を簡単にせよ——√の中に√がある。二重根号と呼ばれるこの形は、公式を覚えていても「外せるとき」と「外せないとき」の区別で止まります。
実は公式を覚える必要はありません。逆から作れば、その場で導けます。
結論:2乗した形に戻す
二重根号が外せるのは、√の中身が「何かの2乗」になっているときだけです。
出発点はこの展開です。
つまり
これが二重根号の公式の正体です。覚えるのは「 を展開すると内側の√が出る」——それだけ。
使い方:たして 、かけて
の形を見たら
たして 、かけて になる2数 を探す
見つかれば が答えです。
を簡単にしなさい。
、。たして5、かけて6の2数は2と3。
【検算】2乗して戻します。
元に戻りました ○
数値でも確かめます。 なので 。その平方根は約 。
一方 。一致 ○
マイナスの場合
なら、同じ2数を使って
大きいほうから小さいほうを引きます。逆にすると負になり、√の値としてありえません。
【検算】 なら 。
元の式は の平方根で約 。一致 ○
は負なので、√の値としては不適です。
係数が2でないときは2にそろえる
公式が使えるのは内側の係数が2のときです。違う場合は変形します。
を簡単にしなさい。
係数が4なので、2でくくり直します。
これで の形。たして7、かけて12の2数は3と4。
【検算】2乗します。
一致 ○。数値では 、元は ○
係数が奇数のとき
を簡単にしなさい。
内側の係数が1です。2にするために、全体を 倍します。
分子の内側の係数が2になりました。
したがって
たして8、かけて12の2数は2と6。
【検算】2乗します。。
そして なので、確かに ○
数値でも 、元は ○
外せない場合がある
ここが本題です。すべての二重根号が外せるわけではありません。
は外せるか。
たして5、かけて5の2数を探します。この2数は の解で
無理数になりました。 が有理数にならないので、きれいな形には外せません。
外せる条件ははっきりしています。
が外せる ⇔ が平方数
理由は、 が の解なので、判別式 が平方数なら有理数解になるからです。
【検算】いくつか判定します。
| 式 | 平方数か | 外せるか | |
|---|---|---|---|
| ○ | 外せる | ||
| ○ | 外せる | ||
| ○ | 外せる | ||
| × | 外せない | ||
| × | 外せない |
判別式を先に計算すれば、探す前に判定できます。外せない問題に時間を使わずに済みます。
【検算】 を実際に外します。たして8、かけて15は3と5。
2乗すると ○
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 公式の形だけが提示されやすいから
はそのまま使える形です。ところがこの形を覚えると、内側の係数が2でないときに詰まります。
「 を展開しただけ」と理解していれば、係数が違っても自分で調整できます。
2. 「外せない場合」が扱われにくいから
練習問題は外せるものが中心です。すると「必ず外せるはず」と思い込み、外せない問題で延々と探し続けることになります。
ところが実際には外せない二重根号のほうが多いのです。判別式 が平方数か——この判定を先にすれば、無駄な時間を使いません。
3. 数Iの範囲で扱いが軽いから
二重根号は数Iの「実数」の中の一項目です。平方根の計算・有理化・絶対値といった内容と並ぶ中で、分量として大きくは扱われません。
ところが入試では単独で1問出ることがあり、しかも係数の調整という一手が必要です。扱われる分量と、出題時の要求水準が釣り合っていない項目です。
【検算】2乗して戻す
二重根号の検算は2乗すること——これ一択です。逆の操作なので必ず元に戻ります。
| 答え | 2乗すると | 元 |
|---|---|---|
| 一致 ○ | ||
| 一致 ○ | ||
| 一致 ○ | ||
| 一致 ○ |
数値での確認も有効です。
- 、、
- 、 ○
符号の確認も忘れずに。√の値は必ず0以上なので、 の形なら でなければなりません。
よくあるミス
ミス1:内側の係数が2でないのにそのまま使う
係数を2にそろえてから公式を使います。 のように変形します。
ミス2:マイナスのとき順序を逆にする
は です。逆にすると負になり、√の値としてありえません。
ミス3:外せない問題を探し続ける
が平方数かを先に確認します。平方数でなければ外せません。
ミス4: と混同する
これは成り立ちません。二重根号の公式は内側に がある場合だけの話です。
ミス5:たしてかけての順序を逆にする
たして (外側の数)、かけて (内側の√の中) です。
練習問題
- を簡単にしなさい。
- を簡単にしなさい。
- を簡単にしなさい。
- を簡単にしなさい(係数に注意)。
- は外せるか。判別式で判定しなさい。
- 1の答えを2乗して検算しなさい。
解答
- たして7・かけて10は2と5。。判別式 で外せます ○
- たして9・かけて14は2と7。大きいほうを先にして。検算: ○
- たして6・かけて5は1と5。。検算: ○
- なので、たして11・かけて28の2数は4と7。。検算: ○
- 、 で 。8は平方数でないので外せません
- 。元に戻りました ○
まとめ
- 根拠は。公式は覚えなくてよい
- 手順はたして 、かけて の2数を探す
- 内側の係数が2でなければ2にそろえてから使う
- マイナスのときは()。負にならない順序で
- 外せる条件は が平方数。先に判定すれば無駄がない
- 検算は2乗して元に戻るか/数値で確認
二重根号は、「逆から作れば導ける」という発想の典型例です。展開の形を1つ知っていれば、公式を覚えずに済む。この考え方は、三角関数の合成、部分分数分解、積分の置換など、高校数学のあらゆる公式に応用できます。公式を暗記する前に、どこから来たのかを1回だけ確認する——それだけで覚える量が大きく減ります。
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