「連続する2つの奇数の和は4の倍数になることを説明しなさい」。言いたいことは分かるのに、答案が書けない。中2で最初に出会う本格的な記述問題です。
書けない原因は、書き方に決まった型があることを知らないだけです。証明の答案は3行構成で、しかも順番が固定されています。
結論:答案は3行で書く
| 書くこと | 書き出しの例 | |
|---|---|---|
| 1行目 | 文字でおく | 「 を整数とすると、…と表される」 |
| 2行目 | 計算する | 「和は 」 |
| 3行目 | 結論を言う | 「 は整数だから、4の倍数である」 |
この3行から外れることはありません。難しいのは計算ではなく、1行目と3行目の書き方です。そこだけ型として覚えてしまいましょう。
実際に書いてみる
連続する2つの奇数の和は4の倍数になる。このことを説明しなさい。
1行目:文字でおく
奇数は と表せます( は整数)。連続する次の奇数は2大きいので 。
を整数とすると、連続する2つの奇数は 、 と表される。
「 を整数とすると」を必ず書きます。これがないと、 が何なのか分からない答案になります。
2行目:計算する
ここが最重要です。「4の倍数だ」と言いたいのだから、4×(整数)の形に変形します。 で止めてはいけません。
言いたい形にくくり出す——これが証明の計算部分の目的です。
3行目:結論を言う
は整数だから、 は4の倍数である。
「 は整数だから」を必ず書きます。「4×何か」の「何か」が整数でなければ、4の倍数とは言えないからです。
これを省くと、答案としては減点対象になります。形だけの一言ですが、論理的には必要な一言です。
完成した答案
を整数とすると、連続する2つの奇数は 、 と表される。
このとき和は
は整数だから、 は4の倍数である。
よって、連続する2つの奇数の和は4の倍数である。
【検算】実際の数で確かめます。
| 2つの奇数 | 和 | 4で割ると |
|---|---|---|
| 1, 3 | 4 | 1 |
| 3, 5 | 8 | 2 |
| 5, 7 | 12 | 3 |
| , 1 | 0 | 0 |
すべて4で割り切れます。ただしこれは確認であって証明ではありません。証明は文字での計算のほうです。
「〜と表される」の型を覚える
1行目で使う表し方は、ほぼ決まっています。ここを覚えれば1行目で詰まりません。
| 表したいもの | 式 | 注意 |
|---|---|---|
| 整数 | — | |
| 偶数 | 2の倍数だから | |
| 奇数 | でもよい | |
| 3の倍数 | — | |
| 連続する2整数 | — | |
| 連続する3整数 | 真ん中を にすると楽 | |
| 連続する2つの奇数 | 差が2 | |
| 2桁の自然数 | 位ごとに分ける |
連続する3つの整数で真ん中を にするのは大事なコツです。 でも正しいのですが、和が となり一手増えます。真ん中を にすれば で終わります。
2種類の文字が必要なとき
独立して動く量が2つあるなら、文字も2つ使います。
2桁の自然数と、その十の位と一の位を入れ替えた数の和は11の倍数になる。説明しなさい。
十の位と一の位は独立に決まるので、別々の文字が必要です。
を整数とし、もとの数の十の位を 、一の位を とすると、もとの数は 、入れ替えた数は と表される。
このとき和は
は整数だから、 は11の倍数である。
【検算】。 で一致。、 で一致。
1つの文字で済ませようとすると失敗します。十の位と一の位に関係はないので、 だけでは表せません。
「〜は整数だから」を書く理由
この一言を省く人が非常に多いので、なぜ必要か説明します。
「4の倍数」とは「4×整数」の形で書ける数のことです。だから が4の倍数だと言うには、 が整数であることを確認する必要があります。
たとえば は4の倍数ではありません。かける相手が整数でなければ、倍数にならないのです。
が整数なら も整数——当たり前ですが、その当たり前を書くのが証明です。
形式的に見えますが、これが「証明を書く」という作業の中身です。当たり前のことを、抜けなく言葉にする。
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 記述の型を教える時間と、計算を教える時間が競合するから
文字式の証明では、計算そのものは中1レベルです。難しいのは答案の書き方のほう。
ところが授業は問題を解く形で進むため、「なぜこの1行が必要か」を毎回説明する余裕は生まれにくい。結果として模範解答を写す形になり、型が身につく前に単元が終わるという構成になりやすいのです。
2. 「説明しなさい」と「証明しなさい」の違いが曖昧だから
中2の文字式の単元では「説明しなさい」、図形の単元では「証明しなさい」という表現が使われます。
言葉が違うため、別の作業だと受け取られやすい。実際には要求されていることはほぼ同じで、「文字でおく → 計算する → 結論を言う」という構造は共通です。
用語が単元ごとに違うという構成上の事情なので、同じ型で書けると知っておくだけで負担が減ります。
3. 「例をいくつも挙げる」答案が、部分的には正しく見えるから
、、 と並べる答案は、言いたいことは伝わります。だから完全な間違いには見えません。
しかしこれは証明ではありません。無限にある場合のうち3つを確かめただけだからです。
この違いは論理の問題であって計算の問題ではないため、計算練習をいくら積んでも身につきません。「例は反証にはなるが、証明にはならない」——この非対称性を一度理解する必要があります。
【検算】3つの確認
1. 言いたい形にくくれているか
- 4の倍数を示すなら の形
- 11の倍数を示すなら の形
- 偶数を示すなら の形
で止めていたら、まだ終わっていません。
2. かっこの中が整数だと書いたか
の について「整数だから」と書いたか。この一言が抜けると減点されます。
3. 数を入れて成り立つか
| 主張 | 文字式 | |||
|---|---|---|---|---|
| 連続2奇数の和 | ||||
| 実際の値 | — |
すべて一致。負の数でも試すと、置き方の間違いが見つかりやすくなります。
よくあるミス
ミス1:例を並べて終わる
、…と書くだけでは証明になりません。必ず文字でおいて一般の場合を示します。
ミス2:「 を整数とすると」を書かない
いきなり と書き始める答案。 が何なのか宣言していないので不完全です。
ミス3:くくり出さずに終わる
のままでは「4の倍数」だと示せていません。 までもっていきます。
ミス4:「〜は整数だから」を省く
最後の一言が抜けるミス。倍数の定義に「整数倍」が含まれている以上、必要な記述です。
ミス5:文字が足りない
2桁の数を 1つで表そうとするミス。独立に動く量の数だけ文字が要ります。
練習問題
- 連続する2つの整数の和は奇数になることを説明しなさい。
- 連続する3つの整数の和は3の倍数になることを説明しなさい。
- 2つの偶数の和は偶数になることを説明しなさい。
- 2桁の自然数と、十の位と一の位を入れ替えた数の差は9の倍数になることを説明しなさい。
- 連続する2つの奇数の積に1を足すと4の倍数になることを説明しなさい。
解答
- を整数とすると2数は 。和は 。 は整数だから は奇数。検算: で ○
- を整数とし、真ん中を とすると3数は 。和は 。 は整数だから3の倍数。検算: ○
- を整数とすると2つの偶数は 。和は 。 は整数だから偶数。2つの偶数は独立なので文字も2つ
- 。 は整数だから9の倍数。検算: ○
- 2つの奇数を とすると、積に1を足した数は
は整数だから4の倍数。検算:、 ○
まとめ
- 答案は3行構成。①文字でおく ②計算する ③結論を言う
- 1行目は「 を整数とすると」から始める。宣言を省かない
- 2行目は言いたい形にくくり出す。 ではなく
- 3行目は「 は整数だから」を必ず入れる。倍数の定義に必要
- 独立に動く量の数だけ文字を使う
- 連続する3整数は真ん中を にすると計算が短い
- 例をいくつ挙げても証明にならない。ただし1つでも反例があれば否定できる
この3行の型は、中2の図形の証明(仮定を書く→合同を示す→結論)、中3の相似の証明、高校の数学的帰納法や背理法まで、形を変えながら同じ骨組みで使い続けます。証明とは、当たり前のことを抜けなく順番に書く作業です。中2のここで型を持っておくと、以降の記述問題で「何を書けばいいか分からない」ということがなくなります。
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