。
ミス4:くじ引きは先のほうが有利だと思う
どの順番でも同じです。計算すると必ず になります。
ミス5:分母を間違える
2個取り出すなら分母は10(同時)または20(順に)。5ではありません。
練習問題
- 赤玉4個、白玉1個の袋から1個取り出すとき、赤が出る確率を求めなさい。
- 赤玉3個、白玉2個から同時に2個取り出すとき、2個とも白である確率を求めなさい。
- 2で、赤1個・白1個である確率を求めなさい。
- 1・2・3の確率をすべて足すといくつになるか。
- 赤玉3個、白玉2個から1個取り出して戻し、もう1個取り出す。2個とも赤である確率を求めなさい。
- 4本のくじのうち1本が当たり。2番目に引く人が当たる確率を求めなさい。
解答
- 全部で5個、赤は4個なので
- 白は2個なので、2個選ぶ方法は1通り。全体は10通りなので
- 赤3通り×白2通りで6通り。
- 2個とも赤()+赤白()+2個とも白()で1。すべての場合を尽くしています ○
- 戻すので毎回 。。戻さない場合の より大きい ○
- 1番目がはずれ 、2番目が当たり 。。1番目と同じ ○
まとめ
- 同じ色の玉も物理的に別のもの。だから区別して数える
- 色でまとめるとまとまりの大きさが違うので、同様に確からしくならない
- 「同時に」と「順に」は答えが同じ。約分で倍率が消えるから
- 「戻す」と「戻さない」は答えが変わる。問題文を必ず確認
- くじ引きの順番は公平。どの順でも同じ確率
- 検算はすべての場合の確率を足して1か/2つの数え方で一致するか
「見た目が同じでも、別々のものとして数える」という考え方は、高校の数A(順列・組合せ)で同じものを含む順列として正面から扱われます。そこでは逆に「区別したあとで、区別しない分だけ割る」という操作を学びます。まず区別して数え、必要なら後から割る——中2のここで身につけておくべき順序です。
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