連立方程式の計算はできる。でも文章題になると2本目の式が作れない。1本は書けるのに、あと1本が思いつかない——中2で最も多い相談です。
原因ははっきりしています。「文字を2つ置いたら、式も2本要る」という対応が見えていないだけです。条件の数=式の数。この1点を意識するだけで、2本目が見つかります。
結論:文字2つなら、条件も2つ探す
連立方程式の文章題を解く手順は、次の4ステップに固定できます。
| 手順 | やること |
|---|---|
| 1 | 求めるもの2つを と置く(単位まで書く) |
| 2 | 問題文から条件を2つ探す |
| 3 | 条件1つにつき式を1本作る |
| 4 | 解いて、問題文の日本語に戻して検算 |
止まるのはステップ2です。「条件を探す」という意識がないと、2本目が見えません。
探し方のコツ:問題文の中で数値が書かれている文を丸で囲んでください。数値のある文が、そのまま条件になります。
型1:個数と代金
1個80円のりんごと1個120円のみかんを、合わせて15個買ったら代金は1480円だった。それぞれ何個ずつ買ったか。
ステップ1:りんごを 個、みかんを 個とする。
ステップ2:数値のある文を探します。
- 「合わせて15個」 … 個数についての条件
- 「代金は1480円」 … 金額についての条件
ステップ3:それぞれ式にします。
ステップ4:下の式を40で割ると 。上を2倍して引くと 、よって 。
【検算】問題文に戻します。りんご8個とみかん7個で合わせて15個 ○。代金は 円 ○。両方合いました。
2種類の条件を見つけるコツ
この型では、条件が「個数」と「金額」の2種類になります。単位が違う2つの量を探すと見つかります。
- 個数と金額
- 人数と料金
- 重さと値段
「合わせて」が2回出てきたら、それぞれが条件です。
型2:速さ
A地点からB地点まで12kmの道のりを、途中のC地点まで時速4kmで歩き、C地点からは時速6kmで走ったところ、全体で2時間30分かかった。歩いた道のりと走った道のりを求めなさい。
ステップ1:歩いた道のりを km、走った道のりを kmとする。
ステップ2:数値のある文を探します。
- 「12kmの道のり」 … 道のりの条件
- 「全体で2時間30分」 … 時間の条件
ステップ3:時間=道のり÷速さを使います。2時間30分は 時間。
ステップ4:下の式に12をかけて 。上を2倍して引くと 、よって 。
【検算】歩いた6kmは 時間、走った6kmは 時間。合計2.5時間=2時間30分 ○。道のりも km ○。
速さの型は「道のり」と「時間」で2本
これが速さの連立文章題の骨格です。
- 道のりの式 … そのまま足す
- 時間の式 … それぞれ道のり÷速さ
単位をそろえるのを忘れないこと。「2時間30分」は 時間であって 時間ではありません。速さが時速なら時間の単位も時間にそろえます。
型3:割合(増減)
ある学校の昨年の生徒数は男女合わせて500人だった。今年は男子が6%増え、女子が4%減ったので、全体では5人増えた。昨年の男子と女子の人数を求めなさい。
ここが最も難しい型です。ポイントは「何を と置くか」。
ステップ1:昨年の男子を 人、女子を 人とする。
今年の人数を と置いてはいけません。増減率は「昨年に対して」の割合なので、昨年を基準にしないと式が複雑になります。
ステップ2:条件を探します。
- 「昨年は合わせて500人」 … 昨年の人数の条件
- 「全体では5人増えた」 … 増減の条件
ステップ3:増減した分だけを式にします。
- 男子の増加 … 人
- 女子の減少 … 人
- 合わせて 人
ステップ4:下の式を100倍して 。上の式から を代入します。
よって 。昨年の男子250人、女子250人です。
【検算】男子250人が6%増えて 人、女子250人が4%減って 人。差し引き 人 ○。昨年の合計は500人 ○。
この型の要点
- 基準(昨年)を と置く
- 1本目は基準どうしの合計
- 2本目は増減分だけの式(今年の人数そのものではなく、増えた・減った分)
増減分で式を立てるのがコツです。今年の人数で書くと となり、数が大きくなって扱いにくくなります(もちろん解は同じ です)。
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 「条件の数=式の数」という原則が、明示されにくいから
教科書の解答例には完成した連立方程式が載っています。しかし「どうやって2本目を見つけたか」という過程は書かれません。
この構造上、「答えの形」は伝わるが「探し方」は伝わらない。だから初見の問題で2本目が出てこないのです。
対策は問題文の数値に印をつける習慣です。数値のある文が条件であり、条件の数だけ式が立ちます。
2. 型ごとの例題が並ぶ構成になりやすいから
個数と代金、速さ、割合、食塩水——それぞれ別の例題として提示されるのが通例です。
1問ずつの理解には向いていますが、「どの型にも共通する手順」という視点は、例題の並びからは自然には出てきません。結果として型ごとに暗記する学習になり、初見の設定で応用が効かなくなります。
3. 割合の型は、置き方の失敗が計算の失敗に見えるから
増減の問題で今年の人数を と置くと、式は立ちますが分数だらけになります。解けなくはないのですが、計算が複雑になり、途中でミスが出ます。
すると答案には「計算ミス」としか現れません。原因は置き方にあるのに、計算力の問題だと受け取られる。この構造上、置き方を見直すという発想に至りにくいのです。
「増減率が出てきたら、基準のほうを文字に置く」——この1点を覚えておくだけで、この型の負担は大きく下がります。
【検算】問題文の日本語に戻す
連立方程式の文章題は、2本の式それぞれについて、問題文の言葉で確認します。
| 型 | 解 | 条件1 | 条件2 |
|---|---|---|---|
| 個数と代金 | りんご8・みかん7 | 個 ○ | 円 ○ |
| 速さ | 歩き6km・走り6km | km ○ | 時間 ○ |
| 割合 | 男250・女250 | 人 ○ | 人 ○ |
さらに常識的な範囲かどうかも確認します。
- 個数や人数が負や小数になっていないか
- 道のりが全体を超えていないか
- 時間や速さが負になっていないか
この範囲を外れたら、立式が間違っています。計算をやり直す前に、式を見直してください。
よくあるミス
ミス1:式が1本しか立たない
条件を1つしか見つけていない状態です。問題文を読み直し、数値のある文を全部拾ってください。
文字が2つなら、式は必ず2本あります。
ミス2:単位をそろえない
「2時間30分」を 時間、「1.5km」を mとしてしまうミス。立式の前に単位を統一します。
速さの単位に合わせるのが原則。時速ならkmと時間、分速ならmと分です。
ミス3:割合の問題で今年の人数を文字に置く
増減率は基準(昨年)に対する割合なので、基準を文字に置きます。今年を置くと式が分数だらけになります。
ミス4:増減分ではなく総数で式を立てる
でも正しいのですが、 のほうが数が小さく、ミスが減ります。
「変化した分」だけで式を作るのがコツです。
ミス5:答えを片方しか書かない
「それぞれ何個か」と聞かれたら両方答えます。 だけ求めて満足しないこと。
練習問題
- 1本60円の鉛筆と1冊150円のノートを合わせて12個買ったら、代金は1080円だった。それぞれ何個か。
- 大人1人500円、子ども1人300円の入場料で、25人が入場して料金の合計は9500円だった。大人と子どもは何人か。
- 18kmの道のりを、時速3kmで歩き、途中から時速9kmで走ったら、全体で4時間かかった。歩いた道のりと走った道のりを求めなさい。
- 昨年の生徒数は男女合わせて400人。今年は男子が10%増え、女子が5%減って、全体で10人増えた。昨年の男子と女子の人数を求めなさい。
- 2桁の自然数がある。十の位と一の位の数の和は11で、十の位と一の位を入れ替えた数は元の数より27大きい。元の数を求めなさい。
解答
- 鉛筆 本、ノート 冊として 。下を30で割ると 。上を2倍して引くと 、、。鉛筆8本、ノート4冊。検算: ○
- 。下を100で割ると 。上を3倍して引くと 、、。大人10人、子ども15人。検算: ○
- 。下に9をかけて 。上を引くと 、、。歩き9km、走り9km。検算: 時間 ○
- 。下を20倍して 。上と足すと 、、。男子200人、女子200人。検算: 人 ○
- 十の位 、一の位 として 。下は より 。上と足すと 、、。元の数は47。検算: ○、 ○
まとめ
- 条件の数=式の数。文字を2つ置いたら、条件も2つ探す
- 探し方は問題文の数値のある文に印をつける
- 個数と代金型 … 単位の違う2つの量で1本ずつ
- 速さ型 … 道のりの式と時間の式で2本
- 割合型 … 基準(昨年)を文字に置き、2本目は増減分だけで作る
- 検算は2本とも問題文の日本語に戻す。常識的な範囲かも確認
- 単位をそろえてから立式する。2時間30分は2.5時間
「条件を数えて、その数だけ式を立てる」という考え方は、中3の二次方程式の文章題、高校の三元連立や領域の問題まで一貫して使います。未知の数がいくつあり、条件がいくつあるか——この対応を数える習慣は、数学の文章題すべてに効く最も基本的な道具です。
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