年令算で使う事実はたった1つです。
2人の年齢の差は、いつまでも変わらない
どちらも同じように1年で1歳ずつ増えるからです。変わるのは「比」だけ——ここを取り違えると混乱します。
結論:差を、比の差で割る
いま父は40歳、子は10歳です。父の年齢が子の年齢の2倍になるのは何年後ですか。
差は 歳。この30は何年たっても30のままです。
父が子の2倍になったとき、2人の関係はこうなります。
| 比 | |
|---|---|
| 子 | 1 |
| 父 | 2 |
| 差 | 1 |
比の差1が、実際の30歳にあたります。だから子は30歳。
20年後です。
【検算1】20年後の年齢を計算します。
ちょうど2倍 ○
【検算2】差を確認します。。いまと同じ30歳差 ○
3倍になるのはいつか
同じ考え方です。父が子の3倍のとき
| 比 | |
|---|---|
| 子 | 1 |
| 父 | 3 |
| 差 | 2 |
比の差2が30歳。だから比の1は
子が15歳のときなので
5年後です。
【検算】 ○ 差も ○
「何年前」を求めるとき
父が子の7倍だったのは何年前ですか。
比の差は 。
子が5歳のときです。いま10歳なので
5年前です。
【検算1】5年前は父35歳、子5歳。 ○
【検算2】子の年齢が0以上か確認します。5歳なので問題ありません ○
倍率が大きいほど、昔にさかのぼります。比の差が大きくなり、1あたりが小さくなるからです。
| 倍率 | 比の差 | 子の年齢 | いつ |
|---|---|---|---|
| 7倍 | 6 | 5歳 | 5年前 |
| 4倍 | 3 | 10歳 | いま |
| 3倍 | 2 | 15歳 | 5年後 |
| 2倍 | 1 | 30歳 | 20年後 |
【検算】いまは でちょうど4倍。表と一致します ○
和は変わってしまう
差は一定ですが、和は一定ではありません。2人とも1歳ずつ増えるので
2人の年齢の和は、1年で2ずつ増える
いまの和は 。20年後は
【検算】 ○ 一致します。
3人なら1年で3ずつ増えます。人数によって変わる——ここが差との大きな違いです。
人数が違うと差も一定でない
母は40歳、子は12歳と8歳です。母の年齢が、2人の子の年齢の和と等しくなるのは何年後ですか。
母は1人、子は2人。1年たつと母は1増え、子の和は2増えます。
いまの差は
この差は1年に1ずつ縮まります(子のほうが2増え、母は1増えるので)。
20年後です。
【検算】20年後を計算します。
一致 ○
「差が一定」が使えるのは、両側の人数が同じときだけです。
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 「差が一定」が当たり前すぎるから
2人とも同じだけ歳をとる——説明するまでもない事実に見えます。だから明示されにくい。
ところが問題文で与えられるのは「何倍」という比です。比は毎年変わるのに、差は変わらない——この対比が示されないと、どちらを手がかりにすべきか分かりません。
2. 和差算・倍数算と別の名前で並ぶから
「差と比が分かっているとき、それぞれを求める」——これは倍数算そのものです。
ところが特殊算は場面ごとに名前がついて並びます。年令算・倍数算・和差算が別項目として扱われる構成上、同じ式だと気づく場面が作られにくいのです。
3. 「何年前」がマイナスの扱いになるから
中学以降なら 年後と書けます。小学校では負の数を使いません。
そのため「前」と「後」を言葉で区別して答えることになり、1つの式でまとめて扱えません。学年をまたぐこの制約が、見通しを持ちにくくしています。
【検算】3つの方法
1. その年の年齢を実際に出す
最も確実です。条件どおりの倍率になるか確かめます。
【検算】20年後は60歳と30歳。 ○
2. 差が変わっていないか
2人なら、いつでも同じ差です。
【検算】、いまも ○
3. 年齢が0以上か
「何年前」で負の年齢が出たら、その状況は起こりません。
【検算】5年前は5歳と35歳。どちらも0以上 ○
よくあるミス
ミス1:和が一定だと思う
一定なのは差です。和は毎年増えます。
ミス2:比の差で割り忘れる
3倍なら比の差は2。1ではありません。
ミス3:求めた年齢をそのまま答える
聞かれているのは年数のことが多い。引き算を忘れずに。
ミス4:前と後を取り違える
倍率が大きいほど過去です。
ミス5:人数が違うのに差を使う
母1人と子2人なら差は一定になりません。
ミス6:0歳未満を見落とす
生まれる前の年齢はありません。
練習問題
- 父40歳、子10歳のとき、父が子の2倍になるのは何年後か求めなさい。
- 同じ2人で、父が子の3倍になるのは何年後か求めなさい。
- 同じ2人で、父が子の7倍だったのは何年前か求めなさい。
- 3の答えを、そのときの年齢で検算しなさい。
- いま2人の年齢の和はいくつで、20年後はいくつになるか求めなさい。
- 母40歳、子12歳と8歳のとき、母の年齢が子2人の和と等しくなるのは何年後か求めなさい。
- 6で「差が一定」が使えない理由を答えなさい。
解答
- 比の差1が30歳。子30歳のときなので20年後
- 比の差2で 。子15歳なので5年後
- 比の差6で 。子5歳なので5年前
- 父35歳、子5歳。 ○ 差も30 ○
- いま50、20年後は 90
- 差20が毎年1ずつ縮まるので20年後
- 母は1人、子は2人で、増える量が1と2で違うから
まとめ
- 年令算の柱は「2人の差は変わらない」
- 比の差で実際の差を割ると、比の1あたりが出る
- 倍率が大きいほど過去、小さいほど未来
- 和は毎年(人数)ずつ増える——一定ではない
- 人数が違えば差も一定ではない
- 検算は実際の年齢を出す/差の確認/0歳以上か
年令算は「変わらないものを1つ見つける」問題です。比が変わっても差は変わらない——その1点を軸にすれば、何倍でも何年前でも同じやり方で解けます。変化する量の中から不変量を探すという見方は、このあと理科でも数学でも何度も使います。
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