三角方程式で単位円が使えない原因は1つです。「 は 座標」という定義を忘れている。
この一言さえ思い出せば、 は「 の点を探せ」という指示に変わります。あとは横線を引くだけです。
結論:sin は横線、cos は縦線
| 座標 | 引く線 | |
|---|---|---|
| 座標 | 横線 | |
| 座標 | 縦線 | |
| (原点との傾き) | 原点を通る傾き の直線 |
手順は4つ。
- 単位円を描く
- 横線・縦線・直線を引く
- 交点を見つける
- 交点の偏角を、指定範囲内ですべて拾う
やってみる1:
のとき を解け。
の横線を引きます。単位円との交点は2つ。
右上の点は(30°)。左上の点は 軸について対称なので
答えは 。
【検算】代入します。
○ どちらも 座標が です。
【検算2】個数の見当。 なので、横線は円を2点で切ります。解は2個 ○
やってみる2:
の縦線を引きます。交点は2つ。
上の点は(120°)。下の点は 軸について対称なので
【検算】
○ sin は 軸対称、cos は 軸対称——この違いが2つ目の解の作り方を分けます。
不等式は「弧のどちら側か」
のとき を解け。
は 座標なので、「 座標が より大きい点」を探します。
横線 より上にある弧です。境界は と なので
【検算】範囲の内側と外側で確かめます。
| か | ||
|---|---|---|
| (内側) | 1 | 成立 ○ |
| 0(外側) | 0 | 不成立 ○ |
| (外側) | 0 | 不成立 ○ |
cos の不等式
のとき を解け。
縦線 より左にある弧(境界を含む)です。
【検算】 では ○ では が不成立 ○
cos の解は「つながった1つの区間」になることが多く、sin とは形が違います。図を見れば当たり前ですが、公式で覚えようとすると混乱します。
tan は原点を通る直線
のとき を解け。
は原点と点を結ぶ直線の傾きです。傾き1の直線 と単位円の交点を見ます。
交点は第1象限と第3象限に1つずつ。
【検算】、 ○
tan は ごとに同じ値をとります(原点対称の点は同じ傾き)。sin や cos の とは違うので注意してください。
tan の不等式
なら、傾きが1より大きい方向。
【検算】 では ○ では が不成立 ○
と は定義されないので、必ず除きます。
のときは範囲を先に変換する
のとき を解け。
の範囲を先に出します。
この範囲で となるのは、1周分で2個、2周分で4個。
2で割って
【検算】 のとき で ○
【検算2】個数を確認します。 は周期 なので、 には2周期分。1周期に2個なので合計4個 ○
範囲を変換せずに解くと、必ず個数が足りなくなります。
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. グラフと単位円という2つの表現があり、使い分けが示されにくいから
三角関数は単位円でもグラフでも理解できます。教科書は両方を扱います。
ところが方程式・不等式を解くときは単位円が圧倒的に速い。この使い分けは解法の知識であって定理ではないため、明示的な項目になりにくい。グラフで解こうとして時間を失う人が多い部分です。
2. 「 は 座標」の定義が、後の内容で薄れるから
この定義は数Iの図形と計量で導入されます。その後、加法定理・合成・グラフと式の操作が中心になっていく。
定義に戻る場面が構成上ほとんどないため、 が座標だったことが記憶から薄れます。単位円を1枚描くだけで思い出せるのですが、その習慣がつきにくい。
3. 不等式は方程式より演習量が少なくなりやすいから
方程式は答えが点で出るので問題として作りやすく、演習の中心になります。
一方、不等式は「弧のどちら側か」を図で読む作業が必要で、答えも範囲になる。図を描く手間があるぶん演習量が減りやすく、本番で迷う原因になります。
【検算】3つの方法
1. 求めた角を代入する
最も確実です。特別な角なら値がすぐ出ます。
【検算】 ○
2. 解の個数を見積もる
| 式 | での個数 |
|---|---|
| () | 2個 |
| () | 2個 |
| 2個 | |
| 4個 |
個数が合わなければ拾い漏れです。
3. 範囲の内側と外側で不等式を確かめる
領域の問題と同じテスト点法です。
【検算】:内側の で成立、外側の と で不成立 ○
よくあるミス
ミス1:解を1つしか書かない
単位円との交点は普通2つあります。
ミス2:sin と cos で対称の向きを取り違える
sin は 軸対称()、cos は 軸対称()。
ミス3: の範囲を変換しない
先に にします。解の個数が倍になります。
ミス4:不等号の等号を落とす
なら境界を含みます。
ミス5:tan で定義されない角を含めてしまう
、 は除きます。
ミス6:グラフで解こうとして時間を使う
単位円のほうが速い場合がほとんどです。
練習問題
すべて の範囲で解きなさい。
- 1の解が2個である理由を、単位円で説明しなさい。
解答
- 横線 との交点。
- 縦線 との交点。
- 横線より上の弧。。検算: で ○
- 縦線より左の弧(境界含む)。。検算: で ○
- 直線 との交点。
- で 。
- なので横線が円を2点で切るから
まとめ
- sin は 座標、cos は 座標、tan は原点との傾き
- 方程式は横線・縦線・直線を引いて交点を読む
- 不等式は弧のどちら側かを見る
- sin は 軸対称、cos は 軸対称で2つ目の解を作る
- は範囲を先に変換(解の個数が倍になる)
- tan は周期 、 系は除外
- 検算は代入/解の個数/内外のテスト点
単位円は「三角関数の定義そのものを図にしたもの」です。だから困ったら単位円に戻る——これが最も確実な戦略になります。式を覚え直す必要はありません。円を1つ描いて、線を1本引く。それだけで、方程式も不等式も見えるようになります。
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