三角関数の合成でつまずくのは、ほぼ角 の決め方です。 と習っても、それだけでは180°ずれた角と区別がつきません。
正しい決め方は1つ。点 を座標平面にとって、その偏角を読む。これで象限まで決まります。
結論:点 をとるだけ
手順は3つ。
- を計算する
- 点 をとる
- その点の偏角が
の係数が 座標、 の係数が 座標——ここを逆にしないこと。
なぜこの形になるのか
加法定理を逆向きに使っているだけです。
これが と一致するには
が決まる
2式を2乗して足すと
(正の方をとる)。
が決まる
これは点 を原点からの距離 で割った、単位円上の点です。
つまり は点 の偏角。 と の両方の符号で決まるので、象限まで確定します。
だけでは足りない理由もこれで分かります。 は180°ごとに同じ値をとるからです。
やってみる1:
ステップ1:
ステップ2:点をとる
点 。両方とも正なので第1象限です。
ステップ3:偏角
第1象限でこの値になるのは。
【検算】展開して戻します。
一致 ○
【検算2】 を入れます。左辺は 、右辺は
○ では左辺 、右辺 ○
やってみる2:符号が混ざる場合
を合成せよ。
、 です。マイナスもそのまま座標にします。
点 は第4象限。
第4象限でこの値になるのは。
【検算】 を入れます。左辺は 、右辺は
○ もし から としてしまうと、 が負になり符号が合いません。
やってみる3: の係数が負のとき
を合成せよ。
、。点 は第2象限です。
第2象限なので。
【検算】展開します。
一致 ○
使いどころ:最大値・最小値
合成する最大の目的がこれです。
の値は 以上 以下
の最大値と最小値を求めよ。
は点 の偏角(特別な角ではありませんが、それで構いません)。
最大値5、最小値 。
【検算】 と を動かして最大を探します。 のとき となる で最大。
そのとき 、 なので
確かに5 ○
定義域に制限があるとき
のとき の最大値と最小値を求めよ。
合成すると 。 の範囲を出します。
この範囲での は
- 最大は のとき → 最大値2()
- 最小は のとき → 最小値 ()
【検算】直接代入します。
どちらも一致 ○ 最小は ではありません。範囲の制限で届かないからです。
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. の決め方が だけで書かれやすいから
「 を満たす 」という書き方は簡潔ですが、象限の情報が落ちています。
例題では第1象限に収まるものが多いため、この不足に気づきにくい。ところが符号が混ざった瞬間に180°ずれた答えを書いてしまいます。点 をとるという手順で書けば起こりません。
2. 「加法定理の逆」であることが結びつきにくいから
合成は加法定理を右から左に使っただけです。新しい公式ではありません。
しかし合成の公式として独立して提示されると、覚えるべき式が1つ増えたように見える。 を展開して係数を比べる——この1回の作業で、 も も自分で出せるようになります。
3. 目的(最大最小)が別の項目にあるから
合成が役に立つのは最大値・最小値や方程式・不等式を解くときです。
ところが合成の練習と最大最小の問題は別の項目として並ぶことが多く、「何のために合成するのか」が見えないまま変形だけ練習することになりやすい。2つの三角関数を1つにまとめれば値域が分かる——これが目的です。
【検算】3つの方法
1. 展開して元に戻す
最も確実です。加法定理で開いて、係数が一致するか見ます。
【検算】 ○
2. 具体的な を代入する
2つくらい入れれば符号のミスは見つかります。
【検算】 と で両辺一致 ○
3. が最大値になっているか
が最大値、 が最小値(定義域に制限がなければ)。
【検算】:、実際に5になる が存在 ○
よくあるミス
ミス1: だけで を決める
象限が決まりません。点 をとります。
ミス2: と を逆にする
の係数が 座標です。
ミス3: を負にとる
です。負にすると がずれます。
ミス4:定義域の制限を無視して と答える
の範囲を出してから値域を考えます。
ミス5: で合成する形と混同する
で合成するのが標準です。指定があればそれに従います。
ミス6:合成後に の範囲を戻し忘れる
最大最小をとる を答えるときは を引いて戻します。
練習問題
- を合成しなさい。
- を合成しなさい。
- を合成しなさい。
- の最大値と最小値を求めなさい。
- のとき の最大値と最小値を求めなさい。
- を合成しなさい。
- 1の答えを展開して、もとの式に戻ることを確かめなさい。
解答
- 、点 は第1象限で 。
- 、点 は第4象限で 。。検算: で両辺1 ○
- 、点 は第2象限で 。
- なので最大5、最小 。検算: のとき ○
- より最大2()、最小 ()
- 、点 は第1象限で 。
- ○
まとめ
- 合成は加法定理を逆向きに使うだけ
- 、 は点 の偏角
- だけでは象限が決まらない——点をとって符号で判断する
- の係数が 座標、 の係数が 座標
- 目的は2つを1つにまとめて値域を出すこと
- 定義域があれば の範囲を先に出す
- 検算は展開して戻す/具体的な で確認/最大値が か
合成は「2つの波を足すと、1つの波になる」という事実を式にしたものです。同じ周期の波を足しても周期は変わらず、振幅と位相だけが変わる。この見方は物理の波動や交流回路でもそのまま使われます。点 を描く——それだけで、振幅も位相も同時に読み取れます。
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