——三角関数の微分は、すべてこの1つの極限から出てきます。
証明の骨格は「3つの面積を大小で比べる」だけ。図さえ思い浮かべば、あとは計算です。
結論:3つの面積ではさむ
単位円(半径1)で、中心角 ()を考えます。
- 点O:原点
- 点A:
- 点B:
- 点T:Aでの接線と、直線OBの交点
このとき3つの図形が入れ子になります。
△OAB ⊂ 扇形OAB ⊂ △OAT
面積を計算する
| 図形 | 面積 | 理由 |
|---|---|---|
| △OAB | 底辺OA 、高さ | |
| 扇形OAB | で | |
| △OAT | 底辺OA 、高さ |
包含関係から
2倍して
【検算】 で確かめます。
○ 確かに成り立っています。
不等式を変形する
では なので、各辺を で割れます。
( なので )
逆数をとります。すべて正なので不等号は反転します。
これではさみうちの形になりました。
両端が1に一致するので
【検算】 で確かめます。
○
【検算2】 では 。より1に近い ○
負の側も同じ
なので、 でも同じ値です。
【検算】: ○ 正のときと同じ。
したがって 全体で1に収束します。
弧度法でないと成り立たない
証明の中で扇形の面積 を使いました。これは弧度法の式です。
度数法だと扇形の面積は 。この形では になりません。
【検算】度数法で計算すると、 が小さいとき
1ではありません ○ だから微積分では必ず弧度法を使います。
応用1:
分母と分子の角をそろえます。
なので 。したがって
【検算】 で計算します。
3に近い ○ なら ○
応用2:
【検算】:。1に近い ○
応用3:
をかけて有理化します。
なので
【検算】 で計算します。
に一致 ○
【検算2】 では ○
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 図が必要で、文章だけでは追いにくいから
証明の核心は3つの図形の包含関係です。これは図を見れば一目ですが、文字だけでは伝わりにくい。
そのため「面積を比べる」という結果だけが残り、なぜその3つなのかが曖昧になります。自分で1回図を描く——それが最短の理解です。
2. 弧度法が前提であることが強調されにくいから
証明で使う は弧度法の公式です。
ところが数IIIの段階では弧度法を使うのが当たり前になっているため、その前提に注意が向きません。「なぜ弧度法か」の答えがここにある、という接続が示されにくい部分です。
3. 応用の変形パターンが個別に扱われるから
は角をそろえる、 は有理化する。
どちらも「 の形を作る」という同じ目的ですが、手段が違うので別々の問題に見える。目的で束ねると、覚えることが減ります。
【検算】3つの方法
1. 小さい で数値計算する
【検算】 ○
2. 不等式が成り立つか確かめる
と 。
【検算】: ○
3. 応用結果を数値で確かめる
【検算】(3に近い)、 ○
よくあるミス
ミス1:度数法で使う
弧度法でしか成り立ちません。度数法では 。
ミス2:逆数をとるとき不等号を反転させない
すべて正のとき反転します。
ミス3:角をそろえずに1にする
は3です。分母と分子の角を一致させます。
ミス4: と を混同する
前者は0、後者は 。分母の次数で答えが変わります。
ミス5: の場合を考えない
偶関数なので同じですが、答案では一言必要です。
ミス6: を根拠なく使う
この極限が根拠です。逆に使うと循環します。
練習問題
- で を確かめなさい。
- で を確かめなさい。
- を求めなさい。
- を求めなさい。
- を求めなさい。
- を求めなさい。
- 証明で弧度法が必要な理由を答えなさい。
解答
- ○
- ○
- 1(はさみうち)
- 3。検算: ○
- 1。検算: ○
- 有理化して
- 扇形の面積 が弧度法の式だから
まとめ
- 証明は△OAB ⊂ 扇形 ⊂ △OAT の面積比較
- そこから
- 割って逆数をとると
- はさみうちで1
- 弧度法だから成り立つ(扇形の面積の式)
- 応用は の形を作るのが目的
- 検算は小さい で数値計算/不等式の確認/応用の数値確認
この極限が を支えています。つまり三角関数の微積分すべての土台。図を1つ描いて面積を3つ比べる——それだけの議論が、これほど広い世界を支えている。数学の面白さが分かりやすく現れている場所です。
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