「式の値を求めなさい」——ここでいきなり代入すると、計算が重くなります。
代入するのは最後。まず式を変形する
因数分解や展開で式を軽くしてから代入すれば、暗算で終わることも珍しくありません。
やってみる1:因数分解してから代入
のとき、 の値を求めなさい。
いきなり代入すると
正しいのですが、3けたの2乗を計算することになります。
先に因数分解すると
暗算で終わります。
【検算】2つの方法でどちらも10000 ○ 変形が正しければ、必ず同じ値になります。
やってみる2:差の平方を使う
、 のとき、 の値を求めなさい。
2です。
【検算】直接計算すると ○ 小数の2乗を避けられました。
やってみる3:和と積だけがわかっているとき
、 のとき、 の値を求めなさい。
aとbの値そのものは与えられていません。それでも求められます。
だから
13です。
【検算】実際のaとbを求めてみます。和が5、積が6なので2と3。
一致 ○ 和と積だけで答えが出せることが確かめられました。
3乗の和も同じやり方で
同じ条件で を求めなさい。
整理すると
【検算】 ○
やってみる4:根号を含む値
、 のとき、 を求めなさい。
和と積を先に計算します。
あとは同じ式に入れるだけです。
【検算】直接計算します。
一致 ○ 根号が消えるのは、和と積が整数だからです。
やってみる5:約分してから代入
のとき、 の値を求めなさい。
10です。
【検算】直接なら ○
注意:約分できるのは のときだけです。分母が0になる値は除外します。
使える変形の一覧
| もとの式 | 変形 |
|---|---|
【検算】最後の式も確かめます。、 なら
実際 で ○
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 「代入する」が先に定着するから
式の値は文字に数を入れる——これが最初の定義です。手順としては正しい。
ところが入れる前に式を整えるという発想は、あとから加わる工夫です。先に覚えた手順が強く残るため、変形に手が伸びにくいのです。
2. 「因数分解」と「計算の工夫」が別項目だから
因数分解は多項式の単元、計算の工夫は計算の単元で扱われます。
同じ道具なのに別々の場面で登場するため、「式の値を求めるときに因数分解を使う」という結びつきが作られにくいのです。
3. 和と積から求める型は対称式の考え方だから
と だけから を出す——これは対称式の考え方で、高校(数I)の内容にあたります。
中学では展開公式の応用として現れますが、体系的に扱う配当はありません。パターンとして覚えるにとどまりやすい部分です。
【検算】3つの方法
1. 直接代入でも計算する
最も確実です。数が小さければ両方やります。
【検算】、直接でも10000 ○
2. 文字の値を実際に求めて確かめる
和と積が与えられたら、二次方程式を解けば値が出ます。
【検算】和5・積6なら2と3。 ○
3. けたと符号の見当をつける
【検算】 は約10000。答えが1000や100000なら計算ミス ○
よくあるミス
ミス1:変形せずに大きな数を代入する
先に因数分解します。
ミス2:因数分解を間違える
展開して戻すと確かめられます。
ミス3: としてしまう
を引きます。
ミス4:約分で分母が0になる値を見落とす
除外する値を確認します。
ミス5:符号を写し間違える
マイナスの個数を数えます。
ミス6:検算しない
直接代入で1回確かめます。
練習問題
- のとき を求めなさい。
- のとき を求めなさい。
- のとき を求めなさい。
- 3の答えを、aとbを実際に求めて検算しなさい。
- 同じ条件で を求めなさい。
- のとき を求めなさい。
- のとき を求めなさい。
解答
- 10000
- 2
- 13
- aとbは2と3。 ○
- 35
- 14
- 10
まとめ
- 式の値は変形してから代入
- 因数分解で計算がきれいな形になることが多い
- 和と積がわかれば・ が出せる
- 根号を含む値では和と積が整数になることが多い
- 分数式は約分してから(分母が0になる値に注意)
- 検算は直接代入/文字の値を求める/けたの見当
「代入する前に、この式は変形できないか」——この一呼吸が、計算ミスと時間を同時に減らします。高校では対称式として体系化され、複素数や数列でも同じ発想を使います。いま身につけておく価値のある習慣です。
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