。この変形を「そういうもの」として覚えている人が多いのですが、なぜそうするのか、そして何をしているのかを説明できると、計算の見通しが一気によくなります。
やっていることは1つだけ。√の中から、2乗になっているものを外に出す——それだけです。
結論:2乗は√の外に出せる
根拠はこの1本です。
そして√はかけ算を分けられます。
この2つを組み合わせると
36が だから、6として外に出た。これが「簡単にする」の中身です。
【検算】数値で確かめます。。。一致 ○
厳密にも確かめられます。。2乗すると72に戻るので、確かに です。
素因数分解を使う理由
「 だと気づく」——これは慣れが必要です。素因数分解すれば、気づく必要がなくなります。
指数が2以上のものが、外に出せる部分です。
- … 3として外に出る
- … 2が外に出て、2が中に残る
素因数分解すれば、機械的に処理できます。ひらめきは不要です。
手順としてまとめる
- 素因数分解する
- 指数を2で割る。商が外に出る個数、余りが中に残る個数
- 外に出たものをかけ合わせる
なら
- … 余り 。外に 、中に
- … 余り 。外に 、中に何も残らない
外は 、中は 。。
なぜ簡単にするのか
ここが本題です。形をそろえないと、足し算・引き算ができません。
を計算しなさい。
このままでは足せません。√の中が違うからです。同類項をまとめるのと同じで、中身が同じでないと合流できません。
両方を簡単にします。
どちらも の形になりました。これで足せます。
【検算】数値で確かめます。、。和は約 。 ○
ここで絶対にやってはいけない間違い:。√は足し算では分けられません。
【検算】。正しい答えの とまったく違います ○(誤りだと確認できました)。
√で成り立つこと・成り立たないこと
| 操作 | 成り立つか | 例 |
|---|---|---|
| ○ | ||
| ○ | ||
| × | ||
| × |
かけ算とわり算は分けられる。足し算と引き算は分けられない。ここを混同するのが最大の事故です。
【検算】3行目を確かめます。、。5と7で違う ○
かけ算では簡単にしてから
を計算しなさい。
まずかけ合わせます。
なので、 が外に出て
【検算】、。積は約 。 ○
先に簡単にする方法もあります。、 なので
同じ答えです。数が大きくなりそうなときは、先に分解するほうが楽になります。
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 「簡単にする」という言葉が目的を説明していないから
と を比べて、後者のほうが簡単に見えるでしょうか。文字数はむしろ増えています。
「簡単」というのはあとの計算がしやすい形という意味です。とくに足し算・引き算のために形をそろえるのが目的。
目的が伝わらないと、作業だけが残ります。用語が目的を説明していないという構造的な問題です。
2. 素因数分解が小学校の内容として既習扱いになるから
素因数分解は小学校で学びます。中3の平方根では、これを既習として使います。
ところが素因数分解と√を結びつけるという発想は、それ自体が新しい。土台は既習だが、組み合わせ方は新しい——この種の内容は、説明の分量が確保されにくい位置にあります。
3. 「足し算では分けられない」を扱う場面が少ないから
という事実は重要ですが、正面から扱うには「間違った式」を提示する必要があります。
問題演習は正しい変形を示す形で進むため、誤りのパターンそのものを主題にする場面は構成上作りにくい。結果として、各自が間違えて気づくまで残ります。
対策は1回だけ数値で確かめること。 なのに 。この1回で誤解は消えます。
【検算】3つの方法
1. 2乗して戻す
最も確実です。 を2乗すると 。元の√の中身に戻れば正解。
| 簡単にした形 | 2乗すると | 元 |
|---|---|---|
| ○ | ||
| ○ | ||
| ○ | ||
| ○ |
2. 概算する
、、 を覚えておくと、おおよその値で確認できます。
は と の間なので8〜9。 ○
3. 中身がこれ以上出せないか確認
√の中に平方数(4、9、16、25…)が残っていないかを見ます。
は が残っていて平方数がないのでOK。 を で止めないことも同じです。
よくあるミス
ミス1:足し算で分ける
。数値で1回確かめれば二度と間違えません。
ミス2:中身が違うのに足す
はこれ以上まとめられません。中身が同じときだけ係数を足せます。
ミス3:外に出すときに2乗を忘れる
で、外に出るのは36ではなく6です。√を外すときにルートが取れることを忘れないでください。
ミス4:簡単にしきらない
で止めるミス。 でまだ出せます。
素因数分解すれば、この見落としは起きません。
ミス5:係数を√の中に入れるとき2乗を忘れる
。中に入れるときは2乗します。 ではありません。
練習問題
- を簡単にしなさい。
- を簡単にしなさい。
- を計算しなさい。
- を計算しなさい。
- を だけの形で表しなさい。
- と をそれぞれ計算し、等しいか答えなさい。
解答
- なので。検算: ○
- 。外に と 、中に が残るので。検算: ○
- 、。和は。検算:、。 ○
- 。 なので。検算: ○
- 。4を2乗して16にします
- 、。等しくありません。√は足し算では分けられません
まとめ
- 「簡単にする」=√の中の2乗を外に出す
- 方法は素因数分解。指数を2で割り、商が外・余りが中
- 目的は足し算・引き算のために形をそろえること
- かけ算・わり算は√を分けられるが、足し算・引き算は分けられない
- 係数を中に入れるときは2乗する
- 検算は2乗して戻す/概算する/中に平方数が残っていないか
√の扱いは、中3の三平方の定理、高校の三角比( など)、数IIの複素数、数IIIの極限までずっと出続けます。とくに「かけ算では分けられるが足し算では分けられない」という性質は、指数・対数・微分など、他の記号でも繰り返し現れるパターンです。記号ごとに、何が分配できて何ができないかを確認する——中3のここで、その習慣を作っておいてください。
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