三角形の面積 。なぜ が出てくるのか——公式として覚えていても、由来を説明できる人は多くありません。
実は小学校で習った「底辺×高さ÷2」そのものです。高さを で書き直しただけ。1行で導けます。
結論:高さが だから
三角形ABCで、、、 は頂点Cの角とします。
底辺を と見て、Aから下ろした高さを考えます。
頂点Cのところにできる直角三角形に注目すると、斜辺が 、角が 。したがって
高さ =
あとは小学校の公式に入れるだけです。
これだけです。新しい公式ではなく、高さの書き換えにすぎません。
なぜ高さが なのか
の定義に戻ります。
=(高さ)÷(斜辺)
斜辺が なので、両辺に をかけて
高さ =
【検算】直角三角形で確かめます。 のとき なので高さは 。
これは辺 がそのまま高さになるということ。直角三角形では確かにそうです ○
面積も 。直角をはさむ2辺の積の半分——おなじみの形です ○
具体例で確かめる
、、 の三角形の面積を求めなさい。
【検算】座標で確かめます。Cを原点、 とすると、Aは原点から距離8で角 の位置なので
底辺BCは 軸上で長さ6、高さはAの 座標で4。
一致しました ○。高さ4は と確かに同じです ○
鈍角でも成り立つ
ここが重要です。 が鈍角でも同じ公式が使えます。
、、 の三角形の面積を求めなさい。
なので
のときと同じです。
【検算】座標で確かめます。、、Aは
高さはやはり4( 座標)。底辺6なので面積12 ○
Aが左にずれても高さは変わらない——だから面積が同じになります。等積変形と同じ原理です。
鈍角では垂線の足が底辺の外に出ますが、 の座標による定義()を使えばそのまま計算できます。これが鈍角への拡張の恩恵です。
どの角を使ってもよい
公式は3通りの書き方があります。
「角をはさむ2辺」の積に、その角の をかける——形は同じです。
【検算】3辺が の直角三角形で確かめます。 なので斜辺5の直角三角形で、直角は3と4がはさむ角です。
- 直角をはさむ2辺で …
- 普通の公式で …
一致 ○
別の角でも計算します。3と5がはさむ角を とすると 、。
やはり6 ○。どの角を使っても同じ面積になります。
ヘロンの公式との関係
3辺だけ分かっているときは、 を余弦定理で求めてから を出します。
3辺が の三角形の面積を求めなさい。
5と6がはさむ角を とすると、余弦定理より
より
(三角形の内角なので )
【検算】ヘロンの公式でも計算します。 なので
なので 。一致しました ○
数値でも確認します。。妥当な大きさです(3辺が5,6,7なので)○
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 公式が短くて覚えやすいから
は数秒で覚えられます。導出(高さ=)を理解するより速い。
ところが覚えただけだと、どの辺とどの角を使うのか混乱します。「角をはさむ2辺」という関係が抜けるからです。
「高さを で書いただけ」と理解していれば、辺と角の対応で迷いません。
2. 小学校の公式との連続性が示されにくいから
「底辺×高さ÷2」は小学校の内容です。数Iの三角比の単元では、これを既習として扱います。
ところが「同じ公式の書き換えだ」と並べて示す場面は構成上生まれにくい。するとまったく新しい公式として受け取られます。
3. 鈍角でも成り立つことの確認が省かれやすいから
鋭角では図を描けば直角三角形が見えます。ところが鈍角では垂線の足が底辺の外に出るので、同じ図が描けません。
「それでも公式は成り立つ」ことは、座標による の定義を使えば示せます。ところがこの確認はやや踏み込んだ内容なので、省略されやすい。
座標で1回確かめておくと、鈍角の三角形でも安心して公式が使えます。
【検算】3つの方法
1. 座標に置いて計算する
最も確実です。1つの頂点を原点、1辺を 軸に置けば、高さは頂点の 座標そのものです。
| 条件 | 頂点Aの座標 | 高さ | 面積 |
|---|---|---|---|
| 4 | 12 ○ | ||
| 4 | 12 ○ | ||
| 8 | 24 ○ |
2. 別の角で計算して一致するか
3通りの書き方がすべて同じ値になるはずです。1つでも違えば計算ミスです。
3. ヘロンの公式と突き合わせる
3辺が分かっているなら、ヘロンの公式で独立に計算できます。
()
2つの独立した方法で一致すれば、まず間違いありません。
よくあるミス
ミス1:角と辺の対応を間違える
を使うなら、 をはさむ2辺です。向かい合う辺ではありません。
で、 は の両隣——図で確認してください。
ミス2: を忘れる
三角形なので半分です。 は平行四辺形の面積になります。
ミス3:鈍角で使えないと思う
使えます。 は鈍角でも正なので、面積も正しく出ます。
ミス4: を と取り違える
面積は です。 は余弦定理(辺の長さ)で使います。
覚え方より、高さの導出を思い出すほうが確実です。
ミス5: を求めるときに符号を迷う
三角形の内角は なので、 は必ず正です。負にはなりません。
練習問題
- 、、 の三角形の面積を求めなさい。
- 、、 の三角形の面積を求めなさい。
- 、、 の三角形の面積を求めなさい。
- のとき、、 の三角形の面積を求めなさい。
- 3辺が の三角形の面積をヘロンの公式で求めなさい。
- のとき を求めなさい( は三角形の内角)。
解答
- 6。検算:高さは 、 ○
- なので6。1と同じ(高さが同じだから)○
- なので 20
- なので 。検算: ○
- なので
- より。内角なので正
まとめ
- 公式の正体は「底辺×高さ÷2」。高さを に置き換えただけ
- 高さが なのは、 の定義(高さ÷斜辺)から
- を使うなら、 をはさむ2辺を掛ける
- 書き方は3通り。どの角を使っても同じ値
- 鈍角でも成り立つ。座標の定義を使えばそのまま計算できる
- 3辺だけ分かっているときは余弦定理で → 、またはヘロンの公式
- 検算は座標に置く/別の角で計算/ヘロンと突き合わせる
は、数Iの図形と計量の中心的な道具であり、正弦定理・余弦定理・内接円の半径など多くの公式と結びついています。さらに数Bのベクトルでは、外積の大きさとして同じ式が再登場します。「高さを角度で書き直した」——この理解があれば、公式を覚え直す必要がありません。
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