座標平面上の2点間の距離——公式として覚えている人が多いですが、正体は三平方の定理そのものです。
横の差と縦の差を2辺とする直角三角形の、斜辺
公式を忘れても、図をかけば必ず作り直せます。
距離の求め方
A(1,2)とB(4,6)の距離を求めなさい。
横の差は 、縦の差は 。
この2つを直角をはさむ2辺とすると、ABは斜辺です。
5です。
【検算】3・4・5は有名な直角三角形の辺の比 ○ 図をかいても、AとBは横に3・縦に4だけ離れています。
(ABの2乗)=(xの差の2乗)+(yの差の2乗)
差はどちらから引いても、2乗すれば同じです。符号を気にする必要はありません。
コツ:2乗のまま比べる
図形を判定するとき、√を外す必要はありません。
2辺が等しいかどうかは、2乗どうしが等しいかで判定できます。長さが正である限り、2乗が等しい=長さが等しいからです。
計算が一気に楽になります。
やってみる1:二等辺三角形の判定
A(0,0)、B(6,0)、C(3,4)はどんな三角形ですか。
なので 。
BC=CAの二等辺三角形です。
【検算1】直角三角形かどうかも調べます。最長辺はAB(36)なので
直角三角形ではありません ○
【検算2】Cはx座標が3で、AとBの中点(3,0)の真上にあります。左右対称——二等辺三角形と合います ○
やってみる2:直角三角形の判定
A(1,1)、B(5,3)、C(3,7)はどんな三角形ですか。
最長はCA。三平方が成り立つか確かめます。
成立——∠Bが直角です。しかも なので
直角二等辺三角形
【検算1】面積を2通りで求めます。直角をはさむ2辺を使うと
【検算2】座標から直接(囲む長方形から引く方法)計算しても10になります ○
【検算3】直角がどこかを確かめるため、他の組み合わせも試します。
∠Aは直角ではありません ○ 直角は最長辺の向かい側にあります。
やってみる3:平行四辺形の判定
A(0,0)、B(4,1)、C(6,5)、D(2,4)はどんな四角形ですか。
向かい合う辺を比べる
AからBへは右4・上1。DからCへは で右4・上1。
向きも長さも同じ——AB と DC は平行で等しい。だから平行四辺形です。
【検算1】対角線の中点を比べます。
ACの中点は
BDの中点は
一致 ○ 対角線が互いを2等分するので平行四辺形です。
【検算2】ひし形かどうかも調べます。
となり合う辺の長さが違うのでひし形ではありません ○
やってみる4:円の上にあるか
中心(2,3)、半径5の円の上に、点(5,7)はありますか。
半径の2乗は なのでぴったり円の上です。
【検算】点(6,7)なら で円の外。点(4,4)なら で円の内側 ○
判定の早見表
| 調べたいこと | やること |
|---|---|
| 二等辺三角形 | 3辺の2乗を出し、2つが等しいか |
| 直角三角形 | 最長辺の2乗=他2辺の2乗の和 か |
| 正三角形 | 3辺の2乗がすべて等しいか |
| 平行四辺形 | 向かい合う辺の差のベクトルが同じか |
| 円の内外 | 中心からの距離の2乗と半径の2乗を比べる |
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 距離が「公式」として提示されるから
2点間の距離は式の形で覚えられます。使えば答えは出ます。
ところが三平方の定理の言い換えだと分かっていないと、忘れたときに作り直せません。横の差と縦の差で直角三角形を作る——この図を思い出せるかどうかです。
2. 「2乗のまま比べる」は実務的な工夫だから
教科書では長さを求めることが目標になります。だから√を外して答えます。
しかし比べるだけなら2乗のままでよい。これは解く速さに直結する工夫ですが、公式の説明とは別の話なので扱われにくいのです。
3. 座標を使った図形の判定は高校の内容だから
座標平面で図形を扱う分野は数II「図形と方程式」として体系化されます。
中学3年では三平方の応用として部分的に登場するだけ。まとまった練習の場がないため、初見の問題で戸惑いやすいのです。
【検算】3つの方法
1. 図をかいて、長さの見当をつける
最も基本です。方眼にとれば目で確かめられます。
【検算】横3・縦4なら斜辺は5前後 ○
2. 直角の位置を他の組み合わせでも確かめる
最長辺の向かい側にあるはずです。
【検算】 なので∠Aは直角でない ○
3. 面積を2通りで求める
【検算】直角をはさむ2辺からも、座標からも10 ○
よくあるミス
ミス1:引く順序を気にして符号を間違える
2乗すれば同じです。
ミス2:√を外してから比べる
2乗のまま比べれば十分です。
ミス3:最長辺を取り違える
2乗が最大のものが最長辺です。
ミス4:直角の位置を間違える
最長辺の向かい側です。
ミス5:平行四辺形の判定で長さだけ見る
向き(傾き)も同じか確認します。
ミス6:円の内外で半径を2乗し忘れる
両方を2乗して比べます。
練習問題
- A(1,2)とB(4,6)の距離を求めなさい。
- A(0,0)、B(6,0)、C(3,4)の3辺の2乗を求めなさい。
- 2はどんな三角形か答えなさい。
- A(1,1)、B(5,3)、C(3,7)の3辺の2乗を求めなさい。
- 4はどんな三角形か答えなさい。
- A(0,0)、B(4,1)、C(6,5)、D(2,4)が平行四辺形である理由を答えなさい。
- 中心(2,3)・半径5の円と点(5,7)の位置関係を答えなさい。
解答
- 5
- 、、
- なので二等辺三角形
- 、、
- かつ なので直角二等辺三角形
- ABとDCが同じ向き・同じ長さ(対角線の中点も一致)
- なので円周上
まとめ
- 2点間の距離は三平方の定理(横の差・縦の差が2辺)
- 判定は2乗のまま比べれば速い
- 直角は最長辺の向かい側
- 平行四辺形は向かい合う辺の向きと長さ/対角線の中点
- 円の内外は距離の2乗と半径の2乗
- 検算は図で見当/他の組み合わせ/面積を2通り
座標と図形が結びつくと、定規を使わずに図形の性質が調べられるようになります。高校の「図形と方程式」は、この延長線上にあります。いま「距離=三平方」と腹落ちさせておけば、その先がずっと楽になります。
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