「証明しなさい」と書かれた瞬間、ペンが止まる。何から書けばいいのか分からない。中2の図形で、最も多くの人が壁にぶつかる場所です。
ですが図形の証明には決まった書式があります。作文ではありません。穴埋めに近い、型のある文章です。型さえ知れば、書き出しで止まることはなくなります。
結論:証明は5行の型で書く
| 行 | 書くこと | 書き方 |
|---|---|---|
| 1 | どの三角形を比べるか | 「△ABCと△DEFにおいて」 |
| 2〜4 | 等しいものを3つ | 「仮定より …①」 |
| 5 | 合同条件を書く | 「①②③より、2組の辺とその間の角がそれぞれ等しいので」 |
| 6 | 結論 | 「△ABC≡△DEF」 |
書き出しは必ず「〜において」です。ここは考える必要がありません。どの三角形を比べるかを決めたら、そのまま書けます。
書き出しが決まる仕組み
「どの三角形を比べるか」は、結論から逆算します。
示したいことが「」なら、ABを含む三角形とCDを含む三角形を探します。その2つが比べる相手です。
| 示したいこと | 探す三角形 |
|---|---|
| ABを含む三角形と、CDを含む三角形 | |
| を含む三角形と、 を含む三角形 | |
| 錯角か同位角が等しいことを示せる三角形 |
「証明したい辺や角を含む三角形」を2つ見つける——これが書き出しの決め方です。ひらめきではなく、探す作業です。
実際に書いてみる
線分ABとCDが点Oで交わっている。、 のとき、 であることを証明しなさい。
ステップ1:結論から三角形を決める
示したいのは 。
- ACを含む三角形 … △AOC
- BDを含む三角形 … △BOD
この2つを比べます。書き出しが決まりました。
ステップ2:等しいものを3つ集める
問題文の条件(仮定)を確認します。
- … 仮定
- … 仮定
- あと1つ … (対頂角)
3つ目は図から探します。よく使われるのは次の3つです。
| 根拠 | 使う場面 |
|---|---|
| 対頂角 | 2直線が交わっている |
| 共通 | 2つの三角形が辺を共有している |
| 平行線の錯角・同位角 | 平行の条件がある |
この3つで大半の問題が片づきます。「あと1つが見つからない」ときは、この表を順に当ててください。
ステップ3:合同条件を選ぶ
集まったのは辺・角・辺で、しかも角は2辺の間にあります。
2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい
完成した証明
△AOCと△BODにおいて
仮定より …①
仮定より …②
対頂角は等しいので …③
①②③より、2組の辺とその間の角がそれぞれ等しいので
△AOC≡△BOD
合同な図形の対応する辺は等しいので
最後の1行を忘れないでください。合同を示しただけでは、まだ を言っていません。「合同 → だから対応する辺が等しい」という橋渡しが必要です。
3つの合同条件
選ぶのはこの3つだけです。
| 条件 | 集める材料 |
|---|---|
| 3組の辺 | 辺・辺・辺 |
| 2組の辺とその間の角 | 辺・間の角・辺 |
| 1組の辺とその両端の角 | 角・間の辺・角 |
「間」という言葉が2つに入っているのがポイントです。
- 辺2つなら、角はその間でなければならない
- 角2つなら、辺はその間でなければならない
集めた3つの位置関係を、図で必ず確認してください。位置が違えば、その条件は使えません。
直角三角形なら2つ追加
直角三角形では、次の2つも使えます。
- 斜辺と1つの鋭角がそれぞれ等しい
- 斜辺と他の1辺がそれぞれ等しい
直角があることが分かっている場合、材料が2つで済みます。使える場面では大幅に短くなります。
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 「書き方」を教える時間と「考え方」を教える時間が競合するから
証明には2つの別々の能力が要ります。
- 方針を立てる(どの三角形を比べるか、何を根拠にするか)
- 答案を書く(決まった書式で記述する)
授業では問題を解く形で進むため、どちらか一方に重心が寄りやすい。「方針は分かるが書けない」あるいは「書き方は真似できるが自分では方針が立たない」という状態が生まれます。
2. 「結論から逆算する」という手順が、答案には現れないから
模範解答は「△AOCと△BODにおいて」から始まります。なぜその2つを選んだのかは書かれていません。
実際には結論の から逆算して選んでいるのですが、その思考は答案に残らない。この構造上、「答えの形」は伝わるが「見つけ方」は伝わらないのです。
3. 記述の減点基準が、書いてみないと分からないから
「対頂角は等しいので」という根拠を省いても、図を見れば内容は伝わります。しかし答案としては減点されます。
どこまで書けばよいかは実際に書いて添削されないと分かりません。ところが証明は1問に時間がかかるため、添削を受ける回数を十分に確保しにくいという構造があります。
対策として、根拠を必ず書くと決めてしまうのが安全です。「仮定より」「対頂角は等しいので」「共通」——この一言があるかないかで、答案の評価が変わります。
【検算】書けたら4つ確認する
1. 3つの材料がそろっているか
合同条件に必要な数(3つ、直角なら2つ)が書かれているか。2つで結論を出していないか。
2. 全部に根拠がついているか
| 書いたこと | 根拠 |
|---|---|
| 仮定より ○ | |
| 対頂角は等しいので ○ | |
| 共通 ○ |
根拠のない等式は認められません。
3. 合同条件の位置関係が合っているか
「2組の辺とその間の角」と書いたなら、その角が本当に2辺の間にあるかを図で確認。
4. 最後の1行があるか
合同を示したあと、「対応する辺(角)は等しいので」と書いて、聞かれたことに答えているか。
この1行がないと、証明は未完成です。
よくあるミス
ミス1:書き出しの三角形を間違える
結論に出てくる辺・角を含む三角形を選びます。関係のない三角形を選ぶと、そこから先に進めません。
ミス2:根拠を書かない
「仮定より」「対頂角は等しいので」「共通」——省くと減点です。図から明らかでも書きます。
ミス3:合同条件の名前を正確に書かない
「2辺と角が等しい」では不十分。「2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい」と正確に書きます。
「その間の」が抜けると、別の(成り立たない)条件になってしまいます。
ミス4:合同を示して終わる
聞かれているのが なら、そこまで書きます。合同は途中経過です。
ミス5:対応の順番を間違える
△AOC≡△BODと書いたなら、AとB、OとO、CとDが対応します。頂点の順番に意味があります。
△AOC≡△DOBのように書くと、対応が変わって別の主張になります。
練習問題
- 証明の1行目は何と書き始めるか。
- 「 を証明せよ」と言われたとき、どの2つの三角形を比べるか。
- 2つの三角形が1辺を共有しているとき、その辺について書く根拠は何か。
- 合同条件は全部でいくつあるか(直角三角形の場合を含めて)。
- 「2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい」を使うとき、集める材料の並び順を答えなさい。
- 合同を示したあと、最後に書くべき一文は何か。
解答
- 「△○○○と△△△△において」。比べる2つの三角形を宣言します
- ABを含む三角形と、CDを含む三角形。結論から逆算して選びます
- 「共通」(または「共通な辺だから」)。根拠を必ず書きます
- 三角形の合同条件が3つ、直角三角形の合同条件が2つで、合計5つ
- 辺・角・辺の順。角が2辺の間にあることが条件です
- 「合同な図形の対応する辺(角)は等しいので、〜」。聞かれた結論まで書ききります
まとめ
- 証明は作文ではなく型のある文章。5行で書ける
- 書き出しは必ず「△○○○と△△△△において」
- 比べる三角形は結論から逆算して選ぶ。ひらめきではなく探す作業
- 3つ目の材料は対頂角・共通・平行線の錯角のどれかであることが多い
- すべてに根拠を書く。「仮定より」「共通」を省かない
- 合同条件は「その間の」まで正確に書く
- 最後に「対応する辺は等しいので」で結論まで書ききる
この型は、中3の相似の証明でもほぼそのまま使えます(合同条件が相似条件に変わるだけです)。さらに高校では、論証の対象が図形から数や集合に移りますが、「何を仮定し、何を根拠に、何を結論するか」を順に書くという構造は変わりません。中2のここで型を身につけることは、数学の記述全体の土台をつくることと同じです。
この単元でつまずいたままなら
「なぜそうなるのか」が抜けたまま先へ進むと、後の単元で必ず戻ってくることになります。オンライン数学専門塾「数強塾」は、公式の暗記ではなく理由から説明する完全1対1の個別指導です。プロ講師のみ(学生アルバイトはいません)、中高一貫校の進度にも対応しています。
ご相談は無料です。入会の強制はありません。

