平面の方程式が立てられない原因は1つです。「平面が何で決まるか」を知らない。
平面は「法線ベクトル」と「通る点1つ」で決まる
この2つがそろえば、方程式は内積を1回書くだけで出てきます。
結論: と書く
法線ベクトルを 、通る点を とします。
平面上の点 について、 は平面に沿った向き。法線とは垂直なので
成分で書くと
展開して整理すれば
()
係数がそのまま法線ベクトル
の が法線ベクトル
2次元の直線 で が法線だったのとまったく同じ構造です。次元が1つ増えただけ。
やってみる1:法線と1点から
法線ベクトルが で、点 を通る平面の方程式を求めよ。
展開します。
【検算1】通る点を代入します。
○
【検算2】定数項を確かめます。 なので ○
【検算3】係数が法線と一致しているか。 ○
やってみる2:3点から
、、 を通る平面の方程式を求めよ。
方針:まず法線を求める
平面上のベクトルを2本とります。
法線 はこの2本と垂直なので
したがって 、。 とすると 。
法線は長さが自由なので、いちばん簡単な整数比を選びます。
方程式を作る
点Aを通るので
【検算1】3点すべてを代入します。
| 点 | |
|---|---|
| ○ | |
| ○ | |
| ○ |
【検算2】内積が0か確かめます。
どちらも0 ○ 確かに法線です。
別の方法でも確かめる
3点が各軸との交点になっているので、切片の形が使えます。
両辺を6倍すると
一致 ○ まったく違う道筋で同じ答えになりました。
点と平面の距離
点と直線の距離の公式で、分母に が増えただけです。理由も同じ——法線方向の成分を取り出しています。
原点と平面 の距離を求めよ。
約2.94です。
【検算】垂線の足を求めます。原点から法線方向へ進むので、 の形。平面上にあるので
足は 。そこまでの距離は
一致 ○
【検算2】足が平面上にあるか。 なので ○
2平面のなす角は法線どうしの角
平面の傾きは法線が決めているので、2平面のなす角は法線どうしのなす角(またはその補角)です。
【検算】(法線 )と (法線 )は垂直な平面。法線の内積は
垂直 ○ 確かに 平面と 平面は直交しています。
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 「平面は法線と1点で決まる」が示されにくいから
直線は「方向ベクトルと1点」で決まりました。平面は「法線ベクトルと1点」。
この違いは重要ですが、方程式の形として提示されると、決定条件としての意味が伝わりにくい。何が分かれば平面が決まるか——ここを押さえると、問題文から手がかりを探せるようになります。
2. 直線の場合との対応が示されにくいから
の が法線、 の が法線。まったく同じ構造です。
ところが数IIの図形と方程式と数Cのベクトルは別の単元。対応させる場面が構成上ないため、新しい公式として覚え直すことになりがちです。
3. 3点から法線を求める手順が型になりにくいから
3点が与えられたら2本のベクトルを作り、両方と垂直な法線を連立で求める——これが型です。
しかし連立方程式の解き方(1文字を自由に決める)に慣れが要り、答えが一意でない(定数倍の自由度がある)ことも戸惑いの原因になります。整数比で書ければ十分と知っておくと迷いません。
【検算】3つの方法
1. 与えられた点を代入する
最も確実です。すべての点で0になるはずです。
【検算】 に :すべて0 ○
2. 法線と平面上のベクトルの内積が0か
【検算】 ○
3. 別の方法で作って一致するか
切片形や別の点を基準にするなど、道筋を変えて確かめます。
【検算】切片形からも ○
よくあるミス
ミス1:法線ベクトルと方向ベクトルを混同する
平面は法線、直線は方向です。
ミス2:定数項の符号を間違える
。展開して確かめます。
ミス3:法線を1通りに決めようとする
定数倍の自由度があります。整数比で書ければ十分。
ミス4:3点が一直線上にある場合を考えない
平面が決まりません。2本のベクトルが平行かどうか確認します。
ミス5:距離の公式で を忘れる
です。3成分すべて。
ミス6:2平面の角を法線の角と逆にとる
補角になることがあります。鋭角で答えるなら絶対値をとります。
練習問題
- 法線 、点 を通る平面の方程式を求めなさい。
- 1の答えに点を代入して検算しなさい。
- を通る平面の法線ベクトルを求めなさい。
- 3の平面の方程式を求めなさい。
- 4を切片の形でも確かめなさい。
- 原点と平面 の距離を求めなさい。
- の法線ベクトルを答えなさい。
解答
- より
- ○
- 、 より(定数倍は自由)
- より。検算:3点とも0 ○
- の両辺を6倍して ○
- (約2.94)。検算:垂線の足 までの距離と一致 ○
- (係数がそのまま法線)
まとめ
- 平面は「法線ベクトル」と「通る点1つ」で決まる
- 方程式は を書くだけ
- 係数 がそのまま法線(直線の場合と同じ構造)
- 3点からは2本のベクトルを作り、両方と垂直な法線を連立で求める
- 法線は定数倍の自由度がある(整数比でよい)
- 距離は
- 検算は点を代入/内積が0/別の方法で一致
空間の問題は「垂直をどう表すか」で決まります。垂直は内積0——この一手で、平面も、距離も、角度も書けるようになる。図が描けなくても計算はできる。それが空間ベクトルの最大の強みです。
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