ニュートン算が難しいのは、減らしている間にも増え続けるからです。
仕事算では、仕事は減る一方でした。ニュートン算では草が生える・人が並ぶ・水が流れ込む——両方が同時に起こります。
結論:追いかけ算と同じ
(時間)=(最初の量)÷(減らす速さ - 増える速さ)
旅人算の追いかけを思い出してください。速い人が遅い人に追いつく時間は
(最初の差)÷(速さの差)
まったく同じ形です。ニュートン算は「増える量を追いかけて消す」問題にすぎません。
やってみる1:窓口の行列
開場のとき、すでに300人が並んでいます。そのあとも毎分20人が新たに並びます。窓口1つで毎分30人を処理できるとき、行列は何分でなくなりますか。
1分あたり、行列は何人減るか
処理は30人、増えるのは20人。差し引き10人ずつ減ります。
30分です。
【検算1】30分間の合計で確かめます。
並んだ人数と処理した人数が一致 ○
【検算2】途中の10分後を見ます。行列は 人。毎分10人ずつ減っている ○
窓口を2つにすると
7.5分です。窓口が2倍でも時間は半分より短くなります。
【検算】、 ○
処理が追いつかないと終わらない
もし窓口の処理が毎分15人だったら
行列は毎分5人ずつ増えます。いつまでも終わりません。
減らす速さ > 増える速さ でなければ、終わらない
答えが負になったら、この状況です。
やってみる2:速さが分からないとき
ある牧場の草を、牛10頭なら20日、牛15頭なら10日で食べ尽くします。牛25頭なら何日で食べ尽くしますか。草は毎日一定の量だけ生えます。
今度は草が生える量も、牛1頭が食べる量も分かりません。そこで
牛1頭が1日に食べる量を1とする
と決めます。全体を1とおいた仕事算と同じ発想です。
2つの条件を式にする
最初の草の量を 、1日に生える量を とします。
食べた量 = 最初の草 + 生えた草 なので
つまり 、。
差をとる
最初の草は100、毎日5ずつ生えます。
25頭なら
1日に減る量は 。
5日です。
【検算1】5日間の合計で確かめます。
一致 ○
【検算2】もとの2条件にも戻します。
どちらも成立 ○
【検算3】頭数が増えれば日数は短いはず。10頭で20日、15頭で10日、25頭で5日——順に短くなっています ○
なぜ「差をとる」とうまくいくのか
2つの式には同じ が入っています。引けばAが消えます。
残るのは だけ。
知りたくない量を、引き算で消す——これは連立方程式の加減法そのものです。
【検算】2つの条件の差 は、10日ぶんに生えた草にあたります。だから ○
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 中学受験の応用問題として扱われるから
ニュートン算は教科書の必修内容ではありません。小学校の算数の配当時間で扱われる単元ではなく、入試向けの発展問題として登場します。
そのため体系的に習う機会が少なく、いきなり難問として出会うことになりがちです。
2. 旅人算とのつながりが示されにくいから
ニュートン算は「追いかけ算」の言い換えです。減らす速さが増える速さを追いかけて、最初の量を消す。
ところが名前が違うため、別の解法として扱われます。特殊算が名前ごとに分かれて並ぶ構成上、共通の形を見る場面が作られにくいのです。
3. 「1とおく」の応用が必要だから
牛1頭の食べる量を1とおく——これは仕事算で学んだ考え方の応用です。
ところが仕事算では全体を1とおき、ニュートン算では1頭あたりを1とおきます。何を1とおくかが変わるため、手順として覚えていると対応できません。
【検算】3つの方法
1. 合計で確かめる
(最初の量)+(増えた量)=(減らした量)になるか。
【検算】 ○
2. もとの条件すべてに戻す
2つの条件の両方を満たすか確かめます。片方だけでは不十分です。
【検算】 ○、 ○
3. 大小関係が妥当か
人手が増えれば時間は短くなります。また減らす速さが増える速さ以下なら終わりません。
【検算】25頭は5日、10頭は20日。頭数が増えて日数が短い ○
よくあるミス
ミス1:増える量を引き忘れる
減らす速さから増える速さを引きます。
ミス2:最初の量と増える量を混同する
最初の量は1回きり、増える量は毎分・毎日です。
ミス3:条件を1つしか使わない
未知数が2つなら条件も2つ必要です。
ミス4:単位を決めずに始める
牛1頭が1日に食べる量を1と決めてから式を立てます。
ミス5:人数と速さを取り違える
窓口2つなら処理速度は2倍です。
ミス6:終わらない場合を見落とす
負の答えが出たら、追いつけていません。
練習問題
- 300人の行列に毎分20人が加わり、毎分30人を処理するとき、何分で行列が消えるか求めなさい。
- 1で窓口を2つにしたときの時間を求めなさい。
- 毎分15人しか処理できないとき、何が起こるか説明しなさい。
- 牛10頭で20日、15頭で10日のとき、1日に生える草の量を求めなさい(牛1頭が1日に食べる量を1とする)。
- 4の最初の草の量を求めなさい。
- 牛25頭では何日かかるか求めなさい。
- 6の答えを、もとの2つの条件で検算しなさい。
解答
- 、30分
- 、7.5分
- 毎分5人ずつ増えるので、行列は永久になくならない
- 5
- 100
- 5日
- ○、 ○
まとめ
- ニュートン算は減らしながら増える問題
- 式は(最初の量)÷(減らす速さ-増える速さ)
- 正体は旅人算の追いかけ
- 速さが不明なら2つの条件から差をとって求める(加減法)
- 1人・1頭あたりを1とおくと式が立つ
- 検算は合計で確認/両方の条件に戻す/大小関係
ニュートン算という名前は難しそうですが、やっているのは「引き算で追いつく」ことだけです。増える量を毎回引いて、残りを消すのに何分かかるかを数える——旅人算が解けるなら、ニュートン算も解けます。
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