。等号が2つある式を初めて見ると、どこから手をつけるのか分かりません。連立方程式は解けるのに、この形だけ止まる——中2でよくあるつまずきです。
実はこれ、ただの連立方程式を1行にまとめて書いただけです。分解の仕方さえ分かれば、あとはいつもどおりです。
結論:好きな2組に分ければいい
という式は、「 と と が全部等しい」という意味です。3つの量が等しいなら、そこから取り出せる等式は3通りあります。
/ /
しかしこの3本のうち2本を選べば、残り1本は自動的に成り立ちます。 かつ なら、当然 だからです。
だから2本選んで連立方程式にすれば終わり。どの2本を選んでも同じ答えになります。
3通りの分け方
を例にします。、、 です。
| 選び方 | できる連立方程式 | 特徴 |
|---|---|---|
| 最も楽(右辺が数) | ||
| 1本目の整理が必要 | ||
| 同上 |
おすすめは1つ目です。数だけの部分()が入っている式は右辺が数字になるので、そのまま連立できます。
実際に解く
加法法で を消します(足すと が消える形になっています)。
に代入すると 、。
【検算】元の式に戻します。
3つとも5になりました。 が成り立っています。
別の分け方でも同じ答えになる
確かめてみます。 と を選ぶと
1本目を整理します。 より 、つまり 。
足すと 、。引くと 、。
同じ答えです。選び方は自由だと確認できました。
数だけの部分がないとき
のように、3つとも文字の式という場合もあります。
やることは変わりません。2組選んで整理するだけです。
: より
: より 、つまり
1本目を3倍して引くと 、、。すると 。
【検算】 を元の式に入れると、3つとも0。 で成り立ちます。
右辺が全部0になる連立(同次形)では、 が必ず解になります。この形が出てきたら、まずそれを疑ってください。
分数や小数が混じるとき
でも、分数があれば分けたあとに分母をはらうだけです。順番を守れば混乱しません。
- まず2組に分ける
- それぞれの式で分母をはらう/かっこを外す
- いつもどおり連立を解く
分けるのが先です。3つ並んだまま分母をはらおうとすると、必ず事故が起きます。
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 出題される頻度に対して、扱いが短いから
型は高校入試でよく出る形ですが、教科書での扱いは連立方程式の単元の中の一項目にとどまります。
加減法・代入法・文章題という主要な内容が並ぶ中で、この形だけに時間を割く構成にはなりにくい。結果として「見たことはあるが、自分で分けたことはない」という状態で通過しやすくなります。
2. 「どれを選んでもよい」という自由度が、かえって迷いを生むから
多くの問題には決まった手順があります。ところがこの形は3通りの分け方があり、どれでも正解です。
自由度があること自体は良いのですが、「正しい手順が1つあるはず」と思っている状態では、選択肢の多さが迷いになります。
対策は簡単です。「数だけの部分があれば、それと他の2つを組む」と自分の中で1つに決めてしまうこと。迷う余地をなくせば速くなります。
3. 等号が2つ並ぶ表記が、他の場面で使われないから
という書き方は、数学の他の場面ではあまり出てきません。計算過程で のように書くことはなく、通常は等号を1つずつ使います。
見慣れない表記であるため、「新しい種類の方程式だ」と受け取られやすい。実際にはただの省略記法で、連立方程式そのものです。
この形を見たら、心の中で3本の等式に展開する。それだけで通常の問題になります。
【検算】3つとも同じ値になるか
この形の検算は非常に明確です。求めた を3つの式すべてに入れて、全部同じ値になるか。
| 問題 | 解 | |||
|---|---|---|---|---|
| 5 | 5 | 5 | ||
| 0 | 0 | 0 |
2つだけ一致しても不十分です。3つとも確認してください。使った2組しか合わないなら、どこかで間違えています。
もう1つ、別の分け方で解き直すという検算もあります。3通りのうち2つで同じ答えが出れば、まず間違いありません。
よくあるミス
ミス1:等号を1つしか使わない
だけ解こうとするミス。式が1本では、文字2つは決まりません。
必ず2組つくる。これが出発点です。
ミス2:3本全部を連立させる
、、 を全部書いて3元連立にしようとするミス。3本目は最初の2本から自動的に出るので、書く必要はありません。
書いても間違いではありませんが、計算が増えるだけです。
ミス3:整理せずに連立する
をそのまま連立に入れると扱いにくい。先に の形まで整理してから加減法に進みます。
「移項して左辺にまとめる」を必ず1行書くのがコツです。
ミス4:検算を2つの式だけで済ませる
使った2組で合うのは当たり前です。使わなかった3本目でも確認してください。
練習問題
- を解きなさい。
- を解きなさい。
- を解きなさい。
- を解きなさい。
- を解きなさい。
解答
- 。足すと 、、。。検算:、 ○
- 。上を2倍して引くと 、、。。検算:、 ○
- 。足すと 、、。。検算:、 ○
- 。下を2倍して足すと 、、。。検算:、 ○
- 数だけの部分がないので、 と を使います。
より 。 より 、つまり 。
を足すと 、、。。
検算:、、。3つとも3 ○
まとめ
- は「3つが全部等しい」という意味。連立方程式の省略記法
- 3本のうち2本を選べばよい。残り1本は自動的に成り立つ
- 選び方は自由。数だけの部分があれば、それを含む組を選ぶと楽
- 分けるのが先、分母をはらうのは後
- 右辺が全部0になる形では、 がよく答えになる
- 検算は3つとも同じ値になるか。使わなかった式でも必ず確認
「1つの表記に複数の条件が畳み込まれている」という状況は、この先も繰り返し現れます。高校の連立不等式、数列の連立漸化式、空間図形の複数条件——まず条件を1本ずつ書き出すという作業が最初の一手になります。 を見て反射的に2本に分解できることは、その練習として中2で身につけられる最も分かりやすい形です。
この単元でつまずいたままなら
「なぜそうなるのか」が抜けたまま先へ進むと、後の単元で必ず戻ってくることになります。オンライン数学専門塾「数強塾」は、公式の暗記ではなく理由から説明する完全1対1の個別指導です。プロ講師のみ(学生アルバイトはいません)、中高一貫校の進度にも対応しています。
ご相談は無料です。入会の強制はありません。

