標準化の式は覚えていても、何をしているかを説明できる人は多くありません。
やっていることは1つ。「平均から、標準偏差の何個分ずれているか」を数えているだけです。
2ステップに分けて読む
| 操作 | 意味 |
|---|---|
| 平均を0にそろえる(ずれの大きさ) | |
| 標準偏差を1にそろえる(ものさしを統一) |
単位もばらつきも消えるので、違うテストどうしを比べられるようになります。
やってみる:具体的なデータで
5人の得点が 45、55、60、65、75 でした。平均・分散・標準偏差を求め、標準化しなさい。
平均
分散と標準偏差
平均との差(偏差)は 。2乗して平均します。
標準化
| 得点 | 45 | 55 | 60 | 65 | 75 |
|---|---|---|---|---|---|
| z | -1.5 | -0.5 | 0 | 0.5 | 1.5 |
【検算1】z の平均を計算します。
0 ○ 平均は必ず0になります。
【検算2】z の分散を計算します。
1 ○ 標準偏差も1です。
標準化すると、平均0・標準偏差1になる
【検算3】逆に戻します。 なので なら
もとの得点 ○
違うテストを比べる
テストAは平均60・標準偏差10で、あなたは80点。テストBは平均70・標準偏差20で、あなたは90点。どちらがよかったといえますか。
素点では90点のBが上です。しかし標準化すると
Aのほうが集団の中で上の位置にいます。
【検算】Aは平均より20点上で、標準偏差が10。ばらつきの2個分上です。Bは20点上ですが標準偏差が20なので1個分。同じ20点でも意味が違います ○
点数そのものではなく、ばらつき何個分かで比べる
偏差値は標準化の言い換え
偏差値の式を見てください。
(偏差値)=
標準化した z を平均50・標準偏差10に置き直しただけです。
| z | -1.5 | 0 | 1.5 | 2 |
|---|---|---|---|---|
| 偏差値 | 35 | 50 | 65 | 70 |
【検算】さきほどの45点は なので偏差値35、75点は なので偏差値65 ○
偏差値がマイナスにならない・100を超えにくいのは、この置き換えのためです。
正規分布ならおおよその割合がわかる
データが正規分布にしたがうとき、次の目安が使えます。
| 範囲 | おおよその割合 |
|---|---|
| 約68% | |
| 約95% | |
| 約99.7% |
平均60・標準偏差10のテストで、50点から70点の人はおよそ何%ですか。
50点は 、70点は なので約68%です。
【検算1】40点から80点なら で約95% ○
【検算2】80点以上は、95%の外側の半分なので
約2.5%——40人のクラスなら1人程度 ○
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 統計が数Bの最後に置かれるから
統計的な推測は数Bの終盤にあります。数列やベクトルに時間を使うと、ここまで到達しないまま学年が終わることがあります。
入試で選択できることも多く、後回しにされやすい構成になっています。
2. 標準化が「公式」として提示されるから
は式としては単純です。だから覚えて代入すれば解けます。
ところが2つの操作(平均をそろえる・ものさしをそろえる)に分けて読むと、意味がはっきりします。この読み方が示される場面は多くありません。
3. 偏差値との関係が示されにくいから
偏差値は受験で毎回目にする数です。その正体が標準化だと知れば、標準化の意味も一気に身近になります。
ところが偏差値は学校の数学では扱われないことが多い。いちばん実感しやすい例が使われていないのです。
【検算】3つの方法
1. 標準化後の平均と標準偏差を確かめる
必ず0と1になります。
【検算】平均0、分散1 ○
2. 逆に戻して元の値になるか
で戻します。
【検算】 ○
3. 割合の目安と照らす
【検算】 が約95%。80点以上は約2.5% ○
よくあるミス
ミス1:分散と標準偏差を取り違える
標準偏差は分散のルートです。
ミス2:割る前に引き忘れる
先に平均を引きます。
ミス3:素点だけで比べる
平均と標準偏差を見ます。
ミス4:偏差値を確率と思う
位置を表す数です。
ミス5:正規分布でない場合にも目安を使う
分布の形を確認します。
ミス6:片側と両側を混同する
外側の半分かどうか確認します。
練習問題
- 45、55、60、65、75 の平均を求めなさい。
- 分散と標準偏差を求めなさい。
- 各データを標準化しなさい。
- 3の平均と分散を求めなさい。
- 平均60・標準偏差10で80点、平均70・標準偏差20で90点のどちらが上位か答えなさい。
- 45点と75点の偏差値を求めなさい。
- 平均60・標準偏差10のとき、40点から80点の割合を答えなさい。
解答
- 60
- 分散100、標準偏差10
- -1.5、-0.5、0、0.5、1.5
- 平均0、分散1
- と なので前者(80点)
- 35 と 65
- なので約95%
まとめ
- 標準化は平均を0・標準偏差を1にそろえる操作
- z はばらつき何個分ずれているか
- 標準化後は必ず平均0・標準偏差1
- 偏差値=(同じ操作の言い換え)
- 正規分布なら68%・95%・99.7%の目安が使える
- 検算は平均0・分散1/逆に戻す/割合の目安
標準化は「比べられないものを、比べられる形にそろえる」技術です。テストの点、身長、株価——単位もばらつきも違うデータを、同じものさしに載せる。この発想は統計学の中心にあり、そのまま大学以降でも使い続けます。
この単元でつまずいたままなら
「なぜそうなるのか」が抜けたまま先へ進むと、後の単元で必ず戻ってくることになります。オンライン数学専門塾「数強塾」は、公式の暗記ではなく理由から説明する完全1対1の個別指導です。プロ講師のみ(学生アルバイトはいません)、中高一貫校の進度にも対応しています。
ご相談は無料です。入会の強制はありません。

