「同じものを含む順列は 」——公式は覚えられても、なぜ割るのかが分からない。そのままにすると、割る数を足してしまったり、3個あるのに3で割ったりします。
理由は1つです。区別できないものを区別して数えたせいで、同じ並べ方を何度も数えている。その「何度」で割って戻します。
結論:数えすぎた回数で割る
手順はこうです。
- いったん全部を区別して数える( 通り)
- 1つの答えが何回数えられたかを求める
- その回数で割る
同じものが 個、別の同じものが 個あるなら、1つの答えは 回数えられています。だから
足すのではなく、かけたもので割る。ここを間違える人が多い。
やってみる:A、A、B、B の4文字
まず全部を区別する
2つのAに番号をつけて 、2つのBも とします。
全部が異なる4文字なので
1つの答えが何回数えられたか
たとえば答え AABB は、番号のつけ方で次の4通りとして数えられています。
、、、
Aの番号の入れ替えが 通り、Bの番号の入れ替えが 通りなので
割る
【検算】実際に全部書き出します。
AABB、ABAB、ABBA、BAAB、BABA、BBAA
6通り ○ 公式と一致しました。
なぜ「割り算」でよいのか
ここが本当の山場です。割り算が使える条件があります。
どの答えも、同じ回数だけ数えられていること
AABBの例では、AABBも ABABも BBAAも、どれも例外なく4回ずつ数えられていました。だから
が成り立ちます。もし答えによって数えられた回数が違えば、この割り算は使えません。
回数がすべて同じになる理由
どの答えを取っても、Aが入る場所は か所、Bが入る場所は か所で変わりません。
その か所に番号を割り振る方法が 通り、 か所に割り振る方法が 通り。答えが何であっても同じ計算になります。
【検算】ABABで確かめます。Aの位置は1番目と3番目、Bの位置は2番目と4番目。番号のつけ方は
、、、
やはり4通り ○ AABBのときと同じです。
3種類以上でも同じ
赤玉2個、白玉3個、青玉1個を一列に並べる方法は何通りか。
全部で6個。いったん全部区別すると 通り。
1つの答えは 回数えられているので
60通りです。
【検算】別の考え方で計算します。「どの場所に置くか」を順に選ぶ方法です。
- 6か所から赤の2か所を選ぶ:
- 残り4か所から白の3か所を選ぶ:
- 残り1か所に青:
一致 ○ まったく違う数え方で同じ答えになりました。
組合せと同じものだった
2種類しかないときは、公式が組合せそのものになります。
意味も同じです。「AとBの並べ方」=「Aを置く場所の選び方」だからです。
【検算】AABBなら ○
最短経路問題がこれ
碁盤の目の道を、東に4区画・北に3区画進む最短経路は何通りか。
最短経路は「東」を4回、「北」を3回、合わせて7回の移動の並べ方です。
【検算】組合せでも計算します。7回のうち北に進む3回を選ぶので
一致 ○
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 公式が先に示され、根拠は例題の中に埋もれるから
教科書では という形が結論として提示され、そのあと例題が続く構成が一般的です。
「どの答えも同じ回数だけ重複している」という割り算が成立する根拠は、例題の中の一文で触れられることが多く、独立した項目として時間が取られにくい位置にあります。
2. 「割る」の意味が直前の単元と違うのに、続けて出てくるから
直前に習う の割り算は、「並べない分を取り除く」という意味です。
一方この単元の割り算は「重複して数えた分で割り戻す」。まったく別の意味ですが、公式の形が似ているため同じものとして流されやすい。
さらに は両方の意味が混ざった形です。3つが連続して出てくる構成上、意味の区別を立ち止まって確認する時間が確保されにくくなっています。
3. 書き出して確かめる時間が取りにくいから
AABBの24通りを実際に書けば、重複が4回ずつであることは一目で分かります。
しかし場合の数は扱う問題の型が多い単元で、演習の量が優先されます。24個書き出すという地味な作業は、時間の都合で省かれやすい。
ここは1回だけでも自分で書き出す価値があります。1回書けば、以後この公式で迷わなくなります。
【検算】3つの方法
1. 小さい例で全部書き出す
4文字くらいなら手で書けます。公式の値と数が合うか確かめてください。
| 並べるもの | 公式 | 値 | 書き出し |
|---|---|---|---|
| A, A, B | 3 | AAB, ABA, BAA ○ | |
| A, A, B, B | 6 | 6通り ○ |
2. 組合せの積で計算し直す
「場所を順に選ぶ」という別の数え方です。必ず同じ値になります。
【検算】赤2白3青1:、公式でも ○
3. 整数になるか
答えは「並べ方の個数」なので、必ず整数です。分数が出たら式が間違っています。
【検算】 ○、 ○。どちらも割り切れました。
もし とたまたま同じ値になる場合があっても、3種類以上にすると必ずずれます。赤2白3青1で足し算にすると となり、 で書き出しと合いません。
よくあるミス
ミス1:割る数を足してしまう
で割ります。足すと意味が壊れます。
ミス2:個数そのもので割る
同じものが3個なら3ではなく で割ります。入れ替え方の総数だからです。
ミス3:1個しかないものを忘れる
なので書いても書かなくても同じです。ただし式には入れておくと安全です。
ミス4:全体の個数を数え間違える
になっているか必ず確認します。合わなければ分子が違います。
ミス5:組合せの公式と別物だと思う
2種類なら同じものです。。
練習問題
- A, A, B の3文字を並べる方法は何通りか。書き出しでも確かめなさい。
- A, A, A, B の4文字を並べる方法は何通りか。
- 「BANANA」の6文字を並べ替えてできる文字列は何通りか。
- 「SUUGAKU」の7文字を並べ替えてできる文字列は何通りか。
- 赤3個、白2個、青2個の玉7個を一列に並べる方法は何通りか。
- 5を組合せの積で計算し直しなさい。
- 東に5区画・北に3区画進む最短経路は何通りか。
解答
- 3。検算:AAB, ABA, BAA の3通り ○
- 4。検算:Bの位置が4か所なので ○
- B1個、A3個、N2個なので 60
- U3個、他はS, G, A, Kが1個ずつ。840
- 210
- 210 ○
- 56。検算: ○
まとめ
- いったん全部区別して数え、数えすぎた回数で割る
- 割る数は。足し算ではない
- 割り算が使えるのはどの答えも同じ回数だけ重複しているから
- 2種類なら組合せと同じ:
- 最短経路問題はこの公式そのもの
- 検算は小さい例を書き出す/組合せの積で計算し直す/整数になるか
「重複して数えたぶんで割り戻す」という考え方は、円順列(回転で重なる分を で割る)やじゅず順列(裏返しの分をさらに2で割る)にそのまま続きます。どれも「どの答えも同じ回数だけ重複している」という同じ根拠に立っています。公式を覚え直す必要はありません。何回数えすぎたかを毎回考える——それだけです。
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