()の最小値を求めよ—— が動くので、放物線の軸が動きます。定義域は固定なのに、答えが1つに決まらない。
数Iの二次関数で最も差がつく問題です。ですが場合分けの境目は図形が決めています。自分で決めるものではありません。
結論:軸が定義域のどこにあるかで分ける
まず平方完成して軸を出します。
軸は 、頂点は 。 が動くと軸が左右に動きます。
下に凸の放物線なので
| 軸の位置 | 最小値をとる場所 |
|---|---|
| 定義域の左側() | 定義域の左端 |
| 定義域の中() | 頂点 |
| 定義域の右側() | 定義域の右端 |
境目は と ——定義域の両端です。軸が定義域に入るか出るかで切れます。
最小値を求める
場合1:(軸が左に外れる)
定義域では右上がりなので、最小は左端。
場合2:(軸が定義域内)
頂点が最小です。
場合3:(軸が右に外れる)
定義域では右下がりなので、最小は右端。
【検算】具体的な で確かめます。
| 場合 | 公式の値 | 直接計算 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 3 | は で3、 で27。最小3 ○ | |
| 1 | 2 | 頂点 。最小2 ○ | |
| 3 | 2 | 頂点 。最小 ○ | |
| 5 | 3 | で 。最小 ○ |
4通りとも一致しました ○
境目で値が一致する
これが最強の検算です。境目では2つの式が同じ値になります。
- … 場合1は3、場合2は 。一致 ○
- … 場合2は 、場合3は 。一致 ○
一致しなければ、どこかで間違えています。
最大値は境目が違う
ここが重要です。最大値の場合分けは最小値とは別の境目になります。
下に凸なので、最大は必ず定義域の端( か )でとります。どちらが大きいかは軸から遠いほうです。
- での値 …
- での値 …
軸が定義域の中央より左なら右端が遠く、右なら左端が遠い。中央は
したがって
| 軸の位置 | 最大値 |
|---|---|
| で | |
| 両端で等しく3 | |
| で 3 |
境目は ——定義域の中央です。
【検算】 のとき両端の値を計算します。
- …
- …
確かに等しい ○
他の値でも確かめます。
| 最大 | |||
|---|---|---|---|
| 3 | 27 | 27(右端)○ | |
| 1 | 3 | 11 | 11(右端)○ |
| 3 | 3 | 3(左端)○ | |
| 5 | 3 | 3(左端)○ |
すべて公式と一致 ○
境目が2つある理由
最小値は3通り、最大値は2通りに分かれます。境目も違います。
| 境目 | 意味 | |
|---|---|---|
| 最小値 | 定義域の両端(軸が入るか出るか) | |
| 最大値 | 定義域の中央(どちらの端が遠いか) |
最小と最大を同じ場合分けで処理しようとすると失敗します。別々に考えてください。
なぜこの境目なのか
下に凸の放物線は、軸から離れるほど値が大きくなります。これがすべての根拠です。
- 最小を知りたい → 軸に最も近い点を探す → 軸が定義域内なら頂点、外なら近いほうの端
- 最大を知りたい → 軸から最も遠い点を探す → 定義域の端のうち遠いほう
【検算】(軸 )で、軸からの距離と値を並べます。
| 軸からの距離 | ||
|---|---|---|
| 1 | 0 | 2 |
| 0 | 1 | 3 |
| 2 | 1 | 3 |
| 4 | 3 | 11 |
距離が同じなら値も同じ、距離が大きいほど値も大きい ○。だから最も遠い が最大になります。
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 「軸が動く」と「定義域が動く」が別問題だから
この単元には2つの型があります。
- 軸が動く(定義域は固定)… 本記事の型
- 定義域が動く(軸は固定)… のような形
見た目は似ていますが、考え方が逆です。ところがどちらも「場合分け」としてまとめて扱われることが多く、混同しやすい。
「動いているのは軸か、定義域か」を最初に確認する——これだけで方針が定まります。
2. 最小と最大で境目が違うことが強調されにくいから
最小は定義域の端、最大は定義域の中央で切れます。この違いは問題を解いて初めて気づくことが多い。
解答例には結果だけが書かれ、「なぜ境目が違うのか」は説明されません。理由は「最小は軸に近い点、最大は軸から遠い点を探すから」です。
3. 図を描く手間が省略されやすいから
場合分けは区間ごとに図を描くのが確実です。3通りなら図も3枚。1問あたりの所要時間が長くなります。
ところが答案には式だけが残るため、図を描いた過程は評価に現れません。省略しても点が同じなので、描かない習慣がつきやすい。
結果として頭の中で場合分けしようとして間違える——これが失点の最大の原因です。
【検算】3つの方法
1. 境目で値が一致するか
最も強力です。関数は連続なので、境目では2つの式が同じ値になります。
| 境目 | 左の式 | 右の式 |
|---|---|---|
| 3 | ○ | |
| ○ | ||
| (最大) | 3 ○ |
2. 具体的な で直接計算する
各場合から1つずつ を選び、実際に関数を書いて最小値を求めます。
3. 大小関係を確認する
- 最小値 最大値(当然)
- 最小値は頂点の値以上(頂点が定義域外なら、より大きい)
逆転したら計算ミスです。
よくあるミス
ミス1:平方完成せずに始める
軸が分からないと場合分けできません。まず平方完成します。
ミス2:最小と最大を同じ境目で分ける
境目が違います。最小は定義域の端、最大は中央です。
ミス3:軸が定義域外のとき頂点の値を答える
頂点が定義域にないなら、その値は取りません。端の値を使います。
ミス4:境目をどちらの場合に含めるか迷う
どちらでも構いません。境目では2つの式が同じ値になるからです。ただし重複や抜けがないように書きます。
ミス5:上に凸の場合と混同する
下に凸なら頂点が最小、上に凸なら頂点が最大です。 の係数の符号を最初に確認してください。
練習問題
- を平方完成し、軸を答えなさい。
- で、 のときの最小値を求めなさい。
- 同じ条件で のときの最小値を求めなさい。
- 同じ条件で のときの最大値を求めなさい。
- 最小値の場合分けの境目を2つ答えなさい。
- 最大値の場合分けの境目を答えなさい。
解答
- 。軸は、頂点は
- は なので頂点。2。検算: の最小は2 ○
- なので右端。。検算: で ○
- なので右端。27。検算: で ○
- と (定義域の両端)
- (定義域の中央)
まとめ
- まず平方完成して軸を出す。軸は
- 下に凸なら、軸から離れるほど値が大きい——これがすべての根拠
- 最小は軸に近い点を探す。境目は定義域の両端(3通り)
- 最大は軸から遠い点を探す。境目は定義域の中央(2通り)
- 最小と最大は境目が違う。別々に考える
- 検算は境目で値が一致するか/具体的な で直接計算
- 区間ごとに図を描く。頭の中でやらない
「動くものがどこにあるかで場合分けする」という手順は、数IIの三角関数の最大最小、数IIIの微分での増減、確率の条件分岐まで、高校数学の全域で使われます。とくに二次関数はグラフで確認できるぶん、場合分けの練習として最も分かりやすい題材です。境目は自分で決めるのではなく、図形が決めている——この視点を持てば、場合分けは手順の問題になります。
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