n進法で混乱する原因は、はっきりしています。変換の向きが2つあって、やることが正反対だからです。
片方はかけて足す、もう片方は割って余りを取る。どちらをいつ使うのかを、毎回考えるから迷う。
結論:10進法に「する」か「から」かで決まる
| 向き | やること | 読む順 |
|---|---|---|
| n進法 → 10進法 | 位の値をかけて足す | 上の位から |
| 10進法 → n進法 | n で割って余りを取る | 下から上へ |
「10進法にするときは、かけて足す」——これだけ覚えれば、もう一方は自動的に決まります。
n進法 → 10進法:かけて足す
2進法の を10進法にします。位の値は右から 。
11です。
5進法の なら、位の値は右から 。
89です。
【検算】桁数から見当をつけます。5進法で3桁なら、 以上 未満のはずです。
89はこの範囲に入っています ○
10進法 → n進法:割って余り
11を2進法にします。2で割って余りを記録するを繰り返します。
| 割られる数 | 商 | 余り |
|---|---|---|
| 11 | 5 | 1 |
| 5 | 2 | 1 |
| 2 | 1 | 0 |
| 1 | 0 | 1 |
余りを下から上へ読んで 。
【検算】かけて足すと ○ もとに戻りました。
89を5進法に
| 割られる数 | 商 | 余り |
|---|---|---|
| 89 | 17 | 4 |
| 17 | 3 | 2 |
| 3 | 0 | 3 |
下から読んで 。【検算】 ○
なぜ余りが一の位になるのか
ここが理解の中心です。n進法で表された数は
という形をしています。これを で割ってみます。
以外の項はすべて の倍数です( を含むから)。しかも は 以上 未満。
したがって
を で割った余りが、そのまま一の位
そして商は
各位が1つずつ下にずれた形になっています。だから同じことを商に対して繰り返せば、次の位が出る。
【検算】11の場合で確かめます。。
2で割ると余り1(=一の位)、商は5。そして で、確かに位が1つずれた形になっています ○
n進法どうしの変換は10進法を経由する
を5進法で表せ。
直接やろうとしないこと。一度10進法にします。
11を5進法に。 余り 、 余り 。下から読んで 。
【検算】 ○
小数のとき
小数点以下の位の値は です。
逆向きは「かけて整数部分を取る」
0.625を2進法にします。2をかけて、整数部分を記録します。
| 計算 | 結果 | 取り出す | 残り |
|---|---|---|---|
| 1.25 | 1 | 0.25 | |
| 0.5 | 0 | 0.5 | |
| 1.0 | 1 | 0 |
上から読んで 。整数部分とは読む向きが逆なので注意してください。
【検算】 ○
使える数字は から まで
5進法に「5」は出てきません。使えるのは だけ。
2進法なら のみ。答えに 以上の数字が出たら、必ずどこかが間違っています。
【検算】 の各桁は 。すべて4以下 ○
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 手順が2つあり、作業として教えれば足りてしまうから
「かけて足す」「割って余りを下から読む」——この2つを示せば問題は解けます。
そのため「なぜ余りが一の位になるのか」という説明に時間が配分されにくい。しかしここを飛ばすと下から読む理由も分からず、読む向きを毎回間違えることになります。
2. 整数の性質の最後の項目に置かれやすいから
約数と倍数、互除法、不定方程式、合同式と続いたいちばん最後に来ます。
学年末に近い時期の、単元の末尾という二重の意味で時間が確保しにくい位置にあり、手順の提示で終わりやすい構成です。
3. 情報科目で扱う2進法と、教科が分かれているから
コンピュータが2進法を使うことは情報の科目で扱われます。数学では純粋に数の表し方として出てきます。
両者は同じ内容ですが別の教科で別の文脈のため、「なぜこれを学ぶのか」がつながりにくい。動機づけが弱いまま手順だけ覚える形になりやすい部分です。
【検算】3つの方法
1. 逆向きに変換して戻るか
最も確実です。n進法にしたら、かけて足してもとの数に戻るか確かめます。
【検算】 ○、 ○
2. 桁数の見当をつける
n進法で 桁 ⇔
【検算】11を2進法に: なので4桁。 は4桁 ○
3. 各桁が 以上 未満か
以上の数字が出たら誤りです。
【検算】 の各桁は 。すべて2以下 ○
よくあるミス
ミス1:余りを上から読む
下から上へ読みます。最初に出た余りが一の位だからです。
ミス2:小数部分も下から読む
小数は上からです。整数部分と逆向きになります。
ミス3:商が0になる前にやめる
商が0になるまで割り続けます。
ミス4: 以上の数字を使う
5進法に5は出てきません。繰り上がりを忘れています。
ミス5:位の値を間違える
右から です。いちばん右は必ず ()。
ミス6:n進法どうしを直接変換しようとする
10進法を経由するのが確実で速い。
練習問題
- を10進法で表しなさい。
- 11を2進法で表しなさい。
- を10進法で表しなさい。
- 89を5進法で表しなさい。
- を5進法で表しなさい。
- を10進法で表しなさい。
- 100を2進法で表しなさい。
- 100を3進法で表しなさい。
解答
- 11
- 余りは順に 。下から読んで。検算: で4桁 ○
- 89
- 余りは順に 。下から読んで。検算: で3桁 ○
- 10進法で11。 より。検算: ○
- 0.625
- より。検算: で7桁 ○
- 余りは順に 。下から読んで。検算: ○
まとめ
- 10進法にするときは、かけて足す(位の値は右から )
- 10進法からn進法にするときは、割って余りを下から読む
- 余りが一の位になるのは他の項がすべて の倍数だから
- 小数は「かけて整数部分」で、上から読む
- 使える数字は から まで
- n進法どうしは10進法を経由する
- 検算は逆変換で戻る/桁数の範囲/各桁が 未満
「割って余りを取る」という操作は、互除法でも合同式でも同じように出てきました。n進法もその仲間です。数を で割った余りで一の位が決まり、商に同じことを繰り返す——1つの操作を繰り返して構造を取り出すという、整数分野に共通する考え方がここにも現れています。
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