木の高さや川幅を、直接測らずに求める——相似のいちばん実用的な使い道です。
縮図と実物は相似。だから対応する辺の比がすべて等しい
この1つの事実だけで、測れないものが測れるようになります。
やってみる1:影を使う
長さ1mの棒を立てたら影が0.8mでした。同じ時刻に木の影は10mです。木の高さを求めなさい。
太陽の光は平行なので、棒と木の作る三角形は相似です。
(棒の高さ):(棒の影)=(木の高さ):(木の影)
12.5mです。
【検算1】比を作り直します。
一致 ○
【検算2】木の影は棒の影の 倍。だから高さも12.5倍で m ○
【検算3】影のほうが短いので、高さは影より大きいはず。 ○
やってみる2:定規を使って測る
木から20m離れて立ち、目から50cm離した定規で木を見ると、木の高さが定規上で10cmに見えました。木の高さを求めなさい。
目を頂点とする2つの三角形が相似になります。
単位をそろえます。20m=2000cm。
相似比は
だから
400cm=4mです。
【検算1】比を確かめます。
一致 ○
【検算2】単位を確認します。答えは400cm。mに直すと4m——木の高さとして自然な値 ○
【検算3】もし単位をそろえずに としたら 。4cmという不自然な答えになります ○ 単位をそろえる大切さが分かります。
やってみる3:地図の縮尺
縮尺 の地図で、2点間の長さが8cmでした。実際の距離を求めなさい。
地図上の1が実際の25000にあたるので
200000cm。単位を直すと
200000cm = 2000m = 2km
2kmです。
【検算1】逆に計算します。2kmは200000cm。
地図上の8cmに戻りました ○
【検算2】けたを確認します。1cmが250m(=25000cm)なので、8cmなら約2000m。けたが合っています ○
面積は2乗になる
同じ地図で、面積が4平方センチメートルの土地があります。実際の面積を求めなさい。
長さが25000倍なら、面積は 倍です。
2500000000平方センチメートル。単位を直します(1平方メートル=10000平方センチメートル)。
250000平方メートル=0.25平方キロメートルです。
【検算】別の方法で確かめます。地図上で1辺2cmの正方形なら面積は4平方センチメートル。実際の1辺は
50000cm = 500m です。
一致 ○ 長さから計算しても同じになります。
長さは25000倍、面積は6億2500万倍
手順のまとめ
- 相似な三角形を2つ見つける(平行線か、共通の角)
- 単位をそろえる
- 対応する辺で比の式を作る
- 解いて単位を戻す
いちばんのミスは単位です。cm と m を混ぜないでください。
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 縮図は小学校、相似は中3だから
拡大図・縮図は小学6年で学びます。相似は中学3年。
同じ内容なのに3年空きます。「あのときやったこと」と結びつける場面が作られにくく、新しい単元として学び直すことになりがちです。
2. 「測る」作業が入るから
縮図をかいて定規で測る——教室でやると時間がかかります。
そのため比の計算だけで済ませることが多く、「実際に測れないものを測る」という面白さが伝わりにくいのです。
3. 面積比が2乗であることを混同しやすいから
長さが2倍なら面積は4倍——相似比と面積比は別です。
縮尺の問題ではけたが大きくなるため、2乗を忘れると答えが桁違いになります。単位換算と同時に処理する必要があり、負担が大きい部分です。
【検算】3つの方法
1. 比を作り直して等しいか
最も確実です。
【検算】 ○
2. 単位換算を逆向きに確かめる
【検算】2km→200000cm→ cm ○
3. 面積は2乗、体積は3乗になっているか
【検算】長さ25000倍なら面積は 倍 ○
よくあるミス
ミス1:単位をそろえない
cm と m を混ぜないこと。
ミス2:比の対応を間違える
高さと高さ、影と影を対応させます。
ミス3:面積に相似比をそのままかける
2乗します。
ミス4:縮尺の向きを逆にする
地図が小さいので、実際はかけ算です。
ミス5:目の高さを足し忘れる
見上げて測る場合は目の高さを加えます。
ミス6:答えの単位を書かない
m か km かを明記します。
練習問題
- 棒1m・影0.8m、木の影10mのとき、木の高さを求めなさい。
- 1の答えを比で検算しなさい。
- 目から50cmの定規で10cmに見え、木まで20mのとき、木の高さを求めなさい。
- 3で単位をそろえないとどうなるか答えなさい。
- 縮尺 の地図で8cmは実際に何kmか求めなさい。
- 同じ地図で4平方センチメートルは実際に何平方メートルか求めなさい。
- 6を「1辺2cmの正方形」として別の方法で検算しなさい。
解答
- より12.5m
- ○
- 相似比40で cm=4m
- 4cmという不自然な答えになる
- cm=2km
- 平方センチメートル=250000平方メートル
- 1辺500mの正方形で ○
まとめ
- 縮図と実物は相似——対応する辺の比が等しい
- 影を使う方法は光が平行だから成り立つ
- 手順は相似を見つける→単位をそろえる→比の式→単位を戻す
- 面積比は相似比の2乗
- いちばんのミスは単位
- 検算は比の作り直し/逆向きの換算/2乗の確認
相似は「直接測れないものを測る技術」です。木の高さも、川幅も、地球から月までの距離も、原理は同じ。比の式を1本立てるだけで、手が届かないものが数字になります。これが図形を学ぶ価値の1つです。
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