接線の問題には2つのタイプがあります。この区別ができていないと、 とおく理由が分かりません。
| タイプ | 接点 | やること |
|---|---|---|
| 曲線上の点における接線 | 分かっている | そのまま代入 |
| 曲線外の点を通る接線 | 分からない | とおく |
接点が分からないから とおく。理由はこれだけです。
結論:接線は「接点」で決まる
接線を決めるのは通る点ではなく、接点です。
接点を とおけば、接線は1つに決まります。
これは の式です。 が決まれば接線が決まる。
手順
- 接点を とおく
- 接線の式を で書く
- 通る点の座標を代入して の方程式にする
- を求めて、接線を確定
やってはいけないこと
点 から曲線 に引いた接線を求めよ。
いきなり としてはいけません。
この式は「 で接する接線」を表します。ところが問題は「 を通る接線」。まったく違います。
【検算】 が曲線上にあるか確かめます。
曲線上にありません ○ だから接点にはなりえない。
やってみる: に から
ステップ1・2:接線を で表す
接点を とおきます。 なので傾きは 。
ステップ3:通る点を代入
を通るので
ステップ4:接線を確定
| 接点 | 接線 | |
|---|---|---|
| 3 | ||
接線は2本あります。これが「通る点だけでは決まらない」ということです。
検算する
【検算1】接点が曲線上にあるか。 ○、 ○
【検算2】接線が を通るか。 ○、 ○
【検算3】接点を通るか。 ○、 ○
【検算4】連立して重解になるか。
どちらも重解 ○ 確かに接しています。
なぜ判別式ではなく なのか
2次曲線なら判別式 でも解けます。しかし3次以上では通用しません。
点 から曲線 に引いた接線を求めよ。
接点を とおきます。 なので
を通るので
接線は。
【検算1】接点は 。曲線上か: ○
【検算2】接線が接点を通るか: ○ を通るか: ○
【検算3】連立します。
因数分解すると
が重解で、確かに接しています ○
ここが重要:接するのに交点が3つ分ある
でも交わっています。接するけれど、別の点で交わってもよいのです。
【検算】 のとき曲線は 、直線は ○ 確かに交わっています。
「接する=1点でしか交わらない」ではありません。だから判別式のような「交点の個数」による判定は3次以上で使えない。
接点を とおく方法だけが、次数によらず通用します。
曲線上の点なら は不要
曲線 の点 における接線を求めよ。
「における」なら、その点が接点です。そのまま代入します。
【検算】先ほど で求めた接線と同じ ○
問題文の読み分け
| 表現 | 意味 |
|---|---|
| 「点Aにおける接線」 | Aが接点 |
| 「点Aを通る接線」 | Aは通過点(接点とは限らない) |
| 「点Aから引いた接線」 | Aは通過点 |
「における」だけが接点です。迷ったらその点が曲線上にあるかを確かめてください。
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 2つのタイプの違いが、問題文の読み取りに依存するから
「における」と「通る」の1語で、解法がまったく変わります。
ところがこれは数学の内容ではなく日本語の読み取り。教科書は解法を示す構成なので、読み分けの比較表が置かれにくい。実際にはここで最も多く間違えます。
2. 「接線は接点で決まる」という原理が示されにくいから
なぜ接点を文字でおくのか——接線を決めるのが接点だからです。
この一言は定理ではなく見方なので、手順の説明に埋もれやすい。「とりあえず とおく」と覚えると、なぜそうするのか分からないまま当てはめるだけになります。
3. 判別式が使えない場合の説明が後回しになるから
2次曲線では判別式でも解けます。だから最初はそちらでも困りません。
ところが3次になると「接するのに他の点で交わる」ことが起こり、判別式の考え方が破綻する。この事実は3次関数のグラフを扱う段階で初めて必要になるため、接線の導入時には触れられにくい。最初から とおく方法で統一しておくのが安全です。
【検算】3つの方法
1. 接点が曲線上にあるか
の形になっているか確かめます。
【検算】: ○
2. 接線が指定された点を通るか
【検算】 に : ○
3. 連立して重解になるか
(曲線)(接線)が接点で重解をもちます。
【検算】: が重解 ○
よくあるミス
ミス1:通る点を接点だと思って代入する
曲線上にあるかを先に確認します。
ミス2:接線を1本しか答えない
の方程式の解の個数だけ接線があります。
ミス3: を求めて満足する
接線の式まで答えます。 は途中経過です。
ミス4:3次曲線に判別式を使う
接するのに他で交わることがあります。 とおきます。
ミス5: と を混同する
傾きは という定数( を含む式)です。
ミス6:接点の 座標を書き忘れる
接点は 。 座標も で表します。
練習問題
- 点 が曲線 上にないことを確かめなさい。
- 点 から に引いた接線をすべて求めなさい。
- 2の接点の座標を求めなさい。
- 2の接線について、連立すると重解になることを確かめなさい。
- 点 から に引いた接線を求めなさい。
- 5の接線が でも曲線と交わることを確かめなさい。
- 曲線 の点 における接線を求めなさい。
解答
- なので曲線上にない
- 接点 、接線 。 より 。、
- と 。検算:どちらも 上 ○
- 、。どちらも重解 ○
- 接点 、接線 。 より 。
- 。 で曲線は8、直線も 。交わっている ○
- 「における」なので接点。。検算:2の と同じ ○
まとめ
- 接線を決めるのは接点。だから接点が不明なら とおく
- 手順は①接点を ②接線を で表す ③通る点を代入 ④ を求める
- 「における」は接点、「通る・から引いた」は通過点
- 通過点からの接線は複数本あることが多い
- 判別式は2次曲線だけ。3次では接するのに他で交わる
- 検算は接点が曲線上か/通る点を通るか/重解になるか
とおくのは「決めたいものを文字にする」という、方程式の基本そのものです。求めたいのは接線ですが、接線を決めるのは接点。だから接点を文字にする。この「何が決まれば全部決まるか」を見抜く力は、軌跡でも、図形でも、同じように効いてきます。
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