最短経路の問題は、順列の問題に完全に翻訳できます。
右に進むを R、上に進むを U と書けば、経路は文字の並べ方
この見方をすれば、公式がそのまま使えます。
基本:右4・上3の格子
碁盤の目状の道を、A地点から東へ4区画・北へ3区画離れたB地点まで、最短で行く方法は何通りですか。
最短で行くには右に4回、上に3回進みます。合計7回。
その順番を決めれば経路が決まるので、RRRRUUU の並べ方の数が答えです。
35通りです。
【検算1】7か所のうちUを入れる3か所を選ぶと考えても同じです。
一致 ○
【検算2】書き込み法でも確かめます。各交点に「左の数+下の数」を書いていきます。
| 3段目 | 1 | 4 | 10 | 20 | 35 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2段目 | 1 | 3 | 6 | 10 | 15 |
| 1段目 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
| 0段目 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 |
右上が35 ○ 公式と一致します。
必ず通る点があるとき
Aから東へ2・北へ1の地点Pを必ず通ってBへ行く方法は何通りですか。
2つに分けてかけ算します。
18通りです。
【検算】PからBは右2・上2で合計4回。 ○
途中の点で区切ってかける——これが基本の型です。
通れない点があるとき
東へ2・北へ2の地点Qが工事中で通れません。AからBへ行く方法は何通りですか。
全体から、Qを通る経路を引きます。
だから
17通りです。
【検算1】Qを通る18通りと通らない17通りを足すと
全体に戻ります ○
【検算2】書き込み法でも確かめられます。Qのところに0を書いて、そこから先へ数を伝えなければ、右上に17が出ます ○
通れない「道」があるとき
点(2,1)から点(2,2)へ向かう道が通行止めです。AからBへは何通りですか。
その道を通る経路の数を数えて引きます。
途中の1本道は1通りなので
26通りです。
【検算】点が通れない場合(18通りを引く)より、引く数が少ないのは自然です。道1本のほうが制限がゆるいからです ○
3つの型のまとめ
| 条件 | やり方 |
|---|---|
| 制限なし | |
| 必ず通る点 | 区切ってかける |
| 通れない点・道 | 全体から引く |
「通る」はかけ算、「通れない」は引き算——この対応で整理できます。
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 「同じものを含む順列」との対応が示されにくいから
最短経路はRとUの並べ方そのものです。この翻訳ができれば、新しい公式は要りません。
ところが順列は文字や数の並べ方で導入されます。図形の問題と結びつける場面が作られにくいのです。
2. 書き込み法が「別の方法」に見えるから
交点に数を書いていく方法は、実はパスカルの三角形そのものです。二項係数と同じ数が並びます。
ところが公式と書き込み法が別々に紹介されると、同じものだと気づきにくい。両方を並べて確認する価値があります。
3. 「通れない」型は余事象の考え方だから
全体から引く——これは余事象の発想です。確率の単元でよく使いますが、場合の数の段階で意識される機会は多くありません。
結果として「引けばいい」と気づかず、通れる経路を直接数えようとして詰まります。
【検算】3つの方法
1. 公式と書き込み法の両方でやる
最も確実です。まったく別の手順で同じ数が出ます。
【検算】どちらも35 ○
2. 通る場合と通らない場合を足す
全体に戻るはずです。
【検算】 ○
3. 小さい格子で全部書き出す
右2・上2なら6通り——実際に書き出せます。
【検算】 ○
よくあるミス
ミス1:階乗で割り忘れる
同じ文字は区別しないので割ります。
ミス2:区画数と点の数を取り違える
進む回数を数えます。
ミス3:必ず通る点で足してしまう
かけ算です。
ミス4:通れない点の経路を引き忘れる
全体から引きます。
ミス5:点と道の禁止を同じに扱う
引く数が違います。
ミス6:書き込み法で足す向きを間違える
左と下の和です。
練習問題
- 右4・上3の格子で、最短経路の総数を求めなさい。
- 1を書き込み法でも確かめなさい。
- 点(2,1)を必ず通る経路の数を求めなさい。
- 点(2,2)を通れないときの経路の数を求めなさい。
- 4で、通る場合と通らない場合の和を確かめなさい。
- (2,1)から(2,2)への道が通れないときの経路の数を求めなさい。
- 右2・上2の格子の経路数を求めなさい。
解答
- 35通り
- 書き込み法でも35 ○
- 18通り
- 17通り
- ○
- 26通り
- 6通り
まとめ
- 最短経路はRとUの並べ方
- 公式は
- 必ず通る点は区切ってかける
- 通れない点・道は全体から引く
- 書き込み法は左と下の和(パスカルの三角形)
- 検算は2通りの方法/通る+通らない/小さい格子で全書き出し
最短経路の問題は、図形に見えて実は並べ方の問題です。「見た目が違うだけで、やっていることは同じ」——この気づきが、場合の数を得意にする最短経路でもあります。
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