、、——どれもそう決まっているからと覚えていませんか。
実は逆です。指数法則が壊れないように、そう決めるしかなかった。この向きが分かると、忘れても毎回作り直せます。
結論:法則を守るように「決めた」
自然数の指数はかけ算の回数でした。
このとき
は回数を足すだけなので当たり前です。
ところが や や は「かけ算の回数」としては意味を持ちません。0回かける、 回かける、半分かける——どれも説明できない。
そこで、指数法則 が成り立つように意味を決める
これが指数の拡張の原理です。しかも決め方は1通りしかありません。
になる理由
法則が成り立つとすると
つまり は掛けても値を変えない数。そんな数は1しかありません。
【検算】具体的な数で確かめます。
左辺は なので、 でなければ成り立ちません ○
【検算2】割り算からも出ます。
左辺は 。だから ○
になる理由
法則から
つまり は を掛けると1になる数。それは逆数です。
【検算】
○ です。
になる理由
もう1つの法則 を使います。
つまり は 乗すると になる数。それが 乗根です。
【検算】 を求めます。3乗して8になる数なので2。
○ です。
はどちらの順でもよい
先に根をとっても、先に累乗しても同じです。計算しやすい方を選べます。
を求めよ。
先に根をとる(楽)
先に累乗する
( だから)
一致 ○ 数が小さくて済む「先に根」がおすすめです。
まとめて計算してみる
| 式 | 計算 | 値 |
|---|---|---|
| 27 | ||
【検算】 を別の順でも。()○
【検算2】 は から ○ なので ○
【検算3】 ○ 数値では 、 ○
底は正でなければならない
ここが見落とされやすい重要な条件です。分数の指数を使うときは に限ります。
負だと矛盾する例
は「3乗して になる数」なので と言いたくなります。
ところが なので、法則を使えば
と で食い違いました。
【検算】 なので ○ 一方 ○ どちらの計算も、それ自体は正しい。
矛盾が起きるのは、底が負だからです。だから分数の指数では と約束します。
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 「法則が成り立つように決めた」という論理の向きが伝わりにくいから
教科書は、 と定義するという形で書かれます。定義なので、そのまま覚えれば計算はできます。
しかしなぜその定義なのか——「法則を壊さない唯一の決め方だから」という部分は、説明としては短くても、納得には時間がかかる。演習が優先されると省かれやすい部分です。
2. 底が正でなければならない理由が、例なしでは伝わらないから
「 とする」という条件は1行の注意書きで書かれることが多い。
ところがなぜ必要かを理解するには、 と が食い違う例を見る必要があります。この例を出す時間が確保されにくいため、条件が形式的なものに見えてしまいます。
3. 累乗根の記号と分数指数が別々に導入されるから
という記号と という書き方はまったく同じものです。
しかし累乗根の性質と指数の拡張が別の項目として並ぶと、2つの別々の話に見えます。「根号は分数の指数」と一言でつながることを知っておくと、計算の見通しが良くなります。
【検算】3つの方法
1. 累乗して戻す
を 乗すれば に戻ります。
【検算】 なら ○
2. 2通りの順序で計算する
【検算】:、 ○
3. 数値でおおよそ確かめる
指数が大きいほど値も大きい(底が1より大きいとき)。桁が違えば気づけます。
【検算】。 と の間 ○
よくあるミス
ミス1: としてしまう
1です。掛けても変わらない数だからです。
ミス2: を負の数だと思う
逆数です。 で正の数。
ミス3:分子と分母を逆にする
の が根の次数です。 は3乗根の2乗。
ミス4:底が負のまま分数の指数を使う
が条件です。矛盾が起きます。
ミス5: を1とする
が条件です。 は定義しません。
ミス6:先に大きく累乗して計算が重くなる
先に根をとるほうが数が小さくて楽です。
練習問題
- と を求めなさい。
- を求めなさい。
- を求めなさい。
- を2通りの順序で求めなさい。
- を求めなさい。
- を求めなさい。
- を1つの指数で表しなさい。
- と を計算し、食い違うことを確かめなさい。
解答
- どちらも1。検算: ○
- 。検算: ○
- 3乗して8になる数なので2
- 4、4 ○
- 27。検算: ○
- より(約1.78)
- 、。指数は同じ値なのに結果が違うので、底が負のときは分数の指数を使えない
まとめ
- 拡張の原理は「指数法則が壊れないように決める」
- (掛けても変わらない数)
- (掛けて1になる数)
- ( 乗すると になる数)
- は根と累乗のどちらが先でも同じ(先に根が楽)
- 分数の指数では底は正(負だと矛盾する)
- 検算は累乗して戻す/2通りの順序/数値の見当
「法則を守るように定義を拡張する」——これは数学のあらゆる場面で使われる手法です。負の数、分数、無理数、そして複素数。どれも「それまでの計算規則が壊れないように」広げてきました。指数の拡張は、その考え方をいちばん短く体験できる例です。
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