剰余の定理を「代入すれば余りが出る便利な公式」として覚えていませんか。
正体は、割り算の等式に数を代入しただけ
土台になる式を1本書けるようになれば、剰余の定理も因数定理も自分で作れます。
土台:割り算の等式
整数の割り算と同じ形です。
(割られる式)=(割る式)×(商)+(余り)
ただし条件が1つ。
(余りの次数)<(割る式の次数)
1次式で割れば余りは定数、2次式で割れば余りは1次以下です。
やってみる1:1次式で割る
を で割った商と余りを求めなさい。
組立除法で計算する
係数は 。2を使って順に計算すると
商は 、余りは1です。
【検算1】割り算の等式に戻します。
もとの式に戻りました ○
【検算2】剰余の定理を使います。等式に を代入すると
第1項が0になるので 。実際に計算すると
余り1と一致 ○
剰余の定理=「割る式が0になる値を代入する」
新しい公式ではなく、等式の使い方です。
やってみる2:2次式で割る
同じ を で割った余りを求めなさい。
2次式で割るので余りは1次以下。 とおきます。
なので、 と を代入すれば第1項が消えます。
実際の値は
連立して解きます。
余りは です。
【検算1】実際に割り算すると商は 。等式に戻すと
一致 ○
【検算2】余りの次数は1で、割る式の次数2より小さい ○
因数定理は剰余の定理の特別な場合
余りが0のとき、 となり割り切れます。
⟺ は で割り切れる
を因数分解しなさい。
まず を試します。
0になったので で割り切れます。組立除法で商を出すと
したがって
【検算1】展開して戻します。
一致 ○
【検算2】3つの解 を足すと0。もとの式に の項がないことと合います ○
【検算3】3つの解の積は 。定数項6と符号違いで一致します ○
次数の関係を確認する
| 割る式 | 余りの形 |
|---|---|
| 1次式 | 定数 |
| 2次式 | |
| 3次式 |
余りを文字でおくとき、次数を間違えないこと。ここが減点の最頻出です。
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 剰余の定理が「公式」として先に来るから
「 で割った余りは 」——結論だけ覚えれば解けます。
ところが土台の割り算の等式を書かないと、2次式で割る問題に対応できません。公式が先に来ると、土台が後回しになりやすいのです。
2. 組立除法が計算テクニックとして紹介されるから
組立除法は速く計算する道具です。しかし何をしているかというと、割り算の等式の係数を求めているだけ。
この対応が示されないと、手順の暗記になります。符号を1つ間違えると気づけません。
3. 余りの次数の条件が軽く扱われるから
「余りの次数は割る式より低い」——当たり前に見える条件です。
ところが2次式で割る問題では、この条件が答えの形を決めます。定数とおいてしまうと解けません。条件の重要性を確認する場面が作られにくいのです。
【検算】3つの方法
1. 割り算の等式に戻して展開する
最も確実です。
【検算】 を展開してもとの式 ○
2. 代入して余りを確かめる
【検算】 で余りと一致 ○
3. 余りの次数を確認する
【検算】2次式で割ったら余りは1次以下 ○
よくあるミス
ミス1:余りを定数とおいてしまう
2次式で割るなら です。
ミス2:代入する値の符号を間違える
なら を代入します。
ミス3:組立除法で符号を取り違える
等式に戻して確認します。
ミス4:係数が抜けている項を書き忘れる
の項がなければ0を入れます。
ミス5:割り切れることと余りが0を別に考える
同じことです。
ミス6:商だけ答えて余りを書き忘れる
両方が答えです。
練習問題
- 割り算の等式を書き、余りの次数の条件を答えなさい。
- を で割った商と余りを求めなさい。
- 2を割り算の等式に戻して検算しなさい。
- を計算し、余りと一致するか確かめなさい。
- 同じ式を で割った余りを求めなさい。
- を因数分解しなさい。
- 6の3つの解の和と積を求めなさい。
解答
- 、(Rの次数)<(Bの次数)
- 商 、余り1
- ○
- 1 ○
- 和0、積
まとめ
- 土台は(余りの次数<割る式の次数)
- 剰余の定理は割る式が0になる値を代入しただけ
- 因数定理は余りが0の場合
- 2次式で割るなら余りは
- 組立除法は等式の係数を求める計算
- 検算は展開して戻す/代入/次数の確認
公式を覚えるのではなく、1本の等式から必要なものを取り出す——この姿勢が身につくと、覚える量が減り、応用が利くようになります。整式の割り算は、このあと高次方程式・分数式・数列でも顔を出します。土台を固めておいてください。
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