領域の図示で上と下を取り違える——原因は不等号の向きだけで判断しようとすることです。
解決法は1つ。適当な点を1つ代入して確かめる。これだけで、どんな不等式でも間違えません。覚える必要すらなくなります。
結論:テスト点を1つ代入する
- 境界の線(曲線)を描く(等号にした式)
- 境界上にない点を1つ選ぶ(できれば原点)
- 代入して不等式が成り立つか調べる
- 成り立てばその点を含む側、成り立たなければ反対側
原点が使えるなら原点が最速です。0を代入するだけなので暗算で済みます。
なぜ1点で決まるのか
境界の式を とすると、平面は境界によって2つ(または複数)の部分に分かれます。
そしてそれぞれの部分の中では の符号が変わりません。符号が変わるには、途中で0を通る必要があり、0になるのは境界だけだからです。
同じ領域の中なら、どの点で調べても同じ答え
だから1点調べれば領域全体が決まる。これがテスト点法の根拠です。
なぜ向きを間違えるのか
「 なら上側」は正しいのですが、 について解かれていない形だと通用しません。
| 不等式 | について解くと | 領域 |
|---|---|---|
| 上側 | ||
| 下側 |
境界の直線はどちらも同じ なのに、領域は逆になります。
の係数が負のとき、割ると不等号が反転する——ここを見落とすと必ず間違えます。
テスト点法なら考えなくてよい
に原点を代入すると
成り立つので原点を含む側。原点は直線 の下側( で直線は 、原点は )なので下側です ○
なら
成り立たないので原点を含まない側、つまり上側 ○
【検算】別の点でも確かめます。 は明らかに上側。
- → を満たさない(下側の不等式なので正しい)○
- → を満たす(上側の不等式なので正しい)○
円の内外
円 について
| 不等式 | 領域 |
|---|---|
| 内部 | |
| 外部 |
これもテスト点で確かめられます。中心 を代入すると左辺は0。
成り立つので、 は中心を含む側=内部 ○ 覚える必要はありません。
【検算】円 で確かめます。
| 点 | 4との大小 | 位置 | |
|---|---|---|---|
| 0 | 内部 ○ | ||
| 4 | 境界 ○ | ||
| 9 | 外部 ○ |
連立するとき
「かつ」は共通部分、「または」は合わせた部分です。
かつ が表す領域を図示せよ。
円の内部(境界を含む)と、直線 の上側(境界を含む)の重なった部分です。
【検算】いくつかの点で確かめます。
| 点 | 領域に入るか | ||
|---|---|---|---|
| ○ | ○ | 入る | |
| ○ | × | 入らない | |
| × | ○ | 入らない | |
| ○ | ○ | 入る |
両方に○がついたものだけが領域に入ります ○
積の形はテスト点法が特に有効
が表す領域を図示せよ。
について解けません。境界は と の2本で、平面は4つに分かれます。
それぞれから1点ずつ選んで代入します。
| 点 | 符号 | |
|---|---|---|
| (右) | 正 ○ | |
| (左) | 正 ○ | |
| (上) | 負 × | |
| (下) | 負 × |
左右の2つの領域が答えです。
【検算】展開すると 、つまり 。 の領域——確かに左右です ○
場合分けで「両方正」「両方負」と考えても同じ結論ですが、テスト点法のほうが速くて確実です。
放物線でも同じ
が表す領域を図示せよ。
境界は放物線 。テスト点として をとると
成り立つので、この点を含む側(放物線の内側・上側)です。
【検算】 では が不成立。下側は含まれません ○
【検算2】 では が不成立。放物線の外側も含まれません ○
境界を含むかどうか
| 記号 | 境界 | 描き方 |
|---|---|---|
| 含まない | 破線 | |
| 含む | 実線 |
これも答案の一部です。図だけでなく「境界を含む」「含まない」と書き添えます。
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 「 について解けば分かる」で足りてしまうから
教科書の基本例は直線と円が中心です。どちらも について解けるか、内外が直感で分かります。
そのためテスト点法は補足として軽く触れられる程度になりやすい。ところが積の形や複雑な曲線では について解けません。汎用の方法を持っていないと、そこで止まります。
2. 「1点で領域全体が決まる」根拠が示されにくいから
テスト点法が正しいのは領域内で符号が変わらないからです。この事実は連続性に関わる内容で、数IIの段階では厳密に扱いにくい。
そのため「1点調べればよい」という手順だけが伝わり、なぜかは説明されないままになりやすい。根拠が分からないと、心配で結局向きを考えてしまいます。
3. 境界の扱いが図の描き方の話として軽く扱われるから
実線か破線か、境界を含むかどうかは採点上の要素です。
しかし領域の形が合っていれば「解けた」と感じてしまうため、自分では気づきにくい失点になります。「境界を含む/含まない」を必ず書き添える習慣が要ります。
【検算】3つの方法
1. 領域内の点を複数入れる
1点で決まりますが、2〜3点入れると安心です。
【検算】: も も正 ○
2. 境界上の点で等号が成り立つか
境界の式に代入してちょうど0(または等号成立)になるはずです。
【検算】 を に入れると4。円 の上 ○
3. 明らかに外の点で不成立を確認する
【検算】 に を入れると で不成立 ○ 外側で正しく外れています。
よくあるミス
ミス1: の係数が負なのに不等号を反転させない
負の数で割ると向きが変わります。テスト点法なら考えずに済みます。
ミス2:原点が境界上なのに原点を使う
境界上の点は使えません。 なら など別の点を選びます。
ミス3:境界の実線・破線を区別しない
なら実線、 なら破線。答案に明記します。
ミス4:「かつ」と「または」を取り違える
かつ=重なり、または=合わせる。
ミス5:積の形で片方だけ考える
境界が2本なら領域は4つに分かれます。全部調べます。
ミス6:円の内外を暗記に頼る
中心を代入すれば一発です。 なので が内部。
練習問題
- は直線 のどちら側か答えなさい。
- はどちら側か答えなさい。
- かつ に、 と が入るか調べなさい。
- が表す領域を、4つの代表点で調べなさい。
- 4を展開して、 と の関係で表しなさい。
- に 、、 が入るか調べなさい。
- の境界は実線か破線か答えなさい。
解答
- なので下側。検算:原点で 成立、原点は下側 ○
- なので上側。検算:原点で 不成立 ○
- : かつ で入る。: が偽で入らない
- で1、 で1、 で 、 で 。左右の2領域
- より 、つまり
- : で入る。: で入らない。: で入らない
- なので破線(境界を含まない)
まとめ
- テスト点を1つ代入する——これだけで向きは決まる
- 根拠は領域の中では符号が変わらないこと
- 原点が使えるなら原点が最速(境界上なら別の点)
- の係数が負だと不等号が反転する——考えずに済ませるのがテスト点法
- 円は中心を代入すれば内外が分かる
- 境界が2本なら4領域。全部調べる
- 実線か破線かまで書いて答案が完成
テスト点法は「調べれば分かることを、考えて当てにいかない」という発想です。記憶に頼らず、その場で確かめる。これは領域だけでなく、不等式の解の範囲や微分の増減表でも同じように使えます。1点入れて確かめる——迷ったらこれです。
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