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文章題で「解が問題に合わない」場合の処理|中3二次方程式

2026 8/03
数学のなぜ
2026-08-03
数学・算数の記事|ジュクウェブ!のキャラクター はむち

二次方程式の文章題で、解が2つ出た。両方とも答えていいのか、片方だけなのか。

ここで迷って点を落とす人が非常に多い。しかも答案に「不適」と書かないだけで減点されることもあります。この処理を解の吟味といい、手順は完全に決まっています。

目次

結論:現実の条件に合うかを1つずつ確認する

二次方程式は数学的には2つの解を持ちます。しかし文章題では、現実の条件を満たさない解が混ざることがあります。

手順はこうです。

  1. 方程式を解いてすべての解を出す
  2. 解ごとに問題の条件を満たすか確認する
  3. 満たさないものは「問題に適さない」と明記して捨てる
  4. 残ったものを答える

ステップ3を書かないと減点されます。捨てたことを答案に残すのが作法です。

捨てる理由は3種類しかない

チェックすべき条件は、実はほぼ3つに絞れます。

条件 捨てる場合 例
正でなければならない 0以下の解 長さ・人数・個数・値段
整数でなければならない 分数・小数の解 人数・個数・回数
範囲がある 範囲外の解 「もとの長さより短い」など

問題文が何を求めているかを見れば、どの条件かが決まります。「長さ」なら正、「人数」なら正の整数。

型1:長さは正でなければならない

縦が横より3cm長い長方形がある。面積が40cm²のとき、横の長さを求めなさい。

横を cmとすると縦は cm。面積の式は


解は。

吟味します。 は長さなので正でなければなりません。

  • … 長さが負になるので問題に適さない
  • … 適する

答えは横が5cmです。

【検算】横5cm、縦8cm。面積は ○。差は ○。両方の条件を満たしています。

答案の書き方:「 より は問題に適さない。よって 」——この一文を必ず書きます。

型2:整数でなければならない

ある正の整数と、それより3大きい整数の積が54である。もとの整数を求めなさい。


解は 。

「正の整数」という条件があるので、 は不適。答えは6です。

【検算】 ○

整数でない解が出る場合

解が分数になったときも、問題が整数を求めているなら不適です。

ただしこの場合、立式を疑うほうが先です。整数を求める問題で分数解しか出ないなら、式が間違っている可能性が高い。

「両方とも不適になったら、立式を見直す」——これは重要な判断です。

型3:範囲の条件がある

縦12cm、横16cmの長方形の紙がある。四すみから1辺 cmの正方形を切り取って、ふたのない箱を作る。底面積が cm²になるときの を求めなさい。

底面は縦 、横 の長方形です。

展開して整理します。

4で割って

解は 。

吟味します。切り取る正方形の1辺には範囲があります。

  • (長さだから)
  • つまり (縦が残らないといけない)

したがって。

  • … 範囲内。適する
  • … 範囲外( を超える)。不適

答えは です。

【検算】 なら底面は cmと cm。面積は ○

だと: cm。長さが負になり、そもそも図が描けません ○(不適だと確認できました)

この型では、範囲を先に書き出しておくのが確実です。立式のときに一緒に書いておけば、吟味を忘れません。

両方が答えになる場合もある

すべての解が不適とは限りません。両方が条件を満たすこともあります。

連続する2つの正の整数の積が72である。2つの整数を求めなさい。

。正の整数という条件から 。答えは8と9です。

ここでは片方だけですが、問題によっては両方残ります。

ある数を2乗すると、その数の4倍より5大きくなる。ある数を求めなさい。

。「ある数」に正という条件はありません。

【検算】 で ○。 で ○。両方とも正しいので、答えは5と 。

「1つだけが答え」と思い込まないでください。条件がなければ両方が答えです。

学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか

1. 吟味が「計算の後の作業」に見えるから

方程式を解いた時点で数学的な作業は終わったように感じます。吟味はおまけのように見える。

ところが吟味は数学の一部です。「方程式の解」と「問題の答え」は別のもので、翻訳し直す作業が必要です。

この違いが伝わらないと、吟味を書かずに答えだけ書くことになります。

2. 中1・中2の文章題では吟味が不要だったから

一次方程式の文章題では、解が1つしか出ません。だから吟味の必要が構造上ありませんでした。

二次方程式で初めて「解が複数出て、選ぶ必要がある」という状況になります。それまでの2年間で身についた習慣(解いたら答え)が、ここで通用しなくなる——習慣の切り替えが必要な場面です。

3. 「不適」と書く必要性が結果に現れないから

答えの数値は、書いても書かなくても同じです。「不適」の一文は、答案の記述としてのみ意味を持ちます。

したがって自己採点では減点に気づけません。数値が合っていれば丸をつけてしまう。実際の採点では減点されるのに、その事実が本人に伝わらない構造になっています。

対策は「不適」を書くと決めてしまうことです。捨てた解があるなら必ず1行書く——習慣にすれば忘れません。

【検算】3つの確認

1. すべての解を問題文に戻す

方程式ではなく、問題文の日本語に戻します。

問題 解 吟味
長方形の横(面積40) は長さが負で不適
箱の切り取り(底面60) は で不適
ある数() 両方とも適する

2. 範囲を先に書いておく

立式の段階で のように書いておけば、吟味が機械的に済みます。

とくに「切り取る」「削る」タイプの問題は、必ず上限があります。

3. 両方不適なら立式を疑う

すべての解が不適になったら、答えが存在しないことになります。文章題でそれは通常ありえません。

立式か計算のどこかが間違っていると判断して、最初から見直してください。

よくあるミス

ミス1:吟味せずに両方答える

長さに負の解を含めてしまうミス。必ず1つずつ確認します。

ミス2:「不適」と書かずに捨てる

捨てたことを答案に書きます。「 より は問題に適さない」の一文が必要です。

ミス3:上限の条件を見落とす

「切り取る」問題では のような上限があります。正であることだけ見ていると見落とします。

ミス4:条件がないのに片方を捨てる

「ある数」のように制限がない場合は両方が答えです。反射的に負の解を捨てないでください。

ミス5:答えるものを間違える

は横の長さでも、聞かれているのが縦なら を答えます。「何を と置いたか」を確認してから答えてください。

練習問題

  1. ある正の数と、それより5大きい数の積が36である。ある数を求めなさい。
  2. 縦が横より4cm短い長方形の面積が96cm²である。横の長さを求めなさい。
  3. ある数を2乗すると、その数の3倍より10大きい。ある数をすべて求めなさい。
  4. 縦10cm、横14cmの紙の四すみから1辺 cmの正方形を切り取る。 のとりうる範囲を答えなさい。
  5. 4で、底面積が48cm²になるときの を求めなさい。
  6. 連続する2つの正の整数の積が110である。2つの整数を求めなさい。

解答

  1. より 、。正の数という条件から は不適。答えは4。検算: ○
  2. 横を として 。、、。 は不適。横は12cm。検算: ○
  3. より 、 の両方。検算: ○、 ○。条件がないので両方が答え
  4. かつ より。短いほうの辺で決まります
  5. 。、、。判別式は で平方数でないので公式を使い 。 なので または 。範囲 から 。検算:、、積は約48 ○
  6. より 、。正の整数なので 。答えは10と11。検算: ○

まとめ

  • 方程式の解と問題の答えは別物。吟味という翻訳作業が必要
  • 捨てる理由は正であること・整数であること・範囲の3つ
  • 「不適」と答案に書く。書かないと減点される
  • 「切り取る」型は上限がある。立式時に範囲を書いておく
  • 条件がなければ両方が答え。反射的に負を捨てない
  • すべて不適なら立式を疑う
  • 検算は問題文の日本語に戻す

「数学的な解のうち、現実の条件を満たすものだけを取る」という作業は、高校では定義域・値域の確認として標準になります。三角方程式で角の範囲を確認する、対数方程式で真数条件を確認する、微分で増減表の範囲を切る——どれも同じ吟味です。中3のここで「解いたら終わりではない」という習慣を作っておくことが、その先すべてに効きます。

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この記事を監修した人

藤原 進之介のアバター 藤原 進之介

藤原進之介は、日本の作家・予備校講師。東進ハイスクール・東進衛星予備校・代々木ゼミナールなど出講実績あり。日本初の「情報」科目専門講師。武田塾教務部情報課課長。河野玄斗の河野塾ISM講師。著書4万部突破。株式会社数強塾代表取締役。
著書『藤原進之介の ゼロから始める情報I』(KADOKAWA)はベストセラー。Amazonランキング1位。​
神奈川県横須賀市出身。20歳で起業し学習塾を計7校舎立ち上げる。数学専門塾「数強塾」代表。英検対策の「英論会」・国語専門塾「論塾」・総合型選抜専門塾「AOG」など含む数強塾グループでは、累計3,500名以上の中高一貫校生を指導。​数検1級。情報I専門塾「情報ラボ」代表。

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株式会社数強塾 代表取締役の藤原進之介です。マンツーマン指導の数学のレッスンを専門にしています。このサイトでは、おすすめの数学専門塾・英語専門塾・オンライン塾や個人塾の長所を紹介します。

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