いわゆる「6分の1公式」は、覚えれば計算が一瞬で終わります。ところがどこから来たのかを知らないと、使える場面を見誤ります。
導出は置き換え1回。3行で終わります。
結論:公式と、その正体
放物線と直線で囲まれた面積なら、 の係数を として
面積
交点の値そのものは不要。差 だけ分かればよい——これが最大の利点です。
導出: と置くだけ
とおきます。 と置き換えると
- 積分区間は が
したがって
通分すると
これだけです。 の正体は でした。
【検算】 で確かめます。
○
なぜマイナスがつくのか
では 、 なので積は負。だから積分の値も負になります。
面積として使うときは絶対値をとる——だから と正になります。
やってみる1: と
交点
交点は 。。
面積
の係数は1なので
【検算】直接積分します。上が直線、下が放物線なので
のとき
のとき
差をとると
一致 ○
やってみる2:係数がついている場合
と で囲まれた面積を求めよ。
交点
先ほどと同じで 。。
面積
の係数は2なので
【検算】もとの式は「先ほどの2倍」の形です。
だから面積も2倍。 ○
係数 を忘れると答えが 倍ずれます。ここが最頻出のミスです。
やってみる3:交点が無理数のとき
ここで公式の威力が出ます。
と で囲まれた面積を求めよ。
解の公式から 。汚い数です。
差だけ求める
交点そのものを使わずに、差だけ出す方法もあります。判別式を使って
この式では 、 なので
一致 ○
面積
約6.93です。
【検算】 ○
【検算2】大きさの見当。交点の幅は 、高さの最大は放物線と直線の差の最大値。
差の関数 は で最大値 。幅3.46、高さ3の領域なので、面積6.93は妥当です ○
使える条件
公式が使えるのは「差が の形に因数分解できるとき」です。
| 組み合わせ | 使えるか |
|---|---|
| 放物線と直線 | 使える |
| 放物線と放物線(2次の係数が違う) | 使える |
| 放物線と放物線(2次の係数が同じ) | 使えない(差が1次式) |
| 3次関数と直線 | 使えない(差が3次式) |
「差を作ったら2次式になるか」で判断してください。
【検算】 と の差は で2次式。使えます。
交点は 、、 なので面積は
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 「公式」として与えられ、導出が省かれやすいから
導出は置き換え1回で3行。決して難しくありません。
ところが公式そのものが有名で、結果を知っていれば計算できるため、導出の優先度が下がりやすい。しかも入試では使えれば得点になるので、なおさら結果だけが伝わります。
2. 使える条件が「放物線と直線」と覚えられやすいから
本当の条件は「差が2次式になること」です。
ところが例題は放物線と直線が中心なので、その組み合わせで覚えてしまう。すると放物線どうしの問題で使えることに気づかない、あるいは2次の係数が同じ場合に誤用することが起こります。
3. 「交点を求めなくてよい」という利点が示されにくいから
導入の例題では交点が整数であることが多い。そこでは公式のありがたみが小さい。
ところが交点が無理数のとき、公式なしでは計算が非常に重くなります。 を使えば交点を求める必要すらない——この最大の利点は、そういう問題に当たって初めて分かります。
【検算】3つの方法
1. 直接積分して比べる
交点が整数なら、直接計算も現実的です。
【検算】 と :どちらでも ○
2. を判別式から確認する
【検算】:、解の差も ○
3. 面積が正か、大きさが妥当か
幅×高さの見当と比べます。
【検算】、幅3.46・高さ3の領域として妥当 ○
よくあるミス
ミス1: の係数 を掛け忘れる
です。 倍ずれます。
ミス2:符号を間違えて負の面積を答える
面積は正。公式の は積分値の符号です。
ミス3: の3乗を忘れる
3乗です。2乗ではありません。
ミス4:差が2次式でないのに使う
3次関数と直線では使えません。
ミス5: を とする
大きいほうから引きます。3乗なので符号が効きます。
ミス6:係数をそろえずに交点だけ見る
差を作ってから係数を読みます。 と なら 。
練習問題
- を の置き換えで求めなさい。
- と で囲まれた面積を求めなさい。
- 2を直接積分でも確かめなさい。
- と で囲まれた面積を求めなさい。
- と の交点の差を、判別式を使って求めなさい。
- 5の場合の面積を求めなさい。
- と で囲まれた面積を求めなさい。
解答
- ()
- 交点 で差3、。
- ○
- 差3、。9。検算:2の2倍 ○
- 、 より
- (約6.93)
- 差は 、交点 で差 、。
まとめ
- 導出は と置くだけ。
- 面積は。 を忘れない
- 使える条件は差が2次式になること
- 交点を求めずに で済む
- 検算は直接積分/判別式で差を確認/大きさの見当
6分の1公式は「計算を省くための道具」です。省けるのは、導出を1度でも自分でやった人だけ。置き換え1回で出ると知っていれば、公式を忘れてもその場で作り直せます。そして、忘れない。
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